EFPIA 欧州企業の2社に1社、日本での開発戦略変更 薬価制度抜本改革で

公開日時 2018/11/09 03:51
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日本で事業展開する欧州製薬企業24社で構成される欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)は11月8日、東京都内で記者会見し、2018年度薬価制度抜本改革で行われた新薬創出等加算の要件の見直しによって、EFPIA加盟企業の2社に1社が、国内の開発戦略を既に変更したとの調査結果を示した。要件の見直しによって新薬創出等加算から外れた成分を持つ企業で、かつ調査に回答した14社の結果で、7社が変更済みと答えた。「将来的に開発戦略を見直す」との回答企業は14社中11社にのぼった。

調査はEFPIA加盟企業24社を対象に18年9月に実施したもの。有効回答数は21社。

EFPIA Japanのオーレ・ムルスコウ・ベック会長(ノボ ノルディスクファーマ社長)は会見で、「既に進行中のプログラムが中止されることはおそらくない。臨床試験に参加している患者さんにとって非倫理的だからだ」と述べ、将来の対日投資が減額されるリスクや、日本市場でのドラッグ・ラグの再燃リスクがあることを示した調査結果だと説明した。

EFPIA Japan幹部によると、開発戦略を変更したと回答した企業に、どのような変更をしたのかまでは聞いていないという。ただ、新薬創出等加算の要件見直しで基本的にはネガティブな戦略変更が行われたものの、ポジティブな変更も推察されるとした。ネガティブな変更としては例えば日本の開発順位が今後遅くなることなど、ポジティブな変更としては新薬創出等加算の品目要件のひとつである希少疾病用医薬品の指定の早期取得などが考えられるとした。

■「日本に投資し続ける価値あるのか」、欧州本社から質問攻め

ベック会長(写真左)は、18年度薬価制度抜本改革によって市場の予見可能性と安定性が損なわれたと改めて指摘した。そして、19年度の消費税率引き上げに伴う薬価改定タイミングを念頭に、「19年度の薬価改定影響も、まだどうなるかわからない。欧州企業の日本法人の代表は、欧州本社から、日本で何が起こるのか、いつになったらわかるのか、本当に日本に投資し続けることに価値があるのか、といった質問攻めにあっている」と話した。

その上で、「(医薬品市場が)日本だけだと孤立していれば効率性を高めれば良いということなるが、(市場は)日本だけではない。日本は世界の国々と競争し、投資を誘致している」と強調。中国やシンガポールの研究開発投資を推進する政策を紹介しつつ、日本国内での新薬開発を促進し、患者が最新の医療を早期に受けられることを可能にする仕組みづくりの日本政府などとの議論に、EFPIAとして参加していく姿勢を改めて示した。

イノベーションの定義の明確化にも取り組む。▽より効果が高い▽より安全性が高い▽投与方法がより簡便▽小児適応――といった患者利益に貢献する部分が現行ルールでは十分評価されていないとし、「患者さんの生活改善に大きく貢献するはずの新薬開発にブレーキがかかる可能性」があると訴えた。革新的医薬品や新規機序の医薬品のイノベーション評価だけでは不十分との考えを示した格好だ。

■EFPIA本部のテリエ副会長「日本の環境は不安定。新薬開発の減速リスクある」

欧州のEFPIA本部のジャン‐クリストフ・テリエ副会長(次期会長、ユーシービーCEO、写真右)は訪日会見にのぞみ、「医薬品の開発サイクルは10年で動いており、どの市場に投資するかの判断には、長期にわたる安定的な環境が必要だ」と述べた。18年度薬価制度抜本改革によって、「日本の環境は不安定になり、恐怖感につながった。日本での新薬開発が減速するリスクがある」との認識を示した。

そして、「日本の今の動きは、薬価を医療費のコントロールの手立てとみており、短期的には効果があっても、長期的にはリスクだ」と、日本の患者が将来、新薬にタイムリーにアクセスできなくなるリスクを指摘しつつ、「イノベーションを評価する環境と、医療費との良いバランスをとっていく議論を主張していきたい」と語った。

■高額薬剤の保険償還 「複数年度」も

世界的に問題となっている超高額な治療薬や治療法の保険償還のあり方については、「治癒」を念頭においた議論もいるとし、「時間の経過という要素を入れて考えることが可能と思う。どれだけの期間、効果が続くのか。例えば1回の介入で非常に大きなインパクトがあるなら、この新しい治療法の費用をどのようにカバーしていくか。複数年度で、と考えることも必要と思う」と持論を披露した。ベック会長は、革新的な新薬や治療法による患者の社会復帰に伴って、税収増も期待できると指摘。「治療による社会に対するトータルなインパクトをみないといけない。単に医療費の側面だけでは(その効果は)みられない」と、社会全体への効果と、長期的な医療費の国民負担軽減の視点の重要性を語った。

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