製薬協・中山会長 プラットフォーム構築で成長産業創出を 高まるオープンイノベーションの重要性

公開日時 2018/11/05 03:52
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日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長は11月2日、都内で開かれた会見で講演し、「バイオ、新たなモダリティーの世界が近づくなかで、広く産業界にプラットフォームを作り、新たな成長産業を作る」ことに意欲を見せた。一方で現在は、経済成長のエンジェルサイクル(好循環)かデビルサイクル(悪循環)の「岐路にある」と危機感を示し、「単年度の対応ではなく、抜本的で中長期的な施策が必要」と訴えた。新たな産業創出に向け、製薬産業もアカデミアやベンチャーだけでなく、IT企業や医療機器メーカーなど他産業とコラボし、プラットフォームを構築することが必須。オープンイノベーションの在り方も変化するなかで、薬価制度に加え、年末の予算編成過程では18年度末で期限が切れる研究開発税制のオープンイノベーション型の拡充が焦点の一つとなっており、イノベーションをめぐる議論が加速している。

◎米国ではデータのオープンソース化も 政府、企業、アカデミアのコンソーシアムで

この日の会見は、製薬協と米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の日米欧3団体が合同で開催した。

会見で講演したイーライリリー・アンド・カンパニー神経変性疾患領域研究バイスプレジデントのマイケル・L・ハットン氏は、認知症治療の領域で、治療ターゲットの特定と前臨床開発、バイオマーカーの発見と検証、二次的予防試験、治験デザインと治験実施、診断・治療環境の発展―とあらゆる段階で、コラボレーションが進んでいると説明した。

その一例として米国で、米国立衛生研究所(NIH)と製薬企業、アカデミアが協働するコンソーシアム“医薬品開発加速パートナーシップ(The Accelerating Medicines Partnership:AMP)”を進めていることを紹介。得られたデータをオープンリソース化し、ターゲット同定プロセスにおける知識を共有化していること説明した。ハットン氏は、「炎症が疾患プロセスにどのような役割を果たしているのか。一番重要なデータがコンソーシアムから出てきている」としたうえで、新薬開発までの期間を短縮し、早期に実用化するうえでも、公共の財産として政府、アカデミア、企業のパートナーシップが重要との考えを示した。「オープンイノベーションはすでに始まっている。データを共有するコンソーシアムが非常に重要。協業も始めているが、正しい形でのデータ共有が重要だ」とも述べた。

◎最適なモダリティー構築に国を超えたパートナーシップを

田辺三菱製薬執行役員創薬本部長の上野裕明氏は、これまでの治療だけでなく予防もスコープに入り、モダリティーも多様化するなかで、「色々なモダリティーをいかに組み合わせて最適なモダリティーで取り組むのか。ベストパートナーで、マルチナショナルなパートナリングを組む」ことの必要性を強調した。

エーザイ執行役ニューロロジ―ビジネスグループチーフディスカバリーオフィサーの木村禎治氏は、「これまではバイオロジーとのコラボが多かったが、デバイスメーカー、IT、情報をどう使うか」と述べた。そのうえで、データを扱ううえで、個人情報保護法との兼ね合いについての課題も指摘した。

第一三共専務執行役員研究開発本部長の古賀淳一氏は、“プラットフォーム”型の国内での展開について、「コンペティティブでない(非競争)領域については製薬協の委員会などを通じて、情報の共有やトレーニングの機会を作るなどをしている」ことを紹介した。

◎エコシステム構築への支援求める

会見で挨拶したEFPIA Japanのオーレ・ムルスコウ・ベック会長は、「イノベーションは間違いなく、社会に価値を提供する」と強調。アルツハイマーを引き合いに、「イノベーションは全体の医療費抑制にも貢献する」と強調した。

PhRMAのパトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長も、新薬開発が医療費の抑制に寄与するとしたうえで、「メディカルニーズがある革新薬を創出する努力を続けることを約束する。そこにはエコシステムが必要だ。政府もサポートしていただきたい」と述べた。

なお、この日の会見前に3団体は共同で国会議員向けの勉強会を開き、イノベーションの重要性を訴えている。 

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