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国内大手トップ年頭所感 11年は新時代の幕開けとしたい

公開日時 2011/01/07 04:01

国内大手製薬企業トップの年頭所感は、米国市場で主力品が特許満了を迎える「2010年問題」に対する危機意識が強くにじんだ昨年年頭とは一転、新時代の幕開けの年にしたいという姿勢がみられた。バイオ製品の競合激化、新興国の高成長など事業環境の変化を受け、その先を見据えた新規領域への参入などの新たな事業展開の必要性、それに伴う社員の行動変革を促す内容となった。

武田薬品は、糖尿病薬アクトス、降圧剤(ARB)ブロプレスがそれぞれ11年、12年には特許満了を迎える。長谷川閑史社長は、同社の230年にわたる事業に触れ「弛まぬ変革への挑戦があったからに他ならない」と指摘。「これだけ急速に変化する時代においては、何もしないことが最大のリスクであることを肝に銘じて変革に取り組んでいただきたい」と行動を促した。国内営業担当には、新製品の市場定着の実現とともに「新薬価制度の恒久化に向けて、メリハリの効いた情報活動にまい進してもらいたい」と呼びかけた。

アステラス製薬も、免疫抑制剤プログラフ、排尿障害改善剤フローマックスがGEとの競合が本格化。野木森雅郁社長は、5製品の国内承認申請や製品導入、がん領域の事業基盤確保などを進めてきたとした上で「取り巻く環境変化をしっかり見据え、日々の挑戦を続けてほしい」と述べ、目標達成に向けた行動を促した。

エーザイは、PPIのアシフェックスは、特許満了はまだ先だがPPI市場でのGEに押され気味、抗認知症薬アリセプトは10年に特許満了、国内にも競合新薬が登場する。「これまでのビジネスモデルや仕組みを総点検し、グローバルにおける新たなリージョンバランスとがん領域への本格参入によるフランチャイズ領域の新たなバランスを考え、最適な事業活動を展開するスタートの年となる」との姿勢を示した。

第一三共は、3社とは違い主力の降圧剤オルメサルタンの特許満了が16年とまだ先。その中でジェネリック薬含むエスタブリッシュ事業、ワクチン事業に着手した。中山讓治社長は、成長基盤づくりが着実に進んでいるとしている一方で、市場成長の鈍化、他産業・業種からの参入などの環境変化を挙げ「更なる強力な経営基盤を構築していく必要がある」と指摘。「現在の業界の常識は5年後には全く通じなくなると考え、自分たちが今成すべきこと、今後変えていかなくてはならないことをしっかりと意識し」行動に移すことを求めた。

1月6日には東京医薬品工業協会などによる「薬業四団体新年賀詞交歓会」が、業界関係者約700人の出席を得て、東京都内のグランドプリンスホテル赤坂で行われ、東薬工の松田譲会長(協和発酵キリン社長)は主催者を代表してあいさつし、事業環境変化を挙げ「新薬開発のイノベーションに加え、ビジネスモデルのイノベーションが必要な時代になってきたと言えるのではないか」と指摘した。業界の課題としては、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、日本医薬品卸業連合会も挙げている新薬創出加算の本格実施を挙げ「業界一丸となって実現に向け努力していく必要がある」と訴えた。

 

 

卸連・別所会長 「妥結遅くなれば有利な商習慣の改善に全力」

日本医薬品卸業連合会の別所芳樹会長(スズケン会長)は年頭所感で、新薬創出加算の本格実施論議と絡め「今一度、昨年7月の流改懇の中で提言された『早期妥結のインセンティブ』『価値と価格の議論』について、流通当事者間で討議し一定の方向性を見出していく必要がある」との認識を示した。適正な事業運営のためにも2年前の史上最悪の決算を「二度と繰り返すわけにはいかない」とし、そのためには引き続き「粘り強い交渉」を行い、「妥結が遅くなればなるほど有利になるような商習慣を改善することに全力を傾けることではないかと思っている」と述べた。

訂正(7日16時)

武田薬品の長谷川社長の年頭所感の記述で、「申請品の市場定着」とありましたが、正しくは「新製品の市場定着です。訂正いたしました。

 

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