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【秋アレリポート】東京女子医大・青柴教授  重症の喘息例はCOPDとの鑑別が困難

公開日時 2011/11/30 06:03

 

青柴氏東京女子医科大学大学院呼吸病態制御学教授の青柴和徹氏 は11月12日、第61回日本アレルギー学会秋季学術集会で喘息とCOPDの形態的な類似点と相違点について講演し、重症の喘息症例では、病勢進行因子などが影響し、形態学的にCOPDとの鑑別が困難になると解説した。


青柴氏は、特徴的な形態変化として、喘息では気道組織での上皮剥離、基底膜肥厚、平滑筋肥厚、血管新生、COPDでは扁平上皮化生、気道壁線維化、肺胞接着の喪失と破壊であり、喘息、COPDに共通して見られる気道壁肥厚は、喘息では平滑筋肥厚、COPDでは線維性増殖が主たる原因であると説明した。

また、気道の縦断面の形態変化においては、喘息病変は中枢気道が主体であり、COPDでは末梢気道の病変が主体となる点で異なり、横断面では、喘息が平滑筋肥厚により気道外方に肥厚していくのに対し、COPDではコラーゲンの増殖に伴う線維化によって内方に肥厚していくのが特徴的であるとした。

しかし、喘息では通常、症状が進行すると病変は中枢気道から末梢気道まで広がることが知られており、青柴氏 は喘息死の剖検例から重症喘息での気道の形態的状況をみた場合、重症喘息の末梢気道ではコラーゲンIの増加による気道外層の線維化が確認でき、炎症も外層優位、COPDに特徴的な肺胞接着の破壊も生じてくるなど両疾患の形態的相違点が少なくなってくると解説。さらに固定性気道閉塞のある喘息の1秒量低下レベルは、COPDと同程度であり、重症喘息とCOPDの鑑別が難しくなるとの認識を示した。

ただし、1秒量の低下に相関して、喀痰中では喘息で好酸球、COPDでは好中球が増加してくるなど、両疾患には炎症病態をはじめとして、いくつかの点で違いがあると指摘。

これらを踏まえて青柴氏 は、喘息の動物モデルにおいて気道リモデリングは必ずしも気道炎症のみが原因ではないという報告があることから、非炎症要因と気道リモデリングの関係の解明が求められるとの見解を示した。また、ヒトの気道リモデリングは一般的に不可逆的なものと考えられているが、冬眠中のハムスターでの組織学的検討からは、可逆的な気道リモデリングが観察されていることを考慮し、ヒトでの初期の気道リモデリングでも可逆性がある可能性について言及。「可逆的な気道リモデリングから不可逆的な気道リモデリングに移行するPoint of no return の解明が求められる」と提言した。
 

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