財務省 製薬業界に産業構造転換迫る MRの待ち時間や雑務の多さを指摘

公開日時 2017/10/26 03:53
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財務省は10月25日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、MRについて「医師5人に対して1人のMRによる営業が行われ、待ち時間や雑務が多いとの調査結果がある」と指摘した。製薬企業の費用構造を論ずる中で主張したもの。製薬業界は研究開発費が他の産業に比べ高率で、成功確率が低いとされているが、財務省は、研究開発費以上に「営業費用など研究開発費以外の販管費の比率が高い」と指摘した。製薬企業の収益についても、薬価制度をはじめとした、いわゆる“財政措置”のみに頼るのではなく、研究開発環境の改善や創薬コスト低減を進めるほか、再編による規模拡大や強みのある疾患領域に特化するなど、産業構造の転換を求めた。

薬価制度改革をめぐっては、2016年12月に「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を4大臣合意し、薬価の毎年改定の方向を明記した。高額薬剤問題をきっかけに、薬剤費適正化の議論の俎上にのぼる中、製薬業界は2018年度予算編成の過程でもこの命題を突き付けられることとなりそうだ。この日の財務省の薬価制度に関する提案も基本方針の実現を一歩も緩めることなく、厚労省に改革の断行を促す内容となっている。


◎医薬品営業の全労働時間に占める待ち時間21.1%と紹介


製薬企業の費用構造について財務省は、医薬品産業の営業利益率が他産業に比べて高いことを指摘した。その上で、MR業務に要する時間や財務などを比較。職種別の週間労働時間と業務内容の内訳(リクルートワークス研究所調べ)をみると、全産業の本来業務時間が全体の74.3%、待ち時間が7.8%に対し、製薬産業の営業は、本来業務が58.9%、待ち時間が21.1%と、圧倒的に待ち時間の割合が高率との結果を紹介した。加えて、製薬企業から医師に対し、共同研究の研究開発費のほか、寄附金、原稿執筆料、講演会など、「合計数千億円程度が支払われている」ことも指摘している。

こうした中で、財務省が財政審に提出した資料では、イノベーションに向けた厚労省の政策対応を列挙。イノベーション推進の観点から、研究開発の生産性向上を主眼とし、MID-NETなどの医療基盤整備や、国立がん研究センターが中心となってゲノム情報を集積するSCRUM-Japanなどを通じ、研究開発の環境整備を進める。厚労省と産業界が行った官民対話でも、「条件付き早期承認制度」の導入が厚労省側から提示され、革新的医薬品については早期で承認を得るとともに、MID-NETなどを通じて得たビッグデータなどを活用した製造販売後調査のコスト低減などの施策実現に力を入れる方針が示されたところ。こうした研究開発環境の改善を通じ、イノベーションが推進されると見通す。

一方で、薬剤費に対する国民負担の軽減も重要になる。その柱となるのが、薬価の毎年改定と、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の“ゼロベースでの抜本的な見直し”だ。財務省は、新薬であれば“すべて”評価するのではなく、「患者にとっての個々の医薬品の画期性や有効性を見極めて評価」することを提案した。研究開発の原資とするために一定の売上を確保する観点から公的医療保険の価格設定を行うことは「適当ではない」、「本当に画期的な医薬品を創出する研究開発につながるかどうかも明らかではない」とした。

特に、新薬創出・適応外薬解消等促進加算は「廃止すべき」と改めて主張した。現行の薬価制度では、有用性・画期性が評価された品目、希少疾患用治療薬や小児治療薬、さらに世界に先駆けて上市された品目などについては加算がある。しかし、新薬創出加算はこの如何によらず、薬価の乖離率などの要件を満たせば算定できる。そのため、“何らかの形で存続すべき場合”であっても、画期性や有用性での加算を得た品目に対象を限定すべきとした。


◎薬価毎年改定「乖離の大きな品目」は金額ベースを主張


新薬創出加算の財政影響は、単純計算と断った上で2017年度に2530億円/年と試算した。さらに薬剤使用料の変化や、新薬創出加算品目を類似薬として類似薬効比較方式で算定された品目での影響もあると指摘。新薬の6割が加算を継承しているとした。新薬創出加算と、これまでになされた加算の累積についても、「速やかに薬価を引き下げて解消すべき」と主張した。

一方で、薬価の毎年改定の対象品目とされる「価格乖離の大きな品目」については、厚労省が乖離率での改定を検討する中で、「金額ベース」での改定を提案した。仮に乖離率や品目数をベースに改定を行うと後発医薬品が対象となることが想定される。一方で、後発医薬品の改定を行っても、削減される金額は新薬と比べれば少額にとどまることになると指摘した。

そのほか、2020年度に本格導入される費用対効果評価については、類似薬がなく、コストを積み上げて計算する「原価計算方式」で算定された医薬品と、類似薬効比較方式で補正加算が付いた品目について、すべてを義務化することを求め、費用対効果評価が悪い品目については引下げを求めた。

 

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