【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

財政審建議 社会保障負担率「数値目標と年限明確に」改革工程表策定を 27年度薬価改定は完全実施を

公開日時 2026/06/29 05:00
財務省の財政制度等審議会(十倉雅和会長・住友化学相談役)は6月26日、建議を取りまとめ、片山さつき財務相に手渡した。社会保障負担率(国民所得に対する社会保険料負担の割合)を指標に、「具体的な数値目標と年限を明確に掲げるとともに、その達成に向けた社会保障改革の具体的な改革項目について、工程表を改めて作成すべき」と提言した。そのうえで、ロードマップに沿った社会保障制度改革の着実な実施を通じ、家計可処分所得の持続的な増加につなげる必要性を指摘した。70 歳以上の患者自己負担を原則3割とすることを盛り込んだほか、2027年度薬価改定については、市場拡大再算定の実施を含め、「奇数年度であることを理由に、対象品目や算定ルールを限定することなく」“完全実施”することも明記した。(写真提供:財務省)

建議では、「過去を振り返ると、医療・介護の給付費の伸びが、保険料の賦課ベースとなる雇用者報酬の伸びを上回り、このギャップにより、保険料率は長期的に上昇してきた」と指摘。社会保障制度の「持続可能性を確保し、現役世代の納得感を得ていくためには、現役世代の保険料負担を抑制していくことが不可欠」と指摘した。「経済の好循環を実現するためには、賃金の上昇にとどまらず、家計可処分所得が持続的に増加していくことが重要。今後も一定の物価・賃金上昇が継続すると想定される中、医療・介護を中心とした社会保障制度改革を着実に推進し、社会保障負担率の引下げを通じて現役世代の負担を軽減するとともに、経済全体の賃上げ政策と相俟って、家計可処分所得の持続的な増加につなげていくことが重要」とした。

指標とした“社会保障負担率”は、社会保障給付費の増加が続く一方、近年では賃上げの進展等により、国民所得の伸びが社会保障負担の伸びを上回り、「横ばいないし微減で推移する局面が見られている」と指摘した。実際、26年度も3%を超えるプラス改定による診療報酬改定で物価対応・賃上げ対応を行う一方で、社会保障制度改革の実施などにより、「給付水準の適切な引上げと国民負担の抑制が同時に実現する形で、26 年度の社会保障負担率も低下する見込み」とした。

◎社会保障負担率は「経済全体の動向と負担の抑制の双方を反映するもの」

そのうえで、社会保障負担率を指標に、「具体的な数値目標と年限を明確に掲げるとともに、その達成に向けた社会保障改革の具体的な改革項目について、工程表を改めて作成すべき」と提言した。「ロードマップに沿って医療・介護を中心とした社会保障制度改革を着実に推進し、社会保障負担率の引下げを通じて現役世代の負担を軽減するとともに、経済全体の賃上げ政策と相俟って、家計可処分所得の持続的な増加につなげていくことが期待される」とした。

なお、社会保障負担率について財政審は、「賃上げを軸とする経済全体の動向と社会保障改革による保険料負担の抑制の双方を反映するものであり、国民にとっても、現在、どの程度の社会保険料負担が国民全体に課されているのかを端的に、かつ、分かりやすく示す指標であると考えられる」と説明している。

◎70 歳以上の患者自己負担割合「可及的速やかに現役世代と同様に原則3割とすべき」

高齢者の患者自己負担割合については、年齢による自己負担割合の不公平を是正し、現役世代の保険料負担を軽減するため、負担能力に応じた負担とする観点から、「70 歳以上の患者自己負担割合については、可及的速やかに現役世代と同様に原則3割とすべき」と指摘。「その実現に向けた具体的な道筋を明確に示すべき」と主張した。

25年11月に閣議決定された「強い経済を実現する総合経済対策」では、高齢者医療の自己負担のあり方について、「26年度中に具体的な制度設計を行い、順次実施する」とされていることを引き合いに、「その中で“原則3割負担化”の実現に向けた制度改革の工程表を作成するべき」とした。

