厚労省 新薬16製品を承認 血友病A治療薬へムライブラ、腰椎椎間板ヘルニア薬ヘルニコアなど

公開日時 2018/03/26 03:52
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厚労省は3月23日、新薬16製品29品目を承認した。この中には、インヒビター保有の血友病A治療に用いる抗体医薬で皮下注製剤のヘムライブラ(一般名:エミシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)や、後縦靭帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニアに対する初の医薬品となるヘルニコア椎間板注用1.25単位(同コンドリアーゼ、生化学工業)がある。

新薬として承認された製品は以下のとおり。
ヘルニコア椎間板注用1.25単位(コンドリアーゼ、生化学工業):「保存療法で十分な改善が得られない後縦靭帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニア」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

腰椎椎間板ヘルニアは膨隆・突出型、後縦靭帯下脱出型、経後縦靭帯脱出型、遊離脱出型――に分類されるが、このうち後縦靭帯下脱出型のみに使える。

椎間板の中心部分にある髄核の構成成分グリコサミノグリカンを特異的に分解する酵素コンドリアーゼの注射薬。椎間板ヘルニア患者では、髄核などが突出して脊髄周辺神経を圧迫しているが、同薬を椎間板内に直接、単回投与することで髄核を縮小し、神経への圧迫を減少させる効果が見込まれている。

腰椎椎間板ヘルニアは時間経過に伴い症状が軽減することも多いため、治療の原則は保存療法となる。保存療法にはNSAIDsなどの鎮痛薬の投与、ステロイドまたは局所麻酔薬を用いた神経ブロック、理学療法が主に行われる。これらの保存療法で効果不十分な場合、現在は主に手術療法となるが、ヘルニコアは手術療法と類似した臨床的位置づけの治療を提供するものとなる。

オゼンピック皮下注2mg(セマグルチド、ノボ ノルディスクファーマ):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:249

週1回投与のGLP-1受容体作動薬。週1回投与の類薬には、ビデュリオン皮下注(一般名:エキセナチド、製造販売元:アストラゼネカ)、トルリシティ皮下注(同デュラグルチド(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)があり、オゼンピックは選択肢のひとつとなる。

薬食審医薬品部会の審議では、重度の腎機能障害患者の使用に対する注意喚起のあり方が議論の遡上にのぼり、結果、メーカーが作成する資材で、重度腎機能障害患者に使用した場合の有効性、安全性は十分に明らかになっていないため慎重に使用するとの趣旨で注意喚起することが確認された。

添付文書での注意喚起にならなかった理由を同省の担当官は、▽指摘された件について欧米での添付文書には記述がないこと▽情報の軽重の判断▽資材の方が丁寧な説明が可能なこと――を総合的に判断した結果だとしている。

シングリックス筋注用(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)、ジャパンワクチン):「帯状疱疹の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:631

50歳以上が対象。0.5mLを2か月間隔で2回筋肉内に接種する。この適応では生ワクチン(阪大微研)があったが、シングリックスはアジュバントを含む遺伝子組換えワクチン。

トレムフィア皮下注100mgシリンジ(グセルクマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:399

免疫や炎症に関わるIL-23を標的にするヒト型抗IL-23モノクローナル抗体製剤。IL-23は、炎症性に関与するIL-17Aを上流で調節するとされ、下流経路におけるサイトカイン産生を抑えて効果を発揮するとされる。ヤンセンが17年4月に承認申請した。大鵬薬品とコ・プロ契約している。

オルケディア錠1mg、同錠2mg(エボカルセト、協和発酵キリン):「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

ナフチルアルキルアミン骨格を有する新規のカルシウム受容体作動薬。既承認のレグパラ錠(一般名:シナカルセト)で課題となっている上部消化管障害の発現頻度を軽減することなどを期待して、開発された薬剤。類薬にはレグパラ錠やパーサビブ静注透析用などがあり、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者における治療選択肢のひとつとなる。

スージャヌ配合錠(シタグリプチンリン酸塩水和物/イプラグリフロジン L-プロリン、MSD):「2型糖尿病(ただし、シタグリプチンリン酸塩水和物及びイプラグリフロジン L-プロリンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間は4年。薬効分類:396

