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中医協薬価専門部会 オプジーボの臨時薬価引下げを各側了承

公開日時 2016/10/06 03:53

厚生労働省は10月5日の中医協薬価専門部会に、高額薬剤問題で焦点となっている抗がん剤・オプジーボについて、緊急的な対応として市場拡大再算定の考え方を適応して薬価を引き下げる考えを提案し、診療・支払各側とも大筋で了承した。これに伴い、通常の薬価改定年でない臨時特例的な薬価改定が17年4月にも行われる。薬価の下げ幅は、現行の市場拡大再算定ルールに当てはめると最大25%の薬価引き下げとなるが、一方で小幅にとどまるとの見方もある。今後は財務・厚労両省間で調整が本格化し、17年度予算編成の目玉である社会保障費の伸びの適正化の議論と合わせて年末までに決着する見通し。


前日の財務省・財政審分科会、翌日の中医協薬価専門部会を通じ、抗がん剤・オプジーボの臨時薬価引き下げの包囲網が敷かれた。薬価改定は通常2年に1回とされ、16年4月の通常改定で国費ベース1.41%(薬価ベースで6.47%)の引き下げを行った。財務省は17年度予算編成に際しても、社会保障費の自然増6400億円を5000億円まで圧縮する方針を示しており、その差額分1400億円を抗がん剤・オプジーボの臨時薬価引き下げなどを充当する方針を示していた。


この日の中医協薬価専門部会で厚労省は、“緊急的な対応”を講ずる薬剤の対象範囲を、▽2015年10月~16年3月までに効能追加がなされた薬剤、▽2016年度販売額が1000億円超とし、かつ当初予測の10倍以上の売上高となる薬剤――と定義。該当する薬剤について市場拡大再算定の考え方を適用することを提案した。実質的には、オプジーボのみが該当し、その類薬に当たるキイトルーダも引下げられることとなる。この日も、厚労省保険局の中山智紀薬剤管理官が、「緊急的対応の結論が出た上でオプジーボの価格が設定された場合には、キイトルーダの価格も同様になる」と明言した。


市場拡大再算定は、▽売上が予想年間販売額の2倍以上かつ年間販売額が150億円超、▽売上が予想年間販売額の10倍以上かつ年間販売額が100億円超――のいずれかを満たす薬剤に適応され、原価計算方式では最大25%引き下げられることとなる。2016年度診療報酬改定で新設された特例拡大再算定は、▽年間販売額1000~1500億円で予想の1.5倍以上で最大25%、▽年間販売額1500億円以上で予想の1.3倍以上で最大50%―の2段階で引下げを行うこととしている。


今年度は改定年ではないことから薬価調査を実施しておらず、各企業による予測販売額に基づき、引下げ率を定める。オプジーボを販売する小野薬品の推計によると、同剤の年間市場規模予測は1260億円。仮に特例拡大再算定が適応されると最大で25%の薬価引下げが行われることとなる。


◎支払側 企業側の予想販売額に公平性、透明性求める


これまで診療側は、期中の臨時的な薬価引下げでは、財源を診療報酬財源へ充当することが難しいことから、期中での薬価引き下げに慎重な姿勢をみせていた。しかし、この日は診療側、支払側ともに反対意見は聞かれなかった。ただ、売上高が企業の予想販売額に基づくことについて、支払側から意見が出た。


支払側の吉森俊和委員( 全国健康保険協会理事)は、「予想算定額、公平性、透明性をいかに担保するか。納得感の得られる情報の公開を求める」と指摘。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、「自己申告でやるのであれば、どういう根拠で販売額を出したといういっていのロジックくらいは説明していただきたい」と述べた。さらに、企業側の予測販売額と実際の売上高にかい離があった場合には2018年度改定でのさらなる薬価引き下げを視野に入れることも迫った。診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)は、市場規模が拡大した時点での薬価の修正が必要との考えを示した。


2018年度薬価改定を見据えた薬価制度の抜本的な見直しを迫る声も聞かれた。オプジーボについては、腎細胞がんの効能追加が8月に承認され、現在承認申請中が2癌種、フェーズ3が6癌種、フェーズ2が5癌種ある。キイトルーダも悪性黒色腫(メラノーマ)の適応で9月に承認され、フェーズ3が6癌種、フェーズ2が5癌種ある。診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、これらの適応取得時の薬価収載時に問題になるとの見方を示し、「国民が待ち望んでいる中で、いまの薬価の見直しではとてももたない。抜本的、さらに超抜本的な薬価の見直しをすることが我々中医協の責務ではないか」と強調した。


これに対し、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、薬価算定のルールについて「医薬品は実際に変動費、必要な経費がある。患者数や市場規模とリンクするということではない」と説明。その上で、2018年度改定に向け、「適応症が追加されれば、薬価を改めて計算されることになる。しっかりルールを作って2018年に期中に議論することがないよう、議論したい」と述べた。


専門委員の加茂谷佳明委員(塩野義製薬常務執行役員)は、「最適使用推進ガイドラインの効果も含めて議論が行われるべきだ。一定のルールにないことを行うのであれば、企業の経営の安定性を維持しながら議論いただきたい」と述べた。


◎最適使用推進GL 検査値や指導内容など診療情報明細書の摘要欄に記入で実効性担保


高額薬剤問題は薬価引下げに加え、最適使用推進ガイドライン(GL)策定を通じた適正使用の推進が柱となっている。GLの策定を通じ、施設要件や患者要件を明確にし、投与対象を絞ることで適正使用を進めることで適正化を図りたい考え。


この日の中医協薬価専門部会では、対象となるオプジーボ、高脂血症治療薬・レパーサのGL素案が提示された。施設要件としては、▽施設の専門性、▽副作用の診断や対応、▽承認条件(全例調査)への対応―をあげた。一方、患者要件としては、▽投与対象患者、▽副作用マネジメント、▽病勢安定後の治療継続――をあげ、これらを明確に示す方針を示した。


GL策定後は、その内容を踏まえた留意事項通知を発出することで、周知に努め、医療保険制度上も、不必要な使用に歯止めをかける。留意事項通知では、GLの内容を踏まえ、実効性の確保や、経済性・医薬品の特性を踏まえた保険適用の在り方、実臨床における医師の判断の観点で修正を行い、具体的な事項を示す。


投与対象についても、“効果不十分例”を「最大耐用量を服用しているが、十分な治療効果が得られていない患者」などと明確に示す。投与に際しては、この患者像に合致することを示す検査値や食事・運動療法の指導内容などを診療情報明細書の摘要欄に記入するなどして、実効性を高めたい考えだ。


支払側の吉森委員は、「医師の裁量に十分配慮しつつも、ガイドラインの実効性をいかに確保するかが最大のポイントだ」と指摘。「ルールの遵守ができていない請求については保険償還の取り扱いについても留意すべきだ。費用対効果を見極める必要がある」と述べた。支払側の平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、施設要件などについて審査支払機関でのチェック体制の構築に疑問を投げかけた。これに対し、厚労省の中山薬剤管理官は、GLの透明性確保の重要性を強調した上で、「国としてできることがあるかどうかはしっかり検討させていただく」と述べた。

専門委員の上出厚志委員(アステラス製薬株式会社執行役員医療政策部長)は、「留意事項通知の内容は、本来適応とする患者がアクセスの阻害がないよう慎重な議論をお願いしたい」と述べた。
 

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