国がん、東大、第一三共 悪性リンパ腫薬のフェーズ1開始 がん幹細胞の根絶作用期待
公開日時 2016/03/23 03:51
国立がん研究センター、東京大学、第一三共は3月22日、がんの再生能力を持つがん幹細胞を根絶する作用を期待する新規分子標的薬(開発コード:「DS-3201b」)を共同開発し、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)を含む悪性リンパ腫患者に対しフェーズ1を開始したと発表した。
悪性リンパ腫の予後が悪い一因は、がん幹細胞が治療後も残存するためと考えられている。それに対し同剤は、がん幹細胞の維持に必須な酵素であるヒストンメチル化酵素EZH1と同2を標的に、両酵素を阻害することで、がん幹細胞を根絶し、再発を抑えることをが期待される。これまでの実験動物等を用いた非臨床試験で急性骨髄性白血病や非ホジキンリンパ腫に有効であることが示唆されているという。
悪性リンパ腫は血液のがんの一つ。その中のATLは日本に多い悪性リンパ腫の一型で、原因となるHTLV-1キャリア数は約120万人、その約5%が発症するといわれる。ATLの発症予防法や有効な治療法は確立しておらず、薬剤耐性の頻度が高く、予後不良。悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別され、日本では約9割が非ホジキンリンパ腫。