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18年度の国内医療用薬市場 1.8%縮小 平均7.48%の薬価下げを新薬押し戻し

公開日時 2019/05/22 03:52
IQVIAは5月21日、2018年度(18年4月~19年3月、会計年度)の国内医療用医薬品市場が薬価ベースで10兆3293億円、前年度比1.8%減だったと発表した。額では1860億円余り下回った。18年4月の薬価改定で市場平均7.48%の薬価引き下げを受けたが、C型肝炎薬マヴィレット、がん免疫療法薬キイトルーダ、抗凝固薬リクシアナといった新薬の急伸に加え、18年度第4四半期(19年1~3月)に新規のインフルエンザ治療薬ゾフルーザが172億円を売り上げたこともあり、市場全体では2%未満の縮小にとどまった。ゾフルーザは第4四半期に製品売上ランクで10位に入った。

文末の「関連ファイル」に医薬品市場全体、上位10薬効、売上上位10製品の資料を掲載しました(5月22日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。

市場縮小は前回の薬価改定があった16年度以来、2年ぶり。市場規模が10兆円超は4年連続となる。近年の会計年度の市場規模と伸び率は、17年度10兆5154億円(前年度比0.8%増)、16年度10兆4307億円(3.8%減)、15年度10兆8377億円(8.8%増)、14年度9兆9586億円(0.6%減)――。

18年度を市場別にみると、100床以上の病院市場は4兆5460億円(0.5%増)、99床以下の開業医市場は2兆1015億円(3.2%減)、主に調剤薬局で構成される「薬局その他」市場(以下、薬局市場)は3兆6816億円(3.6%減)――。病院市場は微増ではあるものの、前年度に続く成長となる。開業医市場と薬局市場は今回マイナス成長に転じた。

■売上1000億円超 アバスチン、マヴィレット、オプジーボ、リリカの4製品

売上上位10製品をみると、売上1位は前年に引き続き抗がん剤アバスチンだった。売上は1183億円(3.2%増)で、この伸び率は前年度と全く同じ。新薬創出等加算などがつき、18年4月の薬価改定では薬価は据え置かれた。

2位は17年11月発売のマヴィレットで売上は1177億円で、前年度から3倍以上伸びた。新薬創出等加算品目。ただ、四半期ごとの売上推移は、18年1~3月は334億円、4~6月は423億円、7~9月は299億円、10~12月は270億円、19年1~3月は183億円――で、発売から半年余りでピークアウトしたことがわかる。同剤は8週投与との使い勝手の良さに加え、あらゆるジェノタイプに使え、難治例にも使える。多くのC型肝炎患者で根治し、これに伴う市場縮小が売上減の理由となる。

3位はがん免疫療法薬オプジーボで売上は1014億円(1.2%減)だった。前年順位は2位。薬価は用法用量変化再算定などにより、18年4月に23.8%、同年11月に37.5%それぞれ引き下げられた。ただ、同社によると、18年度に数量ベースで37~38%伸びた。この数量増は16年度に効能追加した腎細胞がんと頭頸部がん、17年度に効能追加した胃がんでの使用拡大が主因で、結果、1%強の減収にとどまった。

4位は疼痛薬リリカで売上は1007億円(7.5%増)。新薬創出等加算品目。前年も4位だったが、18年度にブロックバスター入りを果たした。これら売上上位4製品が1000億円以上製品となる。

5位以下は、5位は抗潰瘍薬ネキシウム(18年度売上919億円、10.1%減、前年順位3位)、6位はキイトルーダ(875億円、92.2%増、10位圏外)、7位は自己免疫疾患用薬レミケード(749億円、7.3%減、5位)、8位は抗凝固薬イグザレルト(744億円、5.1%増、6位)、9位はリクシアナ(743億円、53.0%増、10位圏外)、10位は抗潰瘍薬タケキャブ(708億円、18.7%増、10位圏外)――だった。

ネキシウムとタケキャブは、18年4月に特例拡大再算定により16.1%の薬価引き下げを受けたが、それでもタケキャブは2ケタ増と驚異的な伸びをみせた。キイトルーダはオプジーボの類似品ということで18年4月に薬価が11.2%下がったが、数量増で売上はほぼ倍増した。リクシアナは新薬創出等加算がついて薬価が据え置かれたこともあり、大きく成長した。

18年度に売上10位圏外となったのは、糖尿病薬ジャヌビア、降圧剤アジルバ、腎性貧血薬ネスプ、消炎鎮痛薬モーラス――の4製品だった。

■抗腫瘍薬市場は2ケタ成長

薬効領域別の市場規模トップ10を見てみる。1位は抗腫瘍薬市場で、売上は1兆2368億円(10.8%増)だった。抗腫瘍薬市場は12年度から市場規模トップで、17年度に会計年度として初めて1兆円を突破した。特にアバスチン、キイトルーダ、タグリッソ(67.7%増)が市場成長に寄与した。