DPP-4阻害薬ジャヌビアとSGLT2阻害薬スーグラとの配合錠。1規格で、成分の含有量はシタグリプチン、イプラグリフロジンとも50mg。用法・用量は通常、成人には1日1回1錠を朝食前または朝食後に経口投与する、というもの。DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬との配合剤にはカナリア配合錠があり、スージャヌ配合錠は2番手となる。

シベクトロ錠200mg、同点滴静注用200mg(テジゾリドリン酸エステル、バイエル薬品):「深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:6249

適応菌種はデジゾリドに感性のMRSA。適応とする皮膚軟部組織感染症の半数近くは黄色ブドウ球菌で、うち20~40%がMRSAだという。両剤形とも1日1回投与。バイエルが17年5月に承認申請した。海外では、米国は14年6月、欧州は15年3月に承認、17年11月現在51の国・地域で承認済。

ガラフォルドカプセル123mg(ミガーラスタット塩酸塩、アミカスセラピューティクス):「ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。薬効分類:399

国内患者数は315人~760人と報告されている。既存薬のファブラザイム点滴静注用やリプレガル点滴静注用といった酵素補充療法(ERT)製剤とは作用機序及び投与経路が異なることから、患者の状態に応じた治療選択が可能になり、ファブリー病に対する治療選択肢の一つとなる。

同剤はα-ガラクトシダーゼ(α-GalA)の基質であるスフィンゴ糖脂質の末端ガラクトースの類似体。薬理学的シャペロンとして変異型α-GalAに結合することで、α-GalAのリソソームへの輸送を促進し、リソソームにおけるα-GalA活性を上昇させると考えられている。
 

アジレクト錠0.5mg、同錠1mg(ラサギリンメシル酸塩、武田薬品):「パーキンソン病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:116
 
非可逆的かつ選択的なモノアミン酸化酵素B型(MAO-B)阻害薬。MAO-Bに非可逆的に結合することで、脳内のドーパミンの分解を抑制し、シナプス間隙中のドーパミン濃度を高めることによってパーキンソン病の症状に効果を発揮する。
 
既承認の非可逆的選択的MAO-B阻害薬であるセレギリン塩酸塩(製品名「エフピーOD錠」など)と異なり、アンフェタミン骨格を有さないため、覚せい剤原料には該当しない。このため流通上の規制から外れる。
 
シグニフォーLAR筋注用キット10mg、同筋注用キット20mg、同筋注用キット30mg、同筋注用キット40mg(パシレオチドパモ酸塩、ノバルティスファーマ):「クッシング病(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)」の効能・効果を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:249
 
10mgと30mgは、今回の効能追加に併せて申請された新規格。これら2用量規格は、既承認の効能である先端巨大症などには使えない。クッシング病は良性下垂体腺腫からの副腎皮質刺激ホルモン過剰分泌によって副腎が刺激され、その結果、コルチゾールが過剰分泌されることにより、慢性的に高コルチゾール血症を呈する疾患。国内患者数は450人程度とされる。
 
同剤はソマトスタチンアナログ。ホルモンを過剰分泌する良性腫瘍で発現しているソマトスタチン受容体に結合し、活性化することで、ホルモン分泌を抑制する医薬品。
 
ヘムライブラ皮下注30mg、同60mg、同90mg、同105mg、同150mg(エミシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「血液凝固第8因子に対するインヒビターを保有する先天性血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。薬効分類:634
 
インヒビターは、投与された第8因子を異物とみなし、攻撃、働かなくさせるために体内で作られる抗体であり、治療が困難になるおそれがある。同剤は、基本的には週1回皮下投与する。遺伝子組換え製剤であり、ヒト等の原材料由来による感染症リスクを低減しているのも特徴。
 
プレバイミス錠240mg、同点滴静注240mg(レテルモビル、MSD):「同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」を効能・効果と対象疾患とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。希少疾病用医薬品。薬効分類:625
国内外の診療ガイドランでは、同種造血幹細胞移植後に行うモニタリングでサイトメガロウイルスの再活性化を検出した上で、治療薬の投与を始める「先制治療」が主に実施されているが、この薬剤は、日本において、サイトメガロウイルスの感染が確認される前に予防的に投与される薬剤となる。移植の成功と予後の改善が期待されるという。
 
ラパリムスゲル0.2%(シロリムス、ノーベルファーマ):「結節性硬化症に伴う皮膚病変」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。薬効分類:429
 
