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厚労省・偽造薬流通防止検討会 GDPは自主的取り組みに 研究班作成GLを厚労省が通知 卸業許可は規制強化へ

公開日時 2017/11/13 03:50

厚労省医薬・生活衛生局の「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」は11月10日、製造から販売までの流通上の品質確保の手順などを定め、偽造薬防止策にもなっている国際的な基準「医薬品の適正流通基準」(GDP)の国内導入について、製造販売業者、卸売販売業者などの事業者に「自主的取り組みを促す」とする形でとりまとめることになった。厚労省研究班が作成する国内向けガイドライン(GL)を厚労省が通知し、促すことになる。また、規制強化が課題となっていた卸売販売業者の許可基準については、「できるだけ早く」医薬品の適正管理を確保する体制に関する規定などを新たに追加することを盛り込む方向となった。業許可基準の見直しには薬機法改正が必要になる。これらの実施時期について同省は、現時点では明らかにしていない。検討会は、次回12月に最終報告をまとめる。

GDPの内容は、取引相手の身分など適格性の確認を含む譲受・譲渡記録の厳格化など一部内容は改正省令や関連通知に盛り込まれているほか、日本医薬品卸売連合会の自主基準(JGSP)で取り込まれている事項があるが、いずれにおいても未対応の事項もあり、全般についてどうルール化を図るかが課題だった。これまでの検討会では、義務的な適用を求める意見がある一方で、事業者のコスト負担などから段階的な適用との意見もあった。

その中で厚労省は同日の検討会で「自主的な取り組みを促していくことが重要ではないか」と提案。一條宏委員(卸連薬制委員会委員長)は、JPSPにGDPの内容の反映を進めていることを報告。同省の提案の方向でまとめることになった。

省令等の規制化を提案しなかった理由について同省は、GDPのうち偽造品流通・取引防止に関する部分は省令化しており、そのほかの部分についても事業者側で対応が進められ、流通・取引の品質は一定程度保てるとする一方、GDP全般の適応による実施上の影響も十分に把握できていないことから、まずは自主的取り組みを促すことにしたとしている。実施済み事項と追加的な対応が必要になる事項を通知で明確にした上で、対応を促すことになる。

この日の検討会は、GDPガイドラインの全般に対応する国内導入のほか、▽卸売販売業者の許可基準の見直し▽他の薬局などへの医薬品の販売・授与を業務の中心としている業態の位置づけ▽薬局開設者と管理薬剤師の責任や責務▽医薬品の封かん方法の見直し――の重点課題について対応方針を検討した。大筋の方向が見えてきたことから、予定どおり12月に最終報告をまとめることになった。

卸業許可規制の強化 卸連の一條委員「社会の信頼を得るためにも早い規制強化を」


卸売販売業の許可基準の見直しは、営業所の構造設備を定めているだけの現行基準に、現在順守事項(省令)とされている医薬品の適正管理体制などを、許可基準に追加とする方向で落ち着いた。同省は当初、「事業者への影響等を踏まえ、慎重に行われるべきであり、まずは、今般の省令改正等の順守状況と、これを踏まえた監視指導の状況をよく踏まえる必要があるのではないか」と提案したが、一條委員が、卸連加盟社の偽造品流通防止対策は進んでいるとした上で「社会の信頼を得るためにも、慎重にではなく、できるだけ早い規制の強化を」と強く主張、これに複数の委員が賛意を示した。同省は、要件の内容は審議会で検討するとしている。

他の薬局などへの医薬品の販売・授与を業務の中心としている業態の位置づけについては、主に卸売販売業が業務実態となっている薬局に対しては卸売販売業許可の取得を促すとともに、そこまでの必要がないケースにおいてはJGSPへの対応を促す方向。デッドストック等を売買する仲介業者もあるとされたが、実態が不明なことから、どう対応するかは検討課題とすることになった。

薬局開設者と管理薬剤師との関係 薬局のチェーン化で相互の意思疎通確保が課題

偽造品流通・取引防止で役割が重視されている保険薬局の開設者と管理薬剤師の責任や責務については、明確な方向性が出ず、今後の検討課題となった。薬局のチェーン化が進み、開設者が管理薬剤師ではないケースが増え、同一者が複数の薬局の開設者となるケースも珍しくなく、開設者と管理薬剤師の間に、地域の複数の薬局を管理するエリアマネジャーのような存在が出ていることが指摘された。

この中で、三村優美子座長代理(青山学院大学経営学部教授)は、薬機法に規定されている管理薬剤師が必要な事項について開設者に意見を述べ、開設者は意見を尊重するといった規制上の関係のみならず、薬局を経営する企業内の意思疎通を実効的なものにして医薬品の安全性や品質をいかに確保するかという「企業のカバナンス」にも関わる問題と指摘。「制度全体の課題として、さらに検討を進める」という方向となった。

封かん方法の見直しは、偽造品がボトルで流通したことを受けたもので、医薬品の開封の有無を判別できることが重要だと指摘。しかし、メーカーである製造販売業者から現場への封かん状態の判別方法に関する情報提供が不十分であるとの日薬連の調査結果を踏まえ、情報提供を強化することになった。目に見えない偽造防止技術については、メーカーに対しさらなる開発・導入を促すことにした。

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