薬機法改正 先駆け・条件付き早期承認を法制化へ 厚科審・制度部会

公開日時 2018/10/19 03:53
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厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は10月18日、先駆け審査指定制度と条件付き早期承認制度を改正医薬品医療機器等法(薬機法)で位置付ける方針を固めた。革新的新薬や小児用法用量などのアンメットメディカルニーズの高い医薬品について薬機法上に明確に位置付け、優先審査などのインセンティブを設定する。2018年4月実施の薬価制度抜本改革の放ったメッセージである「製薬産業の構造転換」を実現する上で、治験や市販後調査の効率化、生産性向上は企業にとって命題と言える。創薬環境の整備を通じ、製薬企業の開発意欲を高め、革新的新薬やアンメットメディカルの高い医薬品の早期実用化を促す。同省は、改正法案を2019年の通常国会提出を目指す。

医薬品市場がこれまでの低分子創薬からがんゲノムや再生・細胞医療など新たな技術へとシフトするなかで、研究開発のコストは研究開発型企業に重くのしかかってきた。こうしたなかで、政府は創薬環境を整える施策を打ち、日本市場の魅力を高め、投資を呼び込むため、制度上でも後押ししてきた。現行の薬機法でも、希少疾病用医薬品に対するインセンティブとして、優先審査や助成金交付、税制措置、再審査期間の延長が明記されている。さらに、製造販売後データなどを承認条件として検証試験を実施せずに承認する「条件付き早期承認制度」や、世界に先駆けて国内で開発する画期的・革新的医薬品への「先駆け審査指定制度」を通知で規定されている。ただ、制度の恒久化を望む製薬業界は法制化を強く求めていた。

◎小児用法用量やAMR対策など開発促進

厚労省は、この日の制度部会に、「医療上特に必要な医薬品等」として現行の希少疾病用医薬品に加え、▽先駆け審査指定制度対象となる革新的医薬品等、▽小児用法用量設定やAMR対策の用法変更など、未充足医療ニーズを満たす医薬品等―を新たに薬機法上に位置づけ、インセンティブを設定することを提案した。革新的医薬品は、対象疾患が重篤で、極めて有効性が高く、画期性があり、さらに世界に先駆けて日本で早期開発・申請するものを要件とした。

◎条件付き早期承認 再審査で中間評価 承認条件の変更、安全対策の実施など


条件付き早期承認制度については、「医療上必要性が高く、検証的臨床試験の実施が困難、長期間を要するもの」とした。条件付き早期承認は、重篤で有効な治療法が乏しい疾患の医薬品などについて、承認後の条件を付すことで、通常承認背申請に必要な検証的臨床試験を実施せずとも、そのほかの臨床試験などで一定の有効性・安全性が確認されれば、承認されるというもの。開発期間が短縮し、革新的新薬が迅速に上市されることに加え、研究開発のコスト低減と効率性向上が見込める。

承認後の条件については、▽リアルワールドデータ(RWD)の利活用を含む製造販売後の有効性・安全性の再確認、▽適正使用に必要な場合は施設等要件の設定―を求めた。また、再審査には6年以上の時間を要することから、中間的な評価を行い、その結果を踏まえた承認条件の変更、安全対策の実施などを求めることも要件化する考え。厚労省医薬・生活衛生局の山本史医薬品審査管理課長は、「有効性・安全性を早めに集めていただき医療機関、対外的にオープンにすることを目指している」と説明した。

条件付き早期承認制度の対象範囲を患者数で絞り込む必要性を指摘する声もあったが、山本課長は「非常に重篤な疾患で予後が急激に悪化する場合や、救急で必要な医薬品などは、患者数によらず、検証的臨床試験がやりづらい。患者数を一律の要件にするのは難しい」と説明。一方で、それ以外の場合には、従来通り検証的臨床試験の実施を求めることも強調した。このほか、企業規模や患者数に応じたメリハリのある支援策の実施や、RWDの利活用に必要な信頼に足り得るデータベースの必要性なども指摘された。なお、各制度は条件を満たせば重複して取得することもできる。

◎加茂谷委員 安全対策含め「これまで以上に責任を果たす」


業界代表の加茂谷佳明委員(塩野義製薬上席執行役員東京支店長)は、「日本での開発促進、日本国民の皆様が医薬品の承認審査制度を正確に理解する一助になるものとして法制化については必要と考えている。これまで以上にメーカーとして安全対策を含めてその責任を果たしていく所存だ」と述べた。

◎製品容器・包装へのバーコード表示を法令上規定


このほかC型肝炎治療薬・ハーボニーの偽造品問題を踏まえ、同省は、「医薬品のトレーサビリティの向上」と、「適正流通確保に向けた医薬品卸売業の規制の見直し」を提案した。トレーサビリティでは、医薬品・医療機器・再生医療等製品の直接容器・被包や小売用包装に、標準化規格に基づくバーコードを表示することを法令上規定するもの。表示の義務化にあたっては、製品情報のデータべース登録などを製造販売業者に求めるとともに、医療現場などでバーコードを利用するシステムの実装を推進する。

◎品質確保へ 医薬品営業所管理者の責務明確化 返品も課題に


医薬品卸については、品質管理の観点から医薬品営業所管理者(管理薬剤師)が管理すべき業務を明確化し、内容を業務手順書に記載することや、医薬品営業所管理者への必要な権限の付与、不在時の連絡体制・代行者の確保を義務として明確化する。また返品が多い現状を問題視。卸連、ジェネリック販社協会の会員60社を対象にしたアンケートから、約7割が開封炭であるにもかかわらず、未開封であるように偽装された医薬品の返品・返礼があるとの結果を紹介した。医薬品卸の責務だけでなく、仕入れ先、販売先と連携する必要性を指摘し、「卸売販売業者の責務や医薬品営業所管理者の業務との関係を含め、引き続き検討を行う」としている。

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