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EFPIA Japanブルン会長 新薬創出加算継続しても薬剤費支出は膨らまない

公開日時 2015/04/15 03:52

欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)のカーステン・ブルン会長(バイエル薬品社長)は4月14日、新薬創出加算を継続しても現在のジェネリック(GE)の普及状況から薬剤費支出は長期的に見ても膨らまないとして、新薬創出加算の継続を強く訴えた。薬剤費の更なる抑制策として議論の俎上にあがっている年1回改定についても、GEによって薬剤費支出がコントロールされていることや、医療機関や医薬品卸の実務的な負荷が重いことなどから、必要性はなく反対との姿勢を示した。

ブルン会長は、2014年度~25年度までの日本の薬剤費は年平均成長率0.13%で推移するとのシミュレーション結果を改めて示しながら、「(年々)医療費は高騰するが、薬剤費はほぼ横ばいで推移する。ここをしっかり分けて考えるべきであり、気付いていない人があまりにも多いのは問題だ」と述べ、▽薬剤費が医療費を押し上げている要因ではない▽新薬創出加算の仕組みは薬剤費支出を増やすことなく新薬・イノベーションの創出を促進する――ということに理解を求めた。

仮に新薬創出加算が継続されなかった場合、新薬市場は16年度~25年度までの10年間で約5兆円縮小するとの新たなデータも示し、外資系製薬企業を中心に日本への投資意欲が薄れ、新たなドラッグ・ラグにつながる恐れがあるとも指摘した。シミュレーションでは新薬創出加算を継続した場合、25年度まで薬剤費は毎年ほぼ10兆円で推移するが、同加算を継続しなかった場合、毎年約5000億円縮小する。

またブルン会長は、17年4月に予定されている消費税率10%への引き上げに伴う薬価改定について、「増税分の調整はしてもいいが、毎年改定につながってはいけない。実勢価の調査はいらない」と語った。薬価には消費税を含むため、現行8%から10%への引き上げに伴う増税分のみを上乗せすべきと主張した格好だ。

■2025年のGE比率は70%に

EFPIA Japanはシミュレーション結果を昨年末に公表しているが、この日はシミュレーションの詳細な設計などを明らかにした。シミュレーションの前提条件は、諸々の試算から、▽新規発売成分数は17年度まで毎年42成分、18年度以降は同45成分。このうちバイオ医薬品は毎年約3分の1▽低分子化合物のピーク時売上は100億円、バイオ医薬品は同80億円と設定▽新薬創出加算の対象は新規発売成分の81%▽特許切れ時期は上市後11年▽GEの普及速度は10年第2四半期以前の普及率をベースに2.25倍、300億円以上の規模の成分はその普及速度をさらに1.5倍に設定▽2年に1回の薬価改定では、その改定率を新薬創出加算品目、新薬創出加算対象外の新薬、長期収載品、GEそれぞれで設定――などとした。

このうちGEの普及速度は疾患分類ごとに細かく設定しているが、大型成分では「約1年でGE(の使用割合)のピークに達する」(原邦之・EFPIA Japan薬価経済委員会委員長)という。消費税率は、引上げを加味すると市場全体も増税分で拡大するため、シミュレーションは税率5%で固定して市場動向を分析した結果が大半を占める。

なお、シミュレーション結果(消費税率5%で固定)は、薬剤費は25年度まで毎年ほぼ10兆円で推移。新薬は20年度の5.1兆円がピークとなり、その後、ニッチ領域向けで一製品あたりの売上規模は小さくなるため4.3兆円に縮小する。長期収載品は縮小傾向で25年度に3.1兆円(14年度3.4兆円)。GEは一貫して拡大し、25年度は2.0兆円となり14年度からほぼ倍増する。

薬剤費の年平均成長率は13年度~17年度が1.77%、18年度~21年度は0.14%、22年度~25年度はマイナス1.48%になる。この間に毎年、売上200億円超の成分の特許切れが5成分~16成分あるが、21年度は16成分、22年度は11成分と多いことが22年度以降の成長曲線鈍化の要因となる。GE比率は17年度に59%、25年度では70%になると予測している。
 

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