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東薬工・中山会長 喫緊の課題は「医師・医療機関との関わり方」「適切な情報提供」 薬業四団体新年会で

公開日時 2015/01/08 03:52

東京医薬品工業協会などによる恒例の薬業四団体新年賀詞交歓会が1月7日、業界ほか行政の関係者など約750人を招き、東京都内のザ・プリンスパークタワーで開かれた。主催者代表挨拶に立った東薬工の中山讓治会長(第一三共社長、写真)は、医師主導臨床研究を巡る不祥事を踏まえ、業界側の喫緊の課題として▽医師・医療機関と医薬品企業との関わり方▽信頼に足るデータの確立と情報開示▽薬剤選択に資する適切な情報提供--を指摘。「倫理・法令遵守による透明性の確保」のような抽象的な言い方にとどめず、課題を具体的に示し、各社に対応を促した。

 
中山会長は、これら課題について「それぞれの企業は現状をしっかり認識のうえ、適切な対応を継続的に進めることが、経済的側面のみならず、社会的責任を果たし、また医薬品業界の信頼性をさらに引き上げることにつながると考えている」と話した。
 
また業界側の課題として、14年4月以降の国内医療用薬市場がマイナス成長となり、この10年間で最も低い水準になっていることなどを挙げ「医薬品産業の各社は経営面において、その転換時期にいよいよ差しかかっていると言えるのではないか」との認識を示した。
 
制度改革論議 「短期的な財源論に偏重するな」と注文
 
産業界の成長については、「アベノミクス」の成長戦略の一翼を担う業界として「その役割を全力で果たす」とする一方、政府側の方針に注文。研究開発税制の見直しで効果が縮減し、法人税減税のプラスの影響がいくつかの企業では打ち消されてしまうと指摘。科学技術立国を目指す国の方針の中で、研究開発投資へのインセンティブとしては不十分だとした。毎年改定が取りざたされる薬価改定時期を含む他の政策上の課題について「主張すべきところはしっかりと繰り返し社会に向けて発信していく」との姿勢を示し、政府・与党には「短期的な財源論に偏重せずに、政策の一貫性と全体バランスを充分に考慮して頂きたい」と述べた。
 
来賓として出席した塩崎恭久厚生労働大臣は、中山会長の指摘を受け「研究開発があってこそ世界のリーディング産業としてやっていける。規制のみならず産業振興にも取り組む」とし、研究開発税制も実施状況を見ながら「(見直す必要があれば)さっさと直す」と応じた。
 
藤井基之文部科学副大臣は来賓挨拶で、厚労省の薬事工業生産動態統計が薬価改定年ではない13年もマイナスとなり、改定年の14年も含め3年連続のマイナスになりかねない状況を挙げ「(医薬品産業はアベノミクスの)『第三の矢』の中核でなければならない。政府はそのことを意識して仕事しなければならない」と語った。
 
交歓会の中で行われた薬事功労者厚生労働大臣表彰受賞者の紹介で代表して謝辞を述べた内匠屋理氏(メディセオ名誉会長)は、厚労相へのメッセージとして、取りざたされている毎年改定が実施されれば薬業界、医療界は「瀕死の重傷」になるとして、「各団体の意見をよく聞き日本の医療を守ってほしい。体を張って、財務省の暴挙を阻止してほしい」と訴えた。
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