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18年度診療報酬改定 7対1入院基本料の重症患者割合30%以上に引上げ 急性期病院は地域包括ケア型へ

公開日時 2018/01/29 03:51

中医協総会は1月26日、2018年度診療報酬改定で焦点となった、現行の7対1入院基本料に相当する重症患者割合を現行の25%以上から「30%以上」に引き上げることを決めた。重症度、医療・看護必要度については、現行基準からの見直し案が提示されており、実質的には1.6ポイント程度の引上げとなる。重症患者割合は、診療側が現行の25%維持を求めていたのに対し、支払側は30%以上への引上げを求めており、調整が難航。公益委員による裁定を経て、決着した。より急性期の医療ニーズの高い医療を提供する医療機関が明確になる一方で、医療資源を効率的・効果的・効果的に活用する観点から、訪問看護ステーションを併設する急性期病院の増加も予想される。在院日数の短縮も求められる中で、訪問看護ステーションを核として、医療機関同士、かかりつけ医などとの連携にも弾みがつく可能性もある。急性期病院も地域包括ケアシステム時代に合致した姿へとシフトすることになる。

入院医療は、一般病棟入院基本料を「急性期一般入院基本料」と「地域一般入院基本料」の2区分に再編・統合する。評価手法としては、「基本部分の評価要件」と「実績に応じた段階的評価要件」を導入する。急性期一般入院基本料は、現行の7対1入院基本料と10対1入院基本料の間に2つの点数(入院料2、3)を新設し、入院料1~7の7段階とする。7対1病床が過剰と指摘されている。この背景には、7対1と10対1に診療報酬上で200点の格差があり、病院経営への影響を懸念して転換が進まないことなどが指摘されてきた。一方で、将来推計からは、悪性腫瘍は横ばいから減少、肺炎・心疾患・脳血管疾患や骨折は増加から横ばいになるなど、急性期医療のニーズが減少へと転じることが想定される。こうした中で、中間的な点数を設けることで、7対1病床が円滑な転換を促す。

新たな点数では、実績要件としてDPCデータなどの診療実績データに基づき、重症度、医療・看護必要度に照らし合わせて該当患者割合を満たすことが求められる。そのため、最も高い点数である7対1に相当する「入院料1」の重症度、医療・看護必要度を何%とするかが焦点となっていた。これまでの議論の中で、支払側は重症度、医療・看護必要度の項目が見直されていることなどから、30%以上の引上げを要望。一方で、診療側は、急性期病院が赤字傾向であることなどから、現行の25%の水準を維持すべきだと主張していた。なお、重症度、医療・看護必要度は、認知症・せん妄の該当患者の判定基準や開腹手術の定義などが見直されており、新たな定義では現行よりも3%程度引き上げられることとなる。

◎新たな点数の重症患者割合は「29%」、「28%」に

この日、公益委員は、現行基準のままでは、「7対1一般病棟の医療ニーズに応じた円滑かつ弾力的な対応は進まない恐れがある」と指摘し、引上げが妥当であるとした。一方で、今改定が将来に向けた大きな見直しをすることなどから、「経過措置も含めた配慮」の必要性も指摘した。

急性期一般入院料の該当患者割合は、▽急性期一般入院料1(現行の7対1に相当):30%、▽急性期一般入院料2(7対1と10対1の中間的な新たな点数):29%、▽急性期一般入院料3(7対1と10対1の中間的な新たな点数):28%、▽急性期一般入院料4(10対1、看護必要度加算1):27%--とし、急性期一般入院基本料5(10対1、看護必要度加算2)、急性期一般入院基本料6(10対1、看護必要度加算3)は現行の18%、12%に該当する推計値を設定する。

◎訪問看護ステーション併設の急性期病院で地域包括ケア推進

新たな点数では、最も点数の高い入院料1では看護配置を現行通り7対1を求めるが、そのほかの点数は10対1が要件となる。医療資源の効果的・効率的に活用した医療提供体制を構築する観点からも、これまで7対1を取得してきた急性期病院では、看護配置を見直す動きが出ることも想定される。特に注目されるのが、訪問看護ステーションを併設する急性期病院だ。

18年度改定では、退院に向けた医療機関と訪問看護ステーションの退院時共同指導の評価を充実。従来、除外されていた特別の関係にある医療機関と連携する場合も算定できるよう改定する。また、患者が入院・入所する際、主治医が訪問看護ステーションからの情報提供をあわせて行った場合の評価として、「診療情報提供料1 療養情報提供加算」を新設する。さらに、医療機関に勤務する看護職員の訪問看護への参画や地域の訪問看護にかかわる人材育成など一定の役割を担う訪問看護ステーションの評価として、「機能強化型訪問看護管理療養費3」を新設する。在宅での看取りの増加も課題となる中で、訪問看護ステーションは、かかりつけ医と急性期病院をつなぎ、ターミナルケアを担うことも期待される。地域包括ケアシステム構築に向けて、病院機能の分化・連携がさらに加速することとなりそうだ。

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