同剤は一定要件を満たす革新的新薬として厚労省から2015年10月に、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。同剤はmTOR阻害薬。用法・用量は通常、1日2回、患部に適量を塗布して用いる。
 
結節性硬化症に伴う血管線維腫は、全身の過誤腫を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患に特異的な皮膚病変。重症化により鼻閉塞や易出血を引き起こし、患者のQOLに著しく悪影響を及ぼす疾患といわれている。現在の治療法にはレーザー治療や外科的切除と侵襲性の高い治療法が用いられており、再発が多く、色素変化や瘢痕、感染等のリスクもある。
 
タフィンラーカプセル50m、同75mg(ダブラフェニブメシル酸塩、ノバルティスファーマ)
メキニスト錠0.5mg、同2mg(トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物、ノバルティスファーマ)
:「BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果に追加する新効能医薬品(両剤)、新用量医薬品(タフィンラーのみ)。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。薬効分類:429
 
BRAF600遺伝子変異は、非小細胞肺がんの約2%。BRAF遺伝子変異陽性の腫瘍はより増殖が速く予後不良であるとされ、ここにBRAFとその下流に位置するMEKを分子標的とする同剤による治療の可能性がある。
 
両剤の併用療法には、BRAF遺伝子変異を特定するためのコンパニオン診断薬として、サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループ・ライフテクノロジーズジャパンの「オンコマイン Dx Target Test CDxシステム」を使用する必要がある。ノバルティスでは、一定期間、BRAF遺伝子変異を特定するための当該診断検査にかかる費用を負担するプログラム」を用意する。
 
レンビマカプセル4mg(レンバチニブメシル酸塩、エーザイ):「切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間5年10か月。薬効分類:429
 
同剤は根治切除不能な甲状腺がんの適応で承認取得しているが、今回の肝細胞がんの適応追加については3月に米メルクと締結したレンビマに関する共同開発・共同販促戦略的提携契約後、初の承認となった。

医療用薬5製品 適応追加などで承認
 
同日は、新薬の承認のほか、医療用医薬品5製品が新たな適応などを追加する承認を取得した。承認されたのは次のとおり(カッコ内は一般名、製造販売企業)。
 
ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL、同皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注80mgシリンジ0.8mL、同皮下注40mgペン0.4mL、同皮下注80mgペン0.8mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「既存治療で効果不十分な膿疱性乾癬」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
 
関節リウマチの治療薬として知られる生物製剤で、尋常性乾癬、関節症性乾癬の適応の承認も取得している。膿疱性乾癬は指定難病で、主な症状として発熱、全身倦怠感、発赤や四肢のむくみとともに全身に皮膚に膿がたまる膿疱を伴う。特定疾患の受給を受けている患者は全国で2072人という。販売はエーザイ、EAファーマがプロモーションで提携している。
 
ベルケイド注射用3mg(ボルテゾミブ、ヤンセンファーマ):「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
 
適応となった疾患は、悪性リンパ腫のひとつで、骨髄やリンパ節、脾臓、肝臓、血液中などに広がっていくといい、発症年齢の中央値は60歳代。貧血によるだるさや疲れやすさなどがあり、血液の粘り気が強くなる過粘稠症候群が起こりやすくなり、視力障害や脳血管障害を発症することがあるという。
 
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、この追加する適応症について公知申請が妥当と判断され、第二部会の了承を経て申請されていたもの。そのため既に、追加予定の適応症について保険適用されている。
 
ワンパル1号輸液、同2号輸液(エイワイファーマ):「経口、経腸管栄養補給が不能または不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、アミノ酸、カロリー、ビタミン、亜鉛、鉄、銅、マンガン及びヨウ素の補給」を効能・効果とする類似処方医療用配合剤。再審査期間なし。新しい成分は入っていないが、最新の欧米のガイドラインなどに準拠するよう配合割合を変えた。販売は陽進堂が行う。
 
乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンH5N1筋注用「化血研」(乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(H5N1株)、化血研):「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」に児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2024年3月23日まで)。H5N1型のパンデミック第一波の時に用いるプレパンデミックワクチン。
 
乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用(乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)、化血研):「パンデミックインフルエンザの予防」に小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2025年3月25日)。プロトタイプワクチンは、パンデミック時にその時に実際に流行しているウイルス株を用いて迅速に製造できるようにするもの。
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