2位は糖尿病治療薬市場で、売上は5560億円(1.0%増)だった。前年も2位。ジャヌビアやトラゼンタといったDPP-4阻害薬の単剤は減収となる一方で、同阻害薬とビグアナイド薬との配合薬エクメットや、GLP-1受容体作動薬トルリシティ、SGLT2阻害薬ジャディアンスは2ケタ成長した。

3位は抗血栓症薬市場で、売上は4299億円(1.4%減)だった。前年は4位。薬効内トップのイグザレルト、2位のリクシアナ、エリキュースといったDOACは成長したが、特許切れしているプラビックスは34%減、オパルモンは29%減、プレタールは54%減となるなどし、結果、市場縮小した。ただ、前年3位のARBなどを含むレニン‐アンジオテンシン(RA)系作用薬市場は今回7位に大きく順位を下げたこともあり、抗血栓症薬はマイナス成長ではあったものの順位をひとつ上げた。

4位は免疫抑制薬市場で売上は3799億円(3.9%増)。前年は6位。薬効内トップのレミケードは減収となったが、ヒュミラやシンポニーといった売上上位製品は伸長し、市場全体の成長につながった。

5位は眼科用薬市場で売上は3471億円(0.9%増)。薬効内トップのアイリーアは10%増、ルセンティスは8%増と、これら加齢黄斑変性症治療薬の伸長が市場成長の要因となる。前年は9位で、今回4つ順位を上げた。これは今回6位以下の市場がそろって市場縮小したことが主因だろう。

6位は制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬市場で売上は3463億円(8.3%減、前年5位)、7位はRA系作用薬で売上は3370億円(22.8%減、3位)、8位は全身性抗ウイルス薬市場で売上は3199億円(7.6%減、8位)、9位は脂質調整及び動脈硬化用剤市場で売上は3074億円(15.1%減、7位)、10位はその他の中枢神経系用薬市場で売上は3061億円(1.0%減、10位)――だった。

薬価改定影響や後発品の一層の市場浸透が市場縮小の主な理由となるが、全身性抗ウイルス薬市場はC型肝炎市場の縮小に伴う売上減が理由となる。なお、全身性抗ウイルス薬市場では薬効内2位が18年3月発売のゾフルーザとなった。

■販売会社ベースの売上ランク 1位が武田、2位が第一三共で変わらず

企業別の売上ランキング上位20社を見てみる。医薬品卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ「販売会社」ベースでは、売上1位は武田薬品(6935億円、1.2%減)、2位は第一三共(6464億円、4.6%減)で、両社と前年と順位は変わらない。

3位は前年4位のファイザー(5086億円、4.3%増)で、前年3位のアステラス製薬(4858億円、8.0%減)は4位に後退した。アステラスは17年6月に後発品が参入した降圧剤ミカルディスファミリーの売上半減が大きく影響したとみられる。

上位20社の中で、16位のヤンセンファーマ(1773億円、15.7%増)のみ2ケタ成長した。なお、上位20社のうち順位を上げた企業は7社(内資系3社、外資系4社)、下げた企業は3社(同2社、1社)、順位が同じだった企業は10社(同5社、5社)――となる。

販促会社が2社以上の場合、製造販売を持っているなどオリジネーターにより近い企業に売上を計上する「販促会社」ベースでのランキングは、ファイザーのトップは変わらなかった。2位は前年3位の中外製薬、3位は前年2位の第一三共と入れ替わった。順位を上げた企業は7社(内資系2社、外資系5社)、下げた企業は7社(同4社、3社)、順位が変わらなかった企業は6社(同2社、4社)――だった。

■19年1~3月 キイトルーダ、リクシアナ、ゾフルーザが売上トップ10入り

IQVIAはこの日、18年度第4四半期(19年1~3月)の国内医療用医薬品市場データも発表した。売上上位10製品をみると、1位はアバスチンで売上274億円(前年同期比2.8%増、前年3位)、2位はキイトルーダで売上249億円(60.0%増、10位圏外)、3位はリリカで売上234億円(9.9%増、5位)――だった。

今回トップ10入りしたのは、キイトルーダのほか、6位のリクシアナ、10位のゾフルーザの計3製品。リクシアナは売上190億円、58%増、ゾフルーザは同172億円で10倍以上伸びた。

ゾフルーザはA型またはB型のインフルエンザウイルスに対して1回の経口投与で済み、既存のノイラミニダーゼ阻害薬とは異なる作用機序で細胞内でのウイルス増殖を阻害する。利便性の良さや速やかなウイルス減少が期待できることもあり、インフルエンザシーズンにはテレビなどで話題となった。一方で、同剤を投与された小児から耐性ウイルスが検出され、投与に慎重姿勢の医師も少なくなく、売上や市場シェアが注目されていた。
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