自民党創薬力PT・橋本座長 製薬産業を「経済成長の牽引役に」 成長戦略を見据え国内市場の成長がカギ
公開日時 2026/04/27 04:53

自民党社会保障制度調査会「創薬力の強化育成等に関するプロジェクトチーム(PT)」の橋本岳座長は本誌インタビューに応じ、高市政権が成長戦略の一つに位置づける創薬・先端医療について、「日本が経済成長していくためのけん引役として製薬産業を打ち出していかなくてはいけない」と訴えた。その上で、成長戦略をめぐる官民投資ロードマップの策定では、「日本国内の医薬品市場の成長にしっかり目を向ける必要がある」と強調。政府・与党として国内市場の魅力向上に必要な施策の実行や制度の見直しなどに取り組み、国内外からの投資を呼び込むような循環型の創薬エコシステムの構築がカギになるとの認識を示した。
◎「相対的に弱まっている」国内市場への危機感 “調整弁”の薬価制度を問題視
橋本座長は、高市政権が掲げる成長戦略17分野の一つに位置づけられたことに対し、「感慨深いものがある」とした上で、近く策定される官民投資ロードマップについて、「内容次第では今まで積み上げてきたものが生かされるか否かの瀬戸際でもある」と注視する考えを示した。
その背景について橋本座長は、「国民皆保険や医療アクセスの良さという利点があるにも関わらず、国内市場の魅力が相対的に弱まってきている」との危機感を滲ませる。特に薬価制度に対しては、毎年改定や特許期間中の引き下げなどが行われ、「社会保障関連予算の“調整弁”になってしまっている」と指摘。製薬業界団体からのヒアリング内容や提出資料を参考に、「薬剤費は社会保障費全体の1割程度にも関わらず、予算削減の7割は薬価引き下げに頼っている。薬価引き下げで予算の辻褄を合わせている状況だ」と問題視した。
◎「創薬や生産・製造などで中国・韓国にも遅れをとりつつある」
こうした制度上の課題が国内市場の低成長率につながる一つの要因となり、「創薬や生産・製造などで中国・韓国にも遅れをとりつつある」と橋本座長は強調する。加えて拍車をかけるのが、米トランプ大統領の最恵国待遇(MFN)価格政策だ。日本の薬価が参照され、米国での価格引き下げが懸念されれば、民間企業の経営判断として日本での新薬上市を見送るリスクが高まると危機感を募らせる。橋本座長は、「お互いにリファレンスしあえるような薬価にしなくてはならない。これからはグローバルな目線で薬価を考えていく時代になるはずだ」との認識を示した。
◎日本市場の魅力向上で「人や技術が集まる好循環」に期待 国内成長率に目を向けよ
山積する課題の一方で、成長戦略での製薬産業の位置付け次第では、その転換点になるとの期待がある。「民間の投資を呼び込み、日本自体が“稼げる市場”と認知されれば、人材やAIなどの技術も集まってくる好循環につながっていく」-。橋本座長はこう指摘する。国内大手製薬企業の多くが欧米・アジア圏を含む国際市場にビジネス戦略を拡大する中で、「グローバルに打って出ていくためにも、国内市場の魅力を向上させ、人や技術が集まってくる環境にしていくこと重要だ。だからこそ日本国内の医薬品市場の成長率にも目を向けなくてはいけない」と強調した。
◎創薬力強化PT決議 特許中の薬価維持など「他国に劣後しないよう魅力向上」
創薬力強化PTは4月20日、成長戦略に向けた決議を取りまとめた。特に国内市場の魅力向上については提言の冒頭に掲げ、「創薬力の向上のためには、創薬エコシステムによる好循環が必要」と強調。その起点として、「新規モダリティを含む革新的・画期的な医薬品を高く評価するとともに、費用対効果評価制度等の見直しを含め特許期間中の薬価を維持するなど、国内外の投資を呼び込む観点から、他国に劣後しないよう国内特許品市場の魅力を高めること」と盛り込んだ。
さらに、国内市場が「グローバル特許品市場と同程度に成長できるよう、官民協議会等での議論をより実行性を高める」よう要望。「地域未来戦略におけるクラスターの整備推進等も活用し、官民が協力して必要な取組等を進めること」などと求めた。