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自民党厚労部会 骨太方針原案で議論 薬価調査の是非とコロナダメージの医療機関経営が争点に

公開日時 2020/07/10 04:52
自民党厚生労働部会は7月9日、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針2020)の原案をめぐり議論した。出席議員からは、①原案に記載のなかった薬価調査・毎年薬価改定、②新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関の経営悪化への対応―の2点に意見が集中した。毎年薬価改定(中間年改定)について慎重意見が複数示される一方で、厚労省側からは16年末の4大臣合意やその後の骨太方針に基づき、21年度の実施に向け、9月取引分で薬価調査を実施する方向が示された。新型コロナの感染拡大に伴う医療機関経営の悪化で財政的な補填を求める意見も相次いだ。部会後には厚労関係議員による幹部会が招集されたが、新型コロナに伴うマーケット環境の変化を見据え、改めて厚労省側の見解を聞き、最終判断することを確認した。薬価調査による市場実勢価格の把握と、コロナでダメージを受けた医療機関・保険薬局への財政補填の問題が早くも争点となってきた。

薬価調査・薬価毎年改定については骨太方針2020に記載はないが、政府は「骨太方針2018、骨太方針2019等に記載した内容に沿って、社会保障制度の基盤強化を着実に進める」として、改革の手を緩めない姿勢を示している。また、この大前提には、薬価の毎年改定を実施することで、高齢化に伴い高騰する医療費と患者負担を軽減する狙いを込めている。

◎厚労省側 地域間でバラツキがあるが価格交渉は再開されているとの認識示す


この日の厚生労働部会で出席議員からは、「新型コロナウイルスの影響で、価格交渉が進んでおらず、薬価調査を今年はやるべきではないということを明記すべき」など、薬価調査・毎年薬価改定に慎重姿勢を示す声が複数あがった。これに対し厚労省側は、「地域によってばらつきがあるものの、すでに(価格交渉が)妥結した医療機関がある」と説明。新型コロナの感染拡大がピークを向かえた4月以降も、地域によって医療機関と医薬品卸との価格交渉が再開し、交渉が進んでいる事例が存在することを報告した。ただ、今後も新型コロナの感染拡大のリスクがあるとしながらも、「実態把握のためにも薬価調査を実施させていただきたい」と述べ、理解を求めた。

なお、2019年末に閣議決定された改革工程表では、「2018年度から2020年度までの市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等を把握した上で、2021年度における薬価改定の対象範囲について2020年中にこれらを総合的に勘案して、具体的な範囲を設定する」と明記されている。

◎未妥結減算により医療機関・保険薬局も交渉のテーブルにつく


流通取引をめぐっては、医療機関と医薬品卸の価格交渉に際し、「未妥結減算」が導入されている。卸側は中医協薬価専門部会で、新型コロナの影響に伴い、見積書の提出など価格交渉が遅延していることをアピールしたが、7月に入り、国病機構をはじめ地域の基幹病院で重症のコロナ感染者の受入れが一定程度収まったことから価格交渉を再開する動きも見えている。また医療機関・保険薬局側も未妥結減算により、9月までに納入価を妥結したい意向も示されており、9月取引分の薬価調査については、地域間にバラつきがあるものの、実施可能との見方も強まっている。

◎新型コロナに伴う財政的補填は必要 自民党厚労関係議員幹部会

一方で新型コロナの患者受入れの如何を問わず、患者の受診控えなどの影響から医療機関の経営収支が悪化しているとのデータも報告されており、今回の価格交渉に際し、医療機関側の交渉担当者も例年以上に強気の構えだ。これにより価格が下振れするリスクは高い。この日の厚労部会でも、出席議員から、「薬価調査を実施できたとしてもその数字が正しいのか」と牽制する声も聞かれた。特に薬価改定の影響が直撃する保険薬局は、薬価調査・薬価改定への反発を強めており、病院、診療所とも一線を画している。加えて価格交渉期間が短くなることで価格が適正化することへの懸念も強い。

これに対し医療機関は、新型コロナウイルス感染症拡大による受診抑制の影響が大きく、この日も出席議員からは「診療報酬での補填」を求める声もあがった。患者負担の軽減と医療機関経営を維持・両立させるために、薬価改定の在り方が一つの焦点となっているとみることもできる。

◎後発品80%目標 全都道府県で目標達成を求める意見も

このほか、後発品やバイオシミラーをめぐる意見も複数の出席議員から示された。後発品80%目標の達成期日が9月に迫るなかで、「2021年度までに全都道府県で数量シェアが80%以上となるような施策を導入するべき」などの声があがった。ただ、厚労省側は骨太方針2018、2019に、後発品をめぐる産業育成の観点が盛り込まれていることに触れ、着実な実施を進めるとしている。
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