セリチニブとCYP3A基質薬剤21成分との併用禁忌に 抗てんかん剤5成分の運転制限は緩和 添付文書改訂
公開日時 2026/03/18 04:50
セリチニブとCYP3A基質薬剤との併用や、アゼルニジピン含有製剤とクラリスロマイシン含有製剤との併用、抗HIV薬とアパルタミド又はエンザルタミドとの併用について、いずれも併用を禁忌とする添付文書改訂が行われた。CYP3A基質薬剤は21成分が対象となる。
また、経口抗てんかん剤5成分については、投与中は一律に自動車運転等に従事させないとする従来の記載を改訂。今後は医師が学会留意事項に基づき、個別の患者の状態に応じて運転等危険を伴う機械を操作することの適否を判断する形に制限が緩和された。このほかタクロリムス水和物、オラパリブの添文改訂も行われた。
今回、添付文書の改訂指示が行われた医薬品は次の通り。
〈セリチニブ及びCYP3A基質薬剤〉
▽①セリチニブ(製品名:ジカディア錠、ノバルティスファーマ)
②アゼルニジピン(カルブロック錠、第一三共 等)
③オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(レザルタス配合錠、第一三共)
④アナモレリン塩酸塩(エドルミズ錠、小野薬品)
⑤イバブラジン塩酸塩(コララン錠、小野薬品)
⑥イブルチニブ(イムブルビカカプセル、ヤンセンファーマ)
⑦エプレレノン(セララ錠、ヴィアトリス製薬 等)
⑧エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン配合錠、日医工)
⑨キニジン硫酸塩水和物(キニジン硫酸塩原末、同錠、ヴィアトリス・ヘルスケア)
⑩コルヒチン(コルヒチン錠、高田製薬)
⑪シンバスタチン(リポバス錠、オルガノン 等)
⑫スボレキサント(ベルソムラ錠、MSD)
⑬タダラフィル(肺動脈性高血圧症)(アドシルカ錠、日本新薬 等)
⑭チカグレロル(ブリリンタ錠、アストラゼネカ)
⑮トリアゾラム(ハルシオン錠、ファイザー 等)
⑯バルデナフィル塩酸塩水和物(バルデナフィル錠、富士化学 等)
⑰フィネレノン(ケレンディア錠、バイエル薬品)
⑱ブロナンセリン(ロナセン錠、同散、同テープ、住友ファーマ 等)
⑲マシテンタン・タダラフィル(ユバンシ配合錠、ヤンセンファーマ)
⑳メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(パルタンM錠、同注、持田製薬/メチルエルゴメトリン錠、あすか製薬 等)
㉑ルラシドン塩酸塩(ラツーダ錠、住友ファーマ)
㉒ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッドカプセル、レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン)
改訂概要:セリチニブについて、
1)「禁忌」の項の「次の薬剤を投与中の患者」に、「アナモレリン塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、チカグレロル、アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン、エプレレノン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、シンバスタチン、タダラフィル(アドシルカ)、マシテンタン・タダラフィル、フィネレノン、ロミタピドメシル酸塩、スボレキサント、トリアゾラム、ブロナンセリン、ルラシドン塩酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、イブルチニブ」を追記する。また、「肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを服用中の患者」を追記する。
2)「特定の背景を有する患者に関する注意」の「腎機能障害患者」及び「肝機能障害患者」の項にコルヒチン投与中の患者に関する注意を追記する。
3)「相互作用」の「併用禁忌」の項に、「アナモレリン塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、チカグレロル、アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン、エプレレノン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、シンバスタチン、タダラフィル(アドシルカ)、マシテンタン・タダラフィル、フィネレノン、ロミタピドメシル酸塩、スボレキサント、トリアゾラム、ブロナンセリン、ルラシドン塩酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、イブルチニブ」を追記する。
②~⑨、⑪~㉒の薬剤について、「禁忌」の項にセリチニブを追記する。また、「併用禁忌」の項にセリチニブを追記する。⑩の製品について、「併用禁忌」の項にセリチニブを追記する。
改訂理由:セリチニブとCYP3A基質薬剤の併用時における薬物動態学的な影響を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、セリチニブの強いCYP3A阻害作用によりCYP3A基質薬剤の曝露量が増加し、副作用の発現が増強するおそれがあることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。なお、セリチニブとCYP3A基質薬剤の併用を禁忌とすることの医療現場への影響について、関連学会に意見を聴取し、特段大きな問題はないことを確認した。
〈抗HIV薬並びにアパルタミド及びエンザルタミド〉
▽①エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(製品名:ゲンボイヤ配合錠、ギリアド・サイエンシズ)
②ダルナビル エタノール付加物・コビシスタット(プレジコビックス配合錠、ヤンセンファーマ)
③ダルナビル エタノール付加物・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(シムツーザ配合錠、ヤンセンファーマ)
④ドラビリン(ピフェルトロ錠、MSD)
⑤ドルテグラビルナトリウム・リルピビリン塩酸塩(ジャルカ配合錠、ヴィーブヘルスケア)
⑥ビクテグラビルナトリウム・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(ビクタルビ配合錠、ギリアド・サイエンシズ)
⑦リルピビリン(リカムビス水懸筋注、ヤンセンファーマ)
⑧リルピビリン塩酸塩(エジュラント錠、ヤンセンファーマ)
