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米FDA 心不全治療薬イバブラジンを承認

公開日時 2015/04/17 03:50

 米食品医薬品局(FDA)は4月15日、慢性心不全治療薬Corlanor(イバブラジン)を承認した。イバブラジンの適応は、慢性心不全患者の悪化による入院の低減となっている。米国では、心不全患者は約510万人いるといわれている。心不全の主な原因は、冠動脈疾患や高血圧などである。


同剤は、心臓のペースメーカー機能を果たしているイオンチャネルの1つであるIfチャネルを選択的に阻害し、心拍数を低下させ、少ない心拍数で十分な血液を拍出させ、心臓の負担を軽減させる。同剤はすでに世界約100か国で安定狭心症の適応で承認されている。


FDA医薬品評価研究センター(CDER)のNorman Stockbridge心血管・腎臓製品部長は、「心不全は成人における死亡と障害の主原因だ」と指摘したうえで、「Corlanorは、心拍数を減少させることで作用すると考えられており、この種のクラスの薬剤では初の承認製品である」と評価した。FDAは同剤に対して、優先審査および迅速承認の指定を行った。


同剤の安全性および有効性は、6505人を対象としたプラセボ対照二重盲検試験で検証された。同剤はプラセボに比べて、心不全悪化による初の入院のリスクを低減させた。同剤の調剤の際には、服用方法や安全性情報を提供する患者メディケーションがイドの配布が義務付けられた。患者は、不整脈、胸痛、息切れ、徐脈などを経験したら直ちに医師に相談するよう求められている。


同剤は、米アムジェン社(本社:カリフォルニア州)が製造する。アムジェンは、同剤の開発企業であるフランスのLes Laboratoires Servier社から米国での商業化権を取得している。アムジェン社のSean E Harper上級副社長(研究開発担当)は、「多数の心不全患者は、患者の負担となり、医療資源を費やす入院を繰り返しているのが現状だ。我々は、画期的治療オプションとしてのCorlanorの本日の承認が、患者および家族、医療制度に対するアンメットメディカルニーズに対応するものと期待する」と話した。


アムジェン社によると、心不全の医療費は毎年約310億ドルかかっているという。そのうちの大半が入院医療費である。2030年までに米国の心不全医療費は、2.3倍増の700億ドルに上昇すると見込まれている。
なお、同剤は、国内では、小野薬品工業が2011年9月にServier社から慢性心不全を適応として、日本での独占的開発・商業化権を取得している。 


 

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