厚科審・制度部会 添付文書の情報を電子化へ 企業ガバナンス強化へ総責要件見直しも 薬機法改正

公開日時 2018/11/09 03:52
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厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が11月8日開かれ、添付文書に記載された情報の原則電子化を大筋で了承した。現行の医薬品医療機器等法(薬機法)では、添付文書を製品に同梱することが義務付けられていた。電子化により、タイムリーな情報提供を可能にし、より適正使用が推進されるほか、製薬企業にとってはコスト抑制も期待できる。このほか、この日の制度部会で厚労省は、総括製造販売責任者の要件見直しを提案。現行では薬剤師ライセンスの保有者を必須要件としているが、“やむを得ない場合”の例外規定を設けることが議論の俎上にのぼった。

◎QRコードを活用で最新情報にアクセス 紙媒体と併用で確実性も担保

この日の制度部会で、厚労省は添付文書の情報を“電子的な方法”で提供することを基本とすることを提案した。添付文書の製品への同梱を廃止する一方で、医師・薬剤師など医療従事者に確実に最新情報を届けるために、「納入時、医療機関・薬局に赴く際に、原則添付文書の紙媒体を提供」することを求めた。それとともに、製造販売業者は添付文書情報にアクセス可能なQRコードなどを製品の外箱などに表記する。製造販売業者は、QRコードを介して読み込んだホームページ上に製造販売業者が最新の添付文書情報を掲載することで、医療機関や保険薬局が最新の情報にアクセスすることを可能にする。製薬業界側も、医薬品の適正使用推進の観点から電子化を強く要望していた。

山口育子委員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「すべての医薬品の中に紙媒体が入っているのは資源的にも問題。ペーパレス化が早急に必要で、事務局の提案に賛成だ」と述べるなど、適正使用の観点からも最新情報にアクセスできるメリットを強調する声が相次いだ。

ただ、中川俊男委員(日本医師会副会長)は、情報がアップデートされた際に製薬企業からのプッシュ型での情報提供を求めた。そのほか、「医薬品を納入するのは卸。紙の添付文書も同時に医療機関に提供するのは卸業者。メーカーが紙媒体を責任はどこにあるのか」と指摘するなど、医薬品卸の責務を問う一幕もあった。これに対し、厚労省は、医薬品卸を通じた情報提供もひとつのチャネルであり、責任を負うのは製造販売業者との責務との考えを示している。

◎ガバナンス 責任主体は「経営陣」明記へ 役員の変更命令も

企業経営のガバナンス強化について厚労省は、責任主体が「経営陣」であることを法律上明記することを提案した。経営陣の責務は、①薬事に関する法令遵守、②技術責任者の専任、③法令遵守のための体制整備―であることも明記。法令遵守を担保するために「薬事に関する業務に責任を有する役員」を法律上明確化し、薬機法違反などがあった場合には役員の変更を命じることができる措置を行えるようにする。

また、これまで不正が起きた課題として、技術責任者と経営陣の認識に乖離があることを指摘。品質保証責任者と安全管理責任者を束ね、品質管理・製造販売後安全管理の総括的な責任を負う「総括製造販売責任者(総責)」が役員に対し、必要な意見を述べる義務を設ける。一方で、役員には総責の意見を尊重し、必要に応じて措置を行うことを義務付ける。化血研の血液製剤の不正製造など、製薬企業の相次ぐ不正事案を受けたもの。責任を明確化することで、ガバナンスを強化する狙いがある。一方で、許可申請書類を簡素化するなど、平時の事務負担を軽減する考え。

◎総責要件 薬剤師資格は「原則」 医師免許や薬学博士なども視野

この日の制度部会では、総責の要件について議論が集中。厚労省は、総責の必須要件だった薬剤師資格を「原則」としながらも、例外規定を設けることを提案した。中小企業などで薬剤師資格を有する人財が十分にいないケースなどを想定する。日本製薬団体連合会(日薬連)のアンケート調査に回答した約350社のうち、1/4が課長職であるという現状がある。品質管理と安全管理について十分な知識・経験を有しておらず、また経営陣に進言するのも難しいことなどから、責務を十分果たすことができないと懸念されていた。一方で、品質保証責任者と安全管理責任者には経験年数などの要件はあるものの、薬剤師資格は要件となっていない。

中川委員は、「品質保証と安全管理責任者が薬剤師であるべきだ」と反発。厚労省医薬・生活衛生局医薬安全対策課の関野秀人課長は、薬剤師要件を科すことで、総責の現在の状況と同様、かえって責務を果たせなくなることに懸念を示した。実際、現状で薬剤師要件はないものの、半数以上の企業で薬剤師が務めている実態はある。総責の薬剤師要件については、「薬剤師を原則としてそれがなし崩しにならないということが重要だ」と述べた。花井十伍委員(特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事)は医師資格を持つ人や薬学博士など、薬剤師免許を持たずとも専門的な知識と経験がいるのでは、と指摘した。

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