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製薬協・宮柱会長 成長戦略で「革新的医薬品創出へ投資を継続」 米MFN対策の着実な実施求める

公開日時 2026/07/31 06:00
日本製薬工業協会(製薬協)の宮柱明日香会長は7月30日、会見に臨み、日本成長戦略を踏まえ、「革新的医薬品の創出に向けた研究開発への投資を継続するとともに、国内製造基盤、人材育成、医療DX の強化に取り組む」と意欲をみせた。成長戦略に基づく医薬品産業への累計官民投資規模は約64.1兆円にのぼり、「創薬・バイオ産業が重要な分野と明確に位置づけられた」と歓迎した。米国の最恵国待遇(MFN)価格政策によるリスクが顕在化した場合に比べ、成長投資により医薬品産業が成長した場合では、2040年時点で年間の粗付加価値が12.8兆円押し上げられるとの見通しも提示。「成長投資に踏み切れば、リスクを回避するだけでなく、大きな経済的、社会的価値を生み出すことができる」と述べ、MFN対策をはじめ、骨太方針や成長戦略に盛り込まれた政策の着実な実施も求めた。

「私ども製薬産業が目指しているのは、誰もが必要な医療にアクセスできる持続可能な社会の実現。そのために、革新的な医薬品の創出に向けた研究開発への投資を継続するとともに、国内製造基盤、人材育成、医療DX の強化に取り組む。そして、国民、患者さんをはじめとする多様なステークホルダーとの対話と共創を通じ、骨太の方針や日本成長戦略会議で示された方向を、着実に実行へとつなげていきたい。今後も官民一体となって、国民の健康と日本の成長に貢献する」-。日本成長戦略と骨太方針2026を踏まえ、宮柱会長はこう意欲をみせた。

◎官民投資規模は約64.1兆円 魅力ある市場で「国内外から投資を呼び込み、成長軌道を」

日本成長戦略に基づく官民投資規模は医薬品産業で約64.1兆円にのぼったが、これは戦略17領域のうち、「AI・半導体に次ぐ2番目に大きな規模」と説明。「創薬・バイオ領域に対する期待の高さを示すものとして、大変心強く受け止めている」と強調した。

議論に際し、「一貫して訴えたのは、医薬品産業は国民の命と健康を守り、日本の経済成長と安全保障を支える国家の基盤であること。その考えの下、創薬力の復活、国内製造力の強靭化、人材基盤の現地強化の3つの柱を掲げ、提案を行ってきた」と説明した。背景には、日本の医薬品市場の魅力度に対する危機感があったという。宮柱会長は、「産業界のあるべき姿を意識しながら提案、提言してきた。いま、日本の置かれている状況を見た時に、国内外からの投資を呼び込み、成長軌道に乗せていくことは、製薬産業のみならず、全領域で起きた議論だと思っている。そのためには、日本の市場の魅力度、投資する価値があることを見せる、少し軌道を変えていくことが必要だと主張してきた」と話した。米MFN価格政策や中東情勢による地政学リスクの高まりなどの環境変化も議論を後押ししたとの見方も示し、「日本として国民の命、健康に必要な医薬品、ライフラインを確保していくか、そこに対する戦略的なアプローチが必要だといった機運も高まっていたのではないか。そういったことが後押しし、政府や構成員と透明性のある議論ができたことが今回の結果につながった」と振り返った。

目指す姿の実現に向けては、“民間投資”がカギを握る。宮柱会長は、「製薬協加盟社も、日本で治験を実施したり、新薬を持ってきたり貢献はできていると思う。製薬協としては制度設計を含めて前進する姿を作り上げること。それを受けて、民間としても投資を活性化するような動きをみせていきたい」と話した。

◎骨太方針「製薬協と方向性が一致」と歓迎

民間投資を呼び込むためには、創薬環境の整備も不可欠だ。骨太方針2026には、MFNをめぐり、「例えば、米国の医薬品に係る最恵国待遇(MFN)価格政策など、足元、諸外国の医薬品をめぐる政策の動きがある中でも必要な医薬品等が確実に上市される環境整備」との文言が盛り込まれた。その後、高市早苗首相が、創薬力向上のための官民協議会で「(MFN価格政策について)確実に対応することをお約束する」と表明している。このほか、「我が国の医薬品市場の魅力を高める観点から、医薬品の画期性に対する初収載時における適切な評価や特許期間中の薬価の在り方を含め、革新的新薬のイノベーションの更なる評価について検討を進める」ことも盛り込まれた。

宮柱会長は、「国民の健康と命を守り、日本経済経済の成長と競争力強化に貢献をするという製薬協産業ビジョン2035に通じるもので、現在掲げている製薬協のアクションプランとも方向性が一致している」と歓迎した。

◎MFN対策と成長投資で年間粗付加価値が 12.8兆円増、106万人の雇用創出 40年時点

宮柱会長は特に、MFN価格政策の影響を懸念。「MFN価格政策の議論は、単なる薬価の問題ではない。国の中で医薬品産業をどう位置付けるのか、産業政策全体の視点で見る必要がある」との認識を示した。

MFN政策によるリスクが顕在化した場合と、成長投資によって医薬品産業が成長した場合を比較すると、成長投資により 40年時点で年間の粗付加価値が 12.8兆円押し上げられ、106万人の雇用が創出できると見込まれているとの試算を提示。さらに、「革新的な新薬による健康増進を通じて、患者さん、そして介護者の皆様の負担を軽減するとともに、就労機会の拡大にもつながることが期待される」と述べた。

そのうえで、「今後重要なのは、示された方向性を具体的な政策として実行すること。引き続き官民一体となって政策実現に向けた対話を継続し、革新的な新薬の創出を通じて国民の健康と命を守り、日本経済の成長と競争力強化に貢献する」と強調した。

◎製薬協・赤名氏 27年度薬価改定は「舵を切ったというメッセージを出せる改定に」

製薬協事業戦略本部の赤名正臣氏は、製薬協内に4月からMFN タスクフォースを設置し、議論を行っていることを紹介。「今回の薬価改定で、日本が(イノベーションに)舵を切ったというメッセージを出せるような薬価改定であれば、ドラッグ・ロスからは離れていけるのではないか。今年もこれまで通りの改定だと思われてしまうと、ドラッグ・ロスに向かってしまうこともある。そういう意味では、27年度薬価改定は岐路となる改定となるのではないか」と述べた。


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