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厚労省 新薬14製品を承認 経口腎性貧血薬エベレンゾ錠など

公開日時 2019/09/24 03:51
厚生労働省は9月20日、新医薬品として14製品35品目を承認した。この中には腎性貧血で初の経口薬となる低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬エベレンゾ錠(アステラス製薬)や、再発・難治性の慢性リンパ性白血病に用いる新規機序の選択的BCL-2阻害薬ベネクレクスタ錠(アッヴィ)、国内初の鼓膜穿孔の治療薬リティンパ耳科用(ノーベルファーマ)がある。

承認された製品は次のとおり(カッコ内は一般名、申請企業名)

ラスビック錠75mg(ラスクフロキサシン塩酸塩、杏林製薬):「咽頭・喉頭炎、急性気管支炎、肺炎などの感染症」を適応症とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:624

自社創製のキノロン系合成抗菌薬。17年4月に申請したが、追加の非臨床試験を求められるなどし、対応していた。標的組織(肺)への優れた移行性を示すことが最大の特徴とされる。海外で承認されている国・地域はない。

リティンパ耳科用250μgセット(トラフェルミン(遺伝子組換え)、ノーベルファーマ):「鼓膜穿孔」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類:269

鼓膜穿孔を対象とした初の治療薬。溶剤を浸したゼラチンスポンジを耳に詰めることで、患部を修復する。主成分のトラフェルミンは表皮形成などを促す作用をもつヒト塩基性線維芽細胞増殖因子製剤で、歯周病に用いるリグロスや、皮膚褥瘡などに用いるフィブラストスプレーの主成分でもある。海外で承認されている国・地域はない。

フィアスプ注フレックスタッチ、同注ペンフィル、同注100単位/mL(インスリン アスパルト(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:249

新規の超速効型インスリンアナログで、持続型インスリン製剤と併用して用いる。添加剤としてニコチン酸アミドを含むことで投与後初期の同薬の吸収が速くなり、インスリン作用の発現が同社のノボラピッドより速くなることで血糖降下作用がより速く発現すると考えられている。食直前や食事中に使用できる。

トリンテリックス錠10mg、同20mg(ボルチオキセチン臭化水素酸塩、武田薬品):「うつ病、うつ状態」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:117

各種セロトニン受容体及びセロトニントランスポーター作用を有する新規の抗うつ薬。同剤の作用機序は完全には解明されていないが、5-HT3、5-HT7、5-HT1D受容体アンタゴニスト作用、5-HT1B受容体部分アンタゴニスト作用、5-HT1A受容体アゴニスト作用及びセロトニントランスポーター阻害作用を有し、抗うつ、抗不安、うつ病に伴う認知機能障害に対する改善作用を示すと考えられている。

ハルロピテープ8mg、同16mg、同24mg、同32mg、同40mg(ロピニロール塩酸塩、久光製薬):「パーキンソン病」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類:116

同社独自の経皮薬物送達システム技術を用いて開発した全身性の経皮吸収型製剤。安定した血中薬物濃度を維持し、効果を持続させることが期待される。同剤は非麦角系ドパミンアゴニストで、レキップ錠や同CR錠と同じ成分。海外で承認されている国・地域はない。なお、久光は協和キリンと国内販売契約を締結しており、販売は協和キリンが行い、両社で情報活動する。

エベレンゾ錠20mg、同50㎎、同100mg(ロキサデュスタット、アステラス製薬):「透析施行中の腎性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤で、同剤がファーストインクラスとなる。初の経口投与の腎性貧血薬。

慢性腎臓病(CKD)患者では、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため貧血がよくみられる。HIF-PH阻害薬は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に効果をもたらす。

赤血球造血刺激因子製剤での治療有無によって同剤の開始用量は異なる(未治療の場合は1回50mgで開始、切り替えの場合は1回70mgまたは100mgで開始)が、その後は週3回の経口投与で使用する。

エクフィナ錠50mg(サフィナミドメシル酸塩、Meiji Seika ファルマ):「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:116

