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J-iDEA・永山代表理事 創薬シーズから製品上市までの伴走支援を本格始動 民間資金巻き込み創薬力強化

公開日時 2026/06/11 04:52
日本国際創薬エコシステム協会(J-iDEA)の永山治代表理事は6月10日、東京都内で講演し、基礎研究から製品上市までシームレスに伴走支援する活動を本格始動したと明らかにした。永山代表理事は、「日本の創薬イノベーションの課題はアカデミアのシーズが弱いからではない。シーズを実用化に押し上げる“死の谷”を超えさせる支援・社会実装の構造が欠落しているからだ」と強調。日本発シーズの探索から事業化までを「共同実行者(Co-Creator)」として創薬力向上に臨む決意を語った。また、民間資金も巻き込みながら、革新的医薬品の創薬につながるスタートアップの立ち上げや事業化のハンズオン支援などに注力する方針を表明した。

「世界トップ20の製薬企業が開発した138新薬の起源をみると、自社由来の新薬が28%にとどまる一方で、67%が権利取得や企業買収による外部のバイオテック企業になっている。このようにメガファーマだけが創薬する時代ではなくなった。特に創薬ベンチャーが初期の創薬を担うことが多い」-・永山代表理事は近年のグローバル製薬産業をめぐる変化の状況を、こう表現した。

◎医薬品貿易収支 「日本経済にとって国富の流出に等しい深刻な問題だ」と警鐘

永山代表理事はまた、「日本には世界屈指の基礎研究やアカデミアの強みがある」と強調する一方で、「大学発シーズが十分に起業やPoCにつながらず、世界における新規モダリティ開発で日本の存在感は激減している」と指摘する。加えて、欧米で承認された新薬の72%が国内未承認で、うち60%が国内開発すら未着手になっていると述べ、グローバル市場における日本の創薬ポテンシャルの低下に強い危機感を表明した。こうした事象は日本の医薬品貿易収支をめぐる課題を表面化させ、「2022年はコロナ治療薬やワクチンの輸入依存で4.6兆円の赤字、現在も3.8兆円の赤字。日本経済にとって国富の流出に等しい深刻な問題だ」と警鐘を鳴らした。

◎創薬をめぐる”死の谷“ 分断されたバリューチェーンを一気通貫でつなぐハブ機能を担う

その上で永山代表理事は、J-iDEAの役割と創薬エコシステム構築の必要性に言及。「創薬シーズと実用化の間に存在する”死の谷“と呼ぶ、分断されたバリューチェーンを一気通貫でつなぐハブ機能を同協会が果たすと強調。「いま足りないのは個別支援機関や資金源の”数“ではない。レイヤーを通じて全体を最適化し、事業化をハンズオンで主導することだ」と述べ、大学研究機関のシーズを磨き、経営陣を組織化し、製薬企業との戦略交渉を中立的な立場で行う「共同実行者(Co-Creator)」の役割を同協会が担う考えを明示した。

◎J-iDEAの役割 実務家チームを直接介入させ、伴走しながらマイルストーンを強制的に突破

J-iDEAの具体的な取り組みでは、大学研究機関でのシーズ探索からグローバル市場への展開まで「4つのステップ」(①シーズ発見、②事業体と治験プランの構築、③資本と提携の連動拡大、④世界規準の開発と市場接続)で連携したエコシステムの構築を目指し、各ステークホルダーが確実なメリットを享受できる仕組みづくりを進めると表明した。特に強調したのは、こうしたプロセスにおいてJ-iDEAは「監視役」ではなく、各ステップで発生するボトルネックに実務家チームを直接介入させ、伴走しながらマイルストーンを強制的に突破させるということ。永山代表理事は、「異なる言語で話す各プレイヤーの“翻訳者”となる」と述べ、大学研究機関、VC・投資家、製薬企業、バイオベンチャー、行政、医療機関・研究機関で構成する創薬エコシステム全体を”当事者“として稼働させる役割を担うと力を込めた。

一方でJ-iDEAが「やらないこと Not-To-Do」リストには、単なる利益追求型の創薬支援やグラントの支給、補助金頼み、国内に閉ざした対応、非当事者的な姿勢、特定企業・特定組織への偏り-をあげている。

◎元製薬企業のR&D経験者やファンド経験者などで構成 サイエンスアドバイザーも

J-iDEAの運営についても触れた。永山代表理事は、「元製薬企業の研究開発経験者やファンド経験者などの専門家を確保し、国際共同試験フェーズ2bから製薬企業へのライセンスアウトまで責任を共有する体制を構築する」と説明。現在メンバーも選定中で、企業からの派遣・出向の受け入れも想定している。さらに、ハーバード大学の専門家を含むサイエンスアドバイザーチームによるプロジェクト支援についても言及し、すでにマサチューセッツ総合病院がんセンター名誉臨床委員長のブルース・チャブナー氏や、レベリオセラピューティクスCEOで、元ロシュR&Dヘッド、元ファイザー開発ヘッドを歴任したウイリアム・パオ氏、元ロシュ・ビジネスデベロップメントアジア統括のマーク・ノグチ氏などを招聘したことを明かした。また、事務局にもファンド経験者などを採用。事業開発・知財等はデロイトトーマツと連携。法務はTMI法律事務所とも連携していると説明した。

永山代表理事は、「J-iDEAのミッションとしてアカデミア発の創薬シーズを世界に展開し、その経験値を日本の創薬システムに還元する。日本の医療と世界の国民の健康に貢献し、新しい創薬を実現できる国として世界で10か国程度しかない中で日本の地位を確立する」と述べ、力を込めた。

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