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中医協薬価専門部会 9月実施の薬価調査を市場実勢価に反映 増税改定が乖離率に影響も

公開日時 2019/11/11 03:53
中医協薬価専門部会が11月8日開かれ、2020年度薬価改定に際し、2019年9月に実施した薬価調査を用いて市場実勢価を反映することを決めた。10月の消費増税直前に実施された薬価調査であることから、10月以降に薬価引下げが想定される長期収載品と、一部の新薬創出等加算品では医療機関側のバイイングパワーが強まっていることが想定される。もちろんこの結果が乖離率に影響する可能性もある。長期収載品に依存したビジネスモデルからの脱却を迫られる医薬品業界にとって、また一つ楔を埋め込まれ格好となりそうだ。

市場実勢価主義を貫く日本の薬価制度だが、2019年10月に消費増税を転嫁する消費増税改定を実施したこともあり、9月の薬価調査以降にマーケットの変動も見込まれる。通常改定とは異なることから、支払側から、「乖離率を据え置いた影響を十分に加味した特別なルール」の適用を求める声もあがり、動向が注目されていた。最終的には、通常改定と同様、2019年9月の薬価調査を踏まえて、「医療機関・薬局への販売価格の加重平均値(税抜きの市場実勢価格)」×(1+消費税率)+調整幅」で算出することになった。ただし、改定前薬価を上限とする。

業界内からは、消費増税改定後の薬価を起点とすることを懸念する声もあがっていたが、今回の決定により安堵する声も聞かれた。一方で注目されるのは、今回の薬価調査が消費増税改定直前の特殊な状況下で行われている点だ。今回の消費増税改定で薬価が引きあがった品目は新薬創出等加算品と基礎的医薬品で、改定品目全体の37%に相当する約6100品目にのぼる。一方で、競争市場にある新薬創出等加算品や、長期収載品などでは薬価が引き下がる。

薬価調査の対象となる9月は、翌10月の消費増税の時期とも重なり、例年の改定では見られない特殊要因も少なからず影響する。増税後の10月1日付で薬価が上がる新薬創出等加算品目や基礎的医薬品などについては仮需(駆け込み需要)の発生が予想される。一部代替品のない新薬では、医薬品の安定供給が困難になるリスクもある。一方で、長期収載品や一部の新薬創出等加算品では、増税後の薬価引き下げを見据えた価格交渉が9月段階から行われることになる。こうした市場の混乱を防ぐために、厚労省医政局経済課と保険局医療課は8月に通知を発出し、適正な流通環境を保つよう求めていた。2020年度予算編成過程のなかで、薬価の乖離率も注目されるなかで、こうしたマーケットの状況の影響が注目される。

◎再算定基準の見直しで各側が合意 対象品目拡大へ

この日の薬価専門部会では、再度再算定を受ける基準の見直しについて診療・支払各側が合意した。現行の市場拡大再算定には、市場規模などにより最大の引下げ幅を最大15%、25%、50%と、下止めが設定されている。一方で、アルツハイマー病治療薬・アリセプトや、関節リウマチ治療薬・レミケード、抗がん剤のリツキサン・アバスチン、疼痛治療薬・リリカと、複数回市場拡大再算定に該当した品目がある。そのため、厚労省は計算上、下止めを下回る品目について下止めを行わなかったと仮定して年間販売額を算定することを提案した。影響は限定的とみられるが、対象となる年間販売額が引き下がることで、対象が拡大することが想定される。

また、主たる効能・効果の変更に伴って用法・用量に変更があった際の「用法用量再算定」については、現行ルールでは、「市場規模が100億円超、効能変更前の10倍以上」となった場合に限定されている。厚労省は、経口抗凝固薬・リクシアナを例示し、変更後の主たる効能効果を有する類似薬がすでに存在ししており、それらの1日薬価よりも高薬価となるケースがあると説明した。そのうえで、薬価算定組織の意見を引き合いに、「市場規模及び、市場規模の拡大率が一定の要件を満たした場合」も再算定の対象とすることを提案した。診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「一般的に考えて、費用対効果が悪いことが明白」としたうえで、最適使用推進ガイドラインと留意事項通知などで、適正使用を推進することなどでの対応の必要性を指摘した。一方で、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「市場規模が一緒であれば類似薬にするというのも一つの選択肢」との見解を示した。これに対し、専門委員の上出厚志専門委員(アステラス製薬上席執行役員渉外部長)は、「これ以上のルール変更は効能追加後の薬価の予見性を著しく低下させるリスクがある。企業の開発意欲を削ぐことにもなりかねない」と訴えた。

◎基礎的医薬品で業界側が対象拡充求めるも各側から理解得られず

このほか、製薬業界が対象拡充を求める基礎的医薬品についても議論がなされた。現行ルールでは、「収載25年以上、かつ成分・銘柄ごとのいずれの乖離率も平均乖離率以下」などの要件がある。これに対し、製薬業界側は、薬価収載からの年数について「後発品収載から10年を経過した品目」の追加や、過去に不採算品再算定が適用された品目での年数要件の緩和を求めている。診療側の松本委員は、「基礎的医薬品は、医療を支える大切なものだが、要件を見直すべきということは見えてこない」として、必要に応じて個別品目に対策を取る必要性を指摘した。現状の課題について問われた厚労省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は「現行ルールについて差し迫って大きな問題があると考えてはいない状況だ」との見解を示した。

専門委員の平野秀之委員(第一三共執行役員渉外部長)は、不採算品再算定品目であっても、乖離率が調整幅の2%未満でなければ、薬価が引き下がると説明。「極めて限定的。引き下がる状態にあるということをご理解いただきたい」と理解を求めた。専門委員の村井泰介委員(バイタルケーエスケー・ホールディングス代表取締役社長)は、流通当事者の立場から「不採算品目かどうかは明示されていない。医療機関側も、そのことを知らず、通常の価格交渉の中で下がっていくことがある」と説明。不採算品目であることが明示されていれば、医薬品卸として除外交渉などができることを説明した。これに対し、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、単品総価取引の実態があることを指摘し、「流通や価格交渉の中で、何らかの対応が必要ではないか」との見解を示した。
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