民主党・厚生労働部門会議 診療報酬改定ネット引き上げを
公開日時 2011/12/19 04:00
民主党の厚生労働部門会議は12月16日、2012年度診療報酬改定について、「10年度改定を下回らない診療報酬の引き上げ」を求める意見書をまとめた。同部門会議の長妻昭座長は同日、党の前原誠司政策調査会長に意見書を提出し、党として政府に要望することを求めた。
民主党厚生労働部門会議の資料は以下の通り。
1 民主党厚生労働部門会議の意見書はこちら
2 財務省の提出資料(長期収載品の薬価を10%程度引下げ等)はこちら
3 厚労省の提出資料(長期収載品の追加的薬価引下げ等)はこちら
意見書は、診療報酬引き上げとともに、小児や救急など勤務医の疲弊といった現場になおも過重な負担がかかっていることに対する対策が必要だとして、「急性期医療機関への継続的な対応と、在宅療養の充実を目指した中小病院・有床診療所等への一層の対応」を求めた。
薬価制度改革にも触れ、「長期収載品の過重な引き下げ原価割れ問題への対応」が必要だとした。会議としては、医薬品産業を「基幹産業」と位置づけ、長期収載品の過重な追加引き下げは「成長を阻む要因となる」と指摘。梅村聡副座長は、「後発品の使用促進をしている一方で、長期収載品の追加引き下げを深堀することは、(安価な)後発品を使うインセンティブがなくなり、普及のスピードが遅くなってしまう」と述べ、財務省が求める10%程度の引き下げは矛盾した意見だとした。
介護報酬改定については、現状の介護報酬水準に加え、介護職員処遇改善交付金分(2%)以上の引き上げ」を求めた。
この意見書は、診療報酬引き上げ、介護職員の賃金引き上げに取り組むとした党のマニフェストの実施と、財務省が薬価改定分と診療報酬改定の本体の1%程度の引き下げと合わせてネット(全体)で2%以上の引き下げを求めていることに対しけん制したものといえる。
すでに厚労と財務の両省間では診療報酬改定率を巡り、19日の週の決着を目指し、事務レベルの折衝は進められているが、16日段階ではネットプラスを求める厚労省と、ネットマイナスが方針が財務省と両省の意見にはまだ大きな隔たりがある模様。この日まとめられた党の部門会議からの意見書に対し、前原誠司政調会長は質問に終始し、明確な姿勢を示さなかったといい、政府・与党は難しい判断を迫られている。