特に、「就業率や医療ニーズの実態を踏まえれば、70 歳から74 歳の者についてはもはや一律に高齢者扱いすべきでないとも考えられる」として、「負担能力に応じた負担とする観点から、原則3割負担とするとともに、高齢者のみに適用される外来特例は廃止とすべき」と主張。75 歳以上の者の負担割合については、「仮に経過的な措置として窓口負担割合に年齢による一定の線引きを残すとしても、現行の線引きをゼロベースで見直すとともに、例えば、新たに75 歳以上となった方々の負担割合は74 歳までの負担割合のまま維持することとすべき」と提案した。

◎特定疾病制度の見直しを リフィル処方・長期処方の推進も重要

特定疾病制度の見直しも提案した。特定疾病制度は、人工透析患者等の特定の疾患について医療費の自己負担上限を低額に抑える制度。建議では、「制度創設から長期間が経過していることや、他疾患の患者との公平性、負担能力に応じた負担の考え方に鑑み、特定の疾病についてのみ自己負担限度額を大きく抑制していることについて、当該制度の効果検証や対象者の実態把握等も踏まえつつ、見直しの必要性を含め検討していくべき」と提案した。

このほか、「医療資源の有効活用と慢性疾患の患者への継続的な健康管理の両立の観点から、リフィル処方・長期処方の推進も重要である」ことも盛り込んだ。

◎27年度薬価改定は「対象品目や算定ルールを限定せずに」 イノベーション推進は成長戦略で

27年度薬価改定に向けては薬価改定の認識を改めて示したうえで、「完全実施」の必要性を改めて指摘した。

建議では、「薬価改定は基本的には、既収載品の薬価を市場での実勢価格に合わせるものであり、現役世代の保険料負担の軽減、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保といった観点を踏まえつつ、27年度薬価改定は着実に実施することとされている」との認識を表明した。“創薬イノベーションの推進”については、日本成長戦略会議で「創薬・先端医療」が17 の戦略分野の一つに位置付けられ、「革新的新薬のイノベーションの更なる評価の検討、創薬人材の育成・確保、研究開発力の強化、スタートアップへのリスクマネーの供給などの施策について、“官民投資ロードマップ”の取りまとめに向けた議論が行われている」と説明。「国民の健康や生命を守る観点に加えて、経済成長に寄与するため、これらの取組を着実に推進していくべき、との意」としている。

27年度薬価改定については、「奇数年度であることを理由に、対象品目や算定ルールを限定
することなく、偶数年度における薬価改定と同様、革新的な新薬への適切な評価と長期収載品等の適正化等に係るメリハリある対応も含め、完全実施されるべき」と主張した。なお、前回の奇数年度改定である25年度薬価改定では、市場拡大再算定や長期収載品の薬価改定ルールが適用されていない。

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(4)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

官民投資ロードマップ ファーストインクラス創出へ官民投資40年度までに23.4兆円 経済効果162兆円

官民投資ロードマップ ファーストインクラス創出へ官民投資40年度までに23.4兆円 経済効果162兆円

2026/06/25
政府は6月24日、経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議で、戦略17分野の「官民投資ロードマップ」を公表した。
製薬協 「日本市場の魅力向上や投資の呼び込みにつながる」 官民投資ロードマップ公表受けて声明

製薬協 「日本市場の魅力向上や投資の呼び込みにつながる」 官民投資ロードマップ公表受けて声明

2026/06/25
日本製薬工業協会(製薬協)は6月24日、経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議で官民投資ロードマップが公表されたのを受け、宮柱明日香会長名で「患者さんに革新的な医薬品を届ける産業の重要性を国内外に示すもので、日本市場の魅力向上や投資の呼び込みにつながる」と歓迎するステートメントを発出した。
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー