次期薬機法改正で虚偽違反広告への課徴金導入 未承認薬違反は売上の全額対象に

公開日時 2018/12/17 03:52
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厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は12月14日、次期通常国会に提出する医薬品医療機器等法(薬機法)改正案に盛り込む事項を大筋で了承した。製薬企業、医薬品卸等が医療用医薬品の販売情報提供活動を通じ、経済的利得を目的に虚偽誇大広告を行った場合の罰則として、当事者に「課徴金」を科す方針を改正案に明示する。課徴金の算定は、「違法行為の対象となった製品の売上額に一定の算定額を乗じる簡明な算定方式」を採用する。ブロックバスターなどに成長した製品ほど、金額は巨大になる。企業のやり得を防ぎ、不正の抑止としたい考え。同様に、「経済的利得」を目的とした未承認薬については、売上のすべてが違法行為によるものとの議論もあることから、全額を対象とした措置を含めた検討を進める。

降圧薬・ディオバン問題、CASE-J問題に端を発し、化血研のワクチン不正製造問題、ハーボニーの偽造品流通問題など、製薬業界や医薬品卸、保険薬局では度重なる不正が後を絶たない。厚労省は次期通常国会に提出する薬機法改正案を通じ、こうした不正の温床となる事象について、必要な対策を講じると同時に、法制面からも不適正な経済利得を得る企業活動を抑止したい考えだ。

◎薬機法の機動力を高めることで責任追及の長期化を防止

議論の発端となったディオバン問題は事件発覚から5年の歳月が流れた。被告企業の社員による臨床研究のデータ改ざんは認められたものの、薬機法66条(虚偽・誇大広告の禁止)を争点とした裁判は二審も無罪となり、検察も最高裁で争う構えを見せている。今回の制度部会での議論は、こうした一連の事象を踏まえつつ、薬機法の機動力を高め、早期に企業による不適切な経済活動を正す狙いも込められている。さらに、誤った販売情報提供活動による医療現場への影響を考慮し、「訂正広告等を命じる措置命令」を付与することも明確にした。

一方で、処分を受ける側の企業にとっても、裁判に時間がかかるなど、社会的責任の追及を長期間引きずるといった懸念もある。次期通常国会に提出する薬機法改正案では、その機動力を高めるとともに、「他の行政処分が機能している場合には課徴金納付命令を行わないことができる」との除外規定を設けた。製薬企業自らが、自浄作用を働かせ、適正な方向へとガバナンスを発揮することを後押しする。

◎販売情報提供活動GLは一般消費者も対象


広告関連でもう一つ課題になったのが、一般消費者に向けたDTC広告の取り扱いだ。制度部会で花井十伍委員(特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事)は、抗がん剤の承認前の情報提供や、明確に名称を出していないものの、どの医薬品か推測できる広告があると指摘した。政府の規制改革推進会議でも、製薬企業が患者に直接情報提供できるよう規制緩和の検討が始まろうとしている。これに対し、厚労省医薬・生活衛生局の監視指導・麻薬対策課の磯部総一郎課長は、厚労省が今年9月に公表した「医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドライン(GL)」は一般消費者も企業が行う情報提供の対象に含まれていると説明。19年4月のGL施行後に「運用及び遵守状況の調査・分析を実施し、その結果に応じて適切な方策を講じる」ことで、対処する考えを示した。

◎意図的な未承認・適応外薬の販売行為は根っこから違反行為


一方で、「未承認薬への広告」(68条)や、「未承認の医薬品・医療機器等の販売、授与等の禁止」(14条1項・9項等、55条2項等)への違反行為については一歩進めた厳罰を処す考えも示した。磯部課長は、未承認薬の販売禁止については、行為そのものが違反行為だとの見解を表明した。その上で、「広告は、もともと(薬事承認を受けて)売って良いものが対象で、過大な広告で売り上げを伸ばそうという問題事案にも正規な売上分も含まれる」とした一方で、「未承認は根っこから違反行為だ」と説明した。すなわち虚偽誇大広告の事案については、売上高に一定の算定ルールで課徴金が科されるのに対し、未承認・適応外の事案については、全売上高の没収も視野に入れて今後検討を進める考えを滲ませたものだ。

化血研のワクチン不正製造問題を受け、「承認・認証申請書等の重要な事項(品目使用、製造方法等)において虚偽等の不適切な記載が判明した場合」も違反行為に含まれる。化血研の事例では、行政処分後もワクチンの市場流通がなされた事実もある。また、製薬企業、医薬品卸では、承認を取得していない未承認・適応外薬の情報提供や、偽造品の流通などがこれに該当する可能性がある。特に、健康食品、ダイエットやEDなどの効能効果を謳った化粧品メーカーなど、“薬機法上の業許可を持たない事業者”が主体となっているケースが増加しており、こうした業者への抑止力を高めたい考えだ。

企業のガバナンス強化の必要性が高まるなかで、許可等事業者の薬事に関する業務に責任を持つ役員(責任役員)を薬機法上明確化すること、必要に応じて役員の変更命令などの措置が行えることも盛り込まれた。総括製造販売責任者(総責)の要件については、「薬剤師であり、かつ一定の従事経験を有し、品質管理業務または安全確保業務に関する総合的な理解力及び適正な判断力を有する者」が任命されるよう明確化することとした。ただ、薬剤師資格が必須要件であることから、役員が総責を担うケースは多くはなく、ガバナンスを発揮できていないとの指摘もあった。そのため、例外規定を設けることを明示した。ただし、「例外規定が長く続かないように、専門的見地から総責を補佐する社員たる薬剤師の配置、薬剤師たる総責の社内での継続的な育成」など体制整備を求めた。

◎先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度も法制化

このほか、製薬業界が要望を続けてきた、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化(関連記事)や、添付文書に記載された情報の原則電子化(関連記事)なども盛り込まれた。 

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