⑨リルピビリン塩酸塩・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(オデフシィ配合錠、ヤンセンファーマ)
⑩アパルタミド(アーリーダ錠、ヤンセンファーマ)
⑪エンザルタミド(イクスタンジ錠、アステラス製薬)
改訂概要:①~③、⑤~⑨の薬剤について、「禁忌」の項にアパルタミド及びエンザルタミドを投与中の患者を追記する。「併用禁忌」の項にアパルタミド及びエンザルタミドを追記する。④の薬剤について、「禁忌」の項にアパルタミドを投与中の患者を追記する。「併用禁忌」の項にアパルタミドを追記する。
⑩の薬剤について、「禁忌」の項に①~⑨の薬剤を投与中の患者を追記する。「併用禁忌」の項に①~⑨の薬剤を追記する。
⑪の薬剤について、「禁忌」の項に①~③及び⑤~⑨の薬剤を投与中の患者を追記する。「併用禁忌」の項に①~③及び⑤~⑨の薬剤を追記する。
改訂理由:①~⑨の抗HIV薬とアパルタミド又はエンザルタミド※の併用時における薬物動態学的な影響を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、アパルタミド又はエンザルタミドの併用により、エルビテグラビル、コビシスタット、ダルナビル、ドラビリン、ビクテグラビル、リルピビリンの血中濃度が低下し、抗ウイルス作用の消失や耐性出現のおそれがあることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。なお、①~⑨の抗HIV薬とアパルタミド及びエンザルタミドの併用を禁忌とすることの医療現場への影響について、関連学会に意見を聴取し、特段大きな問題はないことを確認した。
(※)ドラビリンとエンザルタミドの併用は、併用禁忌として注意喚起済みのため、評価していない。
〈アゼルニジピン含有製剤及びクラリスロマイシン含有製剤〉
▽①アゼルニジピン(製品名:カルブロック錠、第一三共 等)
②オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(レザルタス配合錠、第一三共)
③クラリスロマイシン(クラリシッド錠、同小児用、日本ケミファ/クラリス錠、同小児用、同ドライシロップ、大正製薬 等)
④ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(ボノサップパック、武田薬品)
⑤ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(ラベキュアパック、エーザイ)
改訂概要:①②の薬剤について、「禁忌」の項にクラリスロマイシンを追記する。「併用禁忌」の項にクラリスロマイシンを追記する。
③④⑤の薬剤について、「禁忌」の項にアゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピンを追記する。「併用禁忌」の項にアゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピンを追記する。
改訂理由:アゼルニジピンとクラリスロマイシンの併用時における薬物動態学的な影響及び市販後安全性情報を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、以下の理由から、使用上の注意を改訂し両剤の併用を禁忌とすることが適切と判断した。
・生理学的薬物速度論モデルの解析によりアゼルニジピンとクラリスロマイシン400mg又は800mgを併用した場合、アゼルニジピンのAUCが約3.4倍又は5.4倍に増加することが予測され、副作用の発現が懸念されること。
なお、アゼルニジピン含有製剤とクラリスロマイシンの併用を禁忌とすることの影響について、関連学会に意見を聴取し、特段の問題はないことを確認した。
〈経口抗てんかん剤〉
▽カルバマゼピン(製品名:テグレトール錠、同細粒、サンファーマ 等)
▽バルプロ酸ナトリウム(デパケン錠、同R錠、同細粒、同シロップ、日医工岐阜工場/セレニカR顆粒、同R錠、興和 等)
▽ラモトリギン(ラミクタール錠小児用、同錠、グラクソ・スミスクライン 等)
▽ラコサミド(経口剤)(ビムパット錠、同ドライシロップ、ユーシービージャパン 等)
▽レベチラセタム(経口剤)(イーケプラ錠、同ドライシロップ、ユーシービージャパン 等)
改訂理由及び改訂概要:今回対象の抗てんかん剤5剤(経口剤)は、日本てんかん学会からの要望を踏まえ、国内外の状況を総合的に考慮し、てんかんに伴う各種発作に関する効能効果として使用する場合には、現在の添付文書の記載のように薬剤投与中は一律に自動車運転等に従事させないとするのではなく、医師が学会留意事項に基づき、個別の患者の状態に応じて、自動車の運転等危険を伴う機械を操作することの適否を判断することを可能とするよう、添付文書の「重要な基本的注意」の記載を改訂する。
改訂後は、各種てんかんの治療に関し、「自動車の運転等危険を伴う機械操作の適否は、関連学会の留意事項を十分理解の上、医師が慎重に判断し、危険を伴う機械操作を行う場合には十分な注意が必要であることを適切に患者に指導すること。また、眠気等があらわれた場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、患者に指導すること」とされた。
▽タクロリムス水和物(製品名:プログラフカプセル、同顆粒、同注射液、グラセプターカプセル、アステラス製薬)
改訂概要:「特定の背景を有する患者に関する注意」の「妊婦」の項に海外疫学研究の結果を追記する。
改訂理由:臓器移植後の妊娠レジストリである Transplant Pregnancy Registry International(TPRI)データを用いた本剤の児及び母体への影響に関する海外疫学研究の結果を評価した。使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、臓器移植患者の妊娠という限定された集団に関する大規模な研究データであり、本研究結果を記載することは臨床上有用であると考えられることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
▽オラパリブ(製品名:リムパーザ錠、アストラゼネカ)
改訂概要:「重要な基本的注意」の項に肝機能障害に関する注意を追記する。「重大な副作用」の項に「肝機能障害」を追記する。
改訂理由:肝機能障害関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と肝機能障害との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
肝機能障害関連症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例は3例(死亡0例)、海外症例は3例(死亡0例)。