可逆的かつ選択的なモノアミン酸化酵素B型(MAO-B)阻害薬。中枢においてMAO-Bによるドパミン分解を抑制し、シナプス間隙のドパミン濃度を高めることにより、ドパミンの作用を補強し、パーキンソン病の症状を改善する。レボドパ含有製剤と併用して用いる。なお、Meijiが製造販売承認を保有し、エーザイが独占販売する。

イスパロクト静注用500、同1000、同1500、同2000、同3000(ツロクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、ノボノルディスク ファーマ):「血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:634

半減期延長型血液凝固第8因子製剤。既承認のノボエイト(ツロクトコグ アルファ)をペグ化し、半減期を延長させた。同社の発表資料によると、その半減期は、標準的な半減期第8因子製剤に比べ、成人/青年期患者で1.6倍、小児患者で1.9倍に延長されたという。

ベネクレクスタ錠10mg、同50mg、同100mg(ベネトクラクス、アッヴィ):「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:429

BCL-2タンパクを標的とする初の分子標的薬。慢性リンパ性白血病ではBCL-2が過剰発現してがん細胞のアポトーシスを阻害するが、同剤はその過程を回復させる。

アイベータ配合点眼液(ブリモニジン酒石酸塩・チモロールマレイン酸塩、千寿製薬):「緑内障、高眼圧症(他の緑内障治療薬が効果不十分な場合)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間は6年。薬効分類:131

α2作動薬であるブリモニジンとβ遮断薬であるチモロールはいずれも単剤では承認されている。α2作動薬とβ遮断薬を組み合わせた配合点眼薬は初めて。1回1滴、1日2回点眼で用いる。

コララン錠2.5mg、同5mg、同7.5mg(イバブラジン塩酸塩、小野薬品):「洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全。ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:219

HCNチャネル遮断薬。心臓の洞結節に発現するHCN4チャネルを阻害し、心ペースメーカー電流であるIfを抑制することで心拍数を減少させる新規作用機序の医薬品。心臓の伝導性、収縮性、再分極や血圧に影響することなく、心拍数のみを減少させる作用があるという。

通常、成人には1回2.5mgを1日2回食後経口投与から開始する。開始後は、忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数を維持できるように、必要に応じて2週間以上の間隔で段階的に用量を増減する。1回投与量は2.5、5、7.5mgのいずれかとし、いずれの投与量でも1日2回食後経口投与で用いる。

ブリニューラ脳室内注射液150mg(セルリポナーゼアルファ(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan):「セロイドリポフスチン症2型」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。薬効分類:395

セロイドリポフスチン症2型(CLN2)を対象とした初の治療薬。投与経路は中枢神経系に直接かつ広範に分布させるため、脳室内投与が選択された。

セロイドリポフスチン症(CL)は、細胞内で老廃物を分解する機能に障害が生じ、細胞内にリポフスチンという色素が蓄積する遺伝性の疾患。CLN2はCLの1病型。同剤は、同疾患に対する治療のために開発された酵素補充療法薬で、同疾患の患者に欠損しているトリペプチジルペプチダーゼという酵素を補充することで、同疾患の特徴であるリポフルスチンの蓄積を減少させる。

クリースビータ皮下注10mg、同20mg、同30mg(ブロスマブ(遺伝子組換え)、協和キリン):「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。薬効分類:399

線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体。同剤によってFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症患者で認められる過剰なFGF23の作用を中和することで、これらの患者における低リン血症の改善作用が期待されるという。くる病・骨軟化症に対する初の抗体製剤となる。

オテズラ錠10mg、同20mg、同30mg(アプレミラスト、セルジーン):「局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(24年12月18日まで)。薬効分類:399

cAMPに特異的な経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬。PDE4を阻害することにより細胞内cAMP濃度を上昇させ、間接的に炎症性メディエーターの産生を調節すると考えられているが、詳しい作用機序は明らかになっていない。尋常性乾癬と関節症性乾癬の適応で販売中。19年6月時点、ベーチェット病による口腔潰瘍に関する効能・効果で、同剤が承認されている国や地域はない。
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