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メルクバイオファーマ 「仕事と不妊治療の両立プロジェクト」始動 グロサス社長「立場超えた社会課題に」

公開日時 2026/07/03 04:50
メルクバイオファーマは、不妊治療を理由とした望まない離職の防止と、キャリアを諦めずに働き続けられる社会の実現に向けた「仕事と不妊治療の両立プロジェクト」を始動した。同社のジェレミー・グロサス代表取締役社長は6月30日に開催したキックオフイベントで、「不妊治療は個人だけの問題ではなく、それぞれの立場を超えて社会の課題としていくことが大事だ」と述べ、不妊治療をめぐる課題解決に向けた取り組みを強化する考えを示した。

プロジェクトは、同社において妊活や不妊治療を支援するYELLOW SPHERE PROJECT(YSP)の一環。不妊治療と仕事の両立を個人の努力に委ねるのではなく、社会で支える課題へと捉え直すことを目的とし、企業間での課題や新たな視点の共有などを通じて、社会の機運醸成を図る。

グロサス社長は、「キャリアか不妊治療か、どちらか一方を諦めなければならない状況は、本来あってはいけない」と強調。「私たちは単に医薬品を提供するだけでなく、患者さんの人生の伴走者でありたい。誰もが自分のキャリアと人生設計の両方を大切にできる社会の実現に向け、一歩ずつ行動をしていく」と語った。

◎担当医とのスケジュール共有で治療を円滑に

イベントでは、「妊活離職」の実態や企業の取り組みなどが紹介された。東邦大医学部産科婦人科学講座の片桐由起子教授は、「卵子の成長や成熟度、予測される排卵日に合わせて治療が組まれるため、卵子の成熟度によっては突発的な通院指示が発生することは避けられない」とメカニズムを説明。そのうえで、担当の医師とスケジュールを共有するなどし、「治療スタートの時に遠慮せずに先生と相談して、可能性のある日を思い描きながら取り組んでいただくと助けになるのではないか」と、コミュニケーションの重要性を指摘した。

◎高度不妊治療支援を拡充 助成上限を約1800万円に

同社は、不妊治療のための有給休暇制度や教育啓発活動など、社内外へ向けた支援策を展開している。なかでも社員を対象とした高度不妊治療制度を6月18日付で拡充し、体外受精、人工授精、卵子凍結、男性不妊治療などを対象とした生涯助成上限額を従来の315万円から10万ユーロ(約1800万円)に引き上げた。

また同社は3月から、企業や患者団体、学術・医学会などで構成される「社会で支える不妊治療共創会議」においてコアメンバーとして参画。企業の枠を超えた連携を強化し、不妊治療を社会全体で支える基盤づくりを進めている。グロサス社長は、「一者では解決できない課題だからこそ、共に考え共に行動していくことが重要だ」と述べ、多様なステークホルダーとの連携を通じた社会課題の解決への意欲を示した。
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