ギリアド・ブライスティング社長 4年連続2桁成長キープ ビジネス変革は「AI活用」で 自身は3月末退任
公開日時 2026/03/19 04:52

ギリアド・サイエンシズのケネット・ブライスティング代表取締役社長は3月18日、東京都内で年次記者会見に臨み、2025年業績で対前年比15%増を確保できたと強調した。業績伸長の背景として、注力領域のウイルス・炎症・オンコロジーにおける戦略品の着実な市場浸透に加えて、全社的なAI活用で「価値創出のためのビジネス変革が着実に進んでいる」と胸を張った。特にセールス部門におけるAI活用を通じ、「営業コストを6%削減した」と明かしながら、業務効率と顧客満足度の両立で成果をあげたと報告した。また、ブライスティング社長は4年間務めた日本法人の社長を3月末に退任すると明かし、後任には韓国などアジア諸国でマネジメントに携わったAndrew・Hexter氏が新社長として着任すると説明した。
◎2025年は過去4年間で最高となる15%成長を達成
「私が日本のチームに加わった当時(2022年1月)に野心があり、なんとか2桁成長を収益で遂げようと言ってきた。それを過去4年の間で実現した。特に2025年は非常に高い成長率を遂げることができた」-、ブライスティング社長は22年1月の社長就任から4年間の日本の業績伸長を振り返った。成長率だけみると、社長に就任した22年業績は前年比10%増、23年は11%増、24年は14%増、そして25年は過去最高となる15%成長を遂げている。
製品別では、潰瘍性大腸炎を適応追加したジセレカ錠、CAR-T製品のイエスカルタ、HIV-1感染症の曝露前予防として公知申請に基づく承認事項の一部変更承認を取得したツルバダ配合錠、そしてHR-/HER2-乳がん(TNBC)治療薬として製造販売承認を取得したトロデルビなどの主力品の市場浸透が背景にある。ブライスティング社長は、「2025年に我々は日本で31万人を超える患者さんの治療に貢献した。非常に誇りに思っている」と強調した。
◎「我々は価値で競争するAIネイティブ企業を目指す」 社内業務の39%を最適化できる
一方、ギリアドが取り組む次なるアプローチとして「AI活用」をあげた。ブライスティング社長は、「我々は価値で競争するAIネイティブ企業を目指す」と強調する。同社の場合、社内業務の39%をAIで最適化できる余地があり、6万5000時間を他の価値創造の業務に振り向けることができるとの外部調査会社のレポートがあるという。すでに3年前からAIの全社的取り組みに着手しており、社員はMicrosoftの「Copilot」を日常業務で利用していると明かしてくれた。
◎「AIロールプレイ」、「高度な最適行動提案」、「KOLマッピング」などは日本で実装
日本で実装したAI活用の事例では、「AIによるロールプレイ」や「高度な最適行動提案」、さらには「KOLマッピング」や「パイプライン、マーケティング調査」をあげる。セールス部門におけるAIとのロールプレイについては、MRが、「AIと対話(カベ打ち)することで、社内にデータを蓄積し、共通課題などをセールスチーム内で共有することができる」と述べ、顧客とのより良いコミュニケーションが可能になると強調した。また最適な行動提案についても、社内にAIでデータベース化された顧客インサイトを活用し、MRが次回の医師面談の時に最適化した情報を提供できる環境を整えているとした。さらにKOLの研究や論文、講義内容などをデータ化し、「医師ごとにマッピングしている」と明かしてくれた。ブライスティング社長は、「より正確にアカデミアのサポートをいただきながら、私たちのサイエンスを進めることができる。その結果、我々の研究開発の精度が高まった」と強調した。
◎予防薬へのアクセスギャップは解決されるべき重要な課題
ブライスティング社長は社長就任からの4年間を振り返り、「日本には官学産にまたがる建設的な協働文化に支えられた、官民連携の強固な基盤がある」と評価する一方で、「政府の要請を受けて「ツルバダ」のHIV PrEPとしての適応を開発したにもかかわらず、償還制度の整備や実臨床での普及が進んでおらず、重大な公衆衛生上の課題が依然として未解決のままだ」と指摘。「予防薬へのアクセスギャップは解決されるべき重要な課題だ」との見解を発した。また、「イノベーションへの投資は、医療費を抑制する最も効果的な推進力のひとつ」とも述べ、薬価制度を含めて革新性に対する政府からの投資や評価の必要性にも触れた。
また、自身が3月末に日本法人の社長を退任することに触れ、「今回、引退して母国デンマークに帰国することを決めた。日本での4年間はキャリアにおいてもプライベートにおいてもベストな経験をした」と振り返った。後任の社長として着任するAndrew・Hexter氏については、「彼は米国人だがアジア諸国での経験が豊富だ。特に韓国で長年仕事してきた。日本での仕事は初めてになるので、是非暖かくお迎えいただければと思う」と述べた。