アレクシオン ソリリスの早期投与で適応外使用誘発 戦略に明記 MRが投与タイミングをクロージング

公開日時 2018/10/16 03:52
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アレクシオンファーマ合同会社が販売するaHUS治療薬・ソリリスの特定使用成績調査で、医師よりも先に検査結果をMRが把握し、その結果をプロモーション活動に活用していたことが明らかになった。アレクシオンは2018年の営業統括部戦略の柱にソリリスの「早期投与」を掲げ、検査結果を利用して、医師に投与のタイミングをクロージングしていた。aHUSへの投与は、小児では一定のコンセンサスが得られているが、成人は二次性TMAとの鑑別診断が必須だ。鑑別診断には遺伝子検査などで時間がかかるという。アレクシオンファーマが医師に早期投与を促したことで、適応外である二次性TMAへの投与が頻繁に行われた疑いが強まった。さらに、早期投与の症例には、適応外として保険査定されたものも含まれており、その費用が病院の持ち出しになっていたケースの存在も明らかとなった。(本誌既報、関連記事)。

本誌はこれまで、ソリリスの情報提供資材の不適切性に着目し、報道してきた。その後、取材を継続するなかで、ソリリスの「早期投与」を主眼とする不適切プロモーションによって、本来使用すべきaHUSではない二次性TMAにソリリスが使用され、加えて、その後のレセプト審査で適応外とみなされ、保険査定されるなど、医療機関側に多大な影響を及ぼしている実態が明らかになった。ソリリスは成人1例あたり、投与開始後5回投与(29日)分の薬剤費は950万円という。年間の薬剤費は6000万円超に上る高額薬剤であり、不適切な使用に伴う保険財政への影響も懸念される。

◎特定使用成績調査を活用 保険適用前の検査費用は企業が肩代わり

アレクシオンが活用したのはソリリスの特定使用成績調査。TMAのうち、TTPを除外するのに必要な「ADAMTS13」という血液検査を用いた。ただ、ADAMTS13だけでは、aHUSの鑑別診断はできない。また、ADAMTS13は、2018年4月以前は保険適応されておらず、DPC病院などでは約7000円程度の持ち出しとなっていた。ところが特定使用成績調査の契約を結んでいれば、アレクシオンファーマが負担する仕組みも取り入れており、医療施設との契約促進にも利用していたという。

特定使用成績調査の具体的な手順は、担当医師から検査会社に測定を依頼すると、医師に検査結果の通知が届く3~5日より前に、アレクシオンに検査結果がFAXで送付されてくる仕組み。このFAXで得た結果を担当のMRにメールで送付し、営業活動に利用していた。ADAMTS13を測定する患者は重篤なケースも少なくなく、医師が一日も早く検査結果を知りたいケースが多いという。こうしたなかで、検査結果とともに迅速な情報提供を行うことで、ソリリスの投与を後押ししていた。希少疾患だけにMR数が限られるなかで、リソースの有効活用にも同社は活用していた。ソリリスのaHUSの特定使用成績調査は、2013年9月13日~18年7月31日までで、今夏まで実施されていた。

◎ソリリスの採用・未採用に関わらず使用成績調査契約を医療機関と締結

注目すべきポイントは、この特定使用成績調査は、薬剤の位置づけを明確にする目的で、「ソリリスの投与によらずaHUSと診断されたすべての患者を対象とした長期観察を行う」などとしたところ。つまり、この特定使用成績調査ではソリリスの院内での採用の有無によらず、大学病院や基幹病院と特定使用成績調査の契約を締結していた。アレクシオンはさらに、二次性TMAとaHUSを“活進TMA”(活動性進行性TMA)と位置づけ、患者情報を収集させ、計画達成者の上位にインセンティブを支払う社内コンテストを行っていた。“マンデーカンファレンス”と銘打った社内研修では、医師がaHUSと診断せず最終的に強皮症と診断した実際の症例を示し、医師にaHUSと診断させるよう誘導するロールプレイを行うこともあった。

◎本誌が入手した活動日報の記録

実際の営業活動の様子が活動日報にも記録されている。「ADAMTS13測定もスムーズに出していただいており、ちょうど部長同行での医局での面談中に速報値が届き、お伝えすることができた。直後、ソリリス投与準備のご指示をいただいた。活進TMA発掘の仕組みができており、また、実務医とのコンタクトをスピードをもって行うことができたことにより、投与開始に至ったと考える」-。MRの日報にはこう記されている。部長も、「特定使用成績調査契約先につき、ADAM測定のオーダーが出た時点からこの症例の対応が開始となった」としている。この事例は早期投与に至った成功事例として、社内で共有されていた。通常、スピーディーなMRの活動は評価されるべきもの。ただ、同疾患では鑑別診断を十分とされない状況での投与につながっていたことを示唆している。

◎ソリリス早期投与を「AHUS営業統括部戦略」に明記

こうした情報提供活動を推し進めたのが、営業統括部の戦略だ。アレクシオンの2018年キックオフの資料「AHUS営業統括部戦略」によると、ソリリスの「早期投与」をキーワードに営業戦略が立てられている。

エリア内TMA患者の早期情報把握では、①重要施設の患者情報の流れを理解し、相関図を作成、②情報元のターゲット医師との関係強化―を明記。ソリリス早期投与の加速では、TMA認識時点にて、投与のタイミングをクロージングするよう指示を出している。さらにその際に使用する資材や話法に加えて、「コンサル医師の活用」という文言も明記されていた。そのほかにもTMA(想定)ターゲット医師への啓発として、啓発WEBの活用や、ローカル講演会イベントの実施なども予定していたことがうかがえる。


◎保険審査に関わる医師の特定 説明会・勉強会なども企画

「保険対策」という文言も、同社の営業統括部戦略の重要課題に盛り込まれている。今回の取材を通じ、ソリリスの早期投与に伴い、aHUS以外の2次性TMAへの適応外使用が保険査定され、多額の医療費を病院が持ち出している事例の存在が浮かび上がった。高額薬剤なだけに病院経営への影響も大きいという。実際に病院側からアレクシオンに対し、説明を求める事例も見られたという。こうしたことから、アレクシオンとしては、保険医師への啓発を営業統括部戦略の中に盛り込み、保険審査を行う医師の特定や説明会/勉強会の実施なども行っていた。

 

 

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