中外製薬 LINE WORKSを全MRに導入 医療従事者との接点を強化 「アポイント取得」で成果も
公開日時 2020/09/02 04:51
中外製薬は9月1日、全MRを含む約2400人の社員に、ワークスモバイルジャパンの「LINE WORKS」を導入したと発表した。LINE WORKSはLINEのビジネス版アプリ。医療従事者にとっては使い慣れたLINEを通じ、手軽にMRに連絡ができる。新型コロナウイルス感染症の影響によりMRの訪問が制限されるなかにあっても、医療従事者との接点を強化することで、円滑な情報共有や、迅速な情報提供などにつなげたい考え。7月から導入し、リモート面談などのアポイントや、研究会やウエブフォーラムの案内などに活用する。複数の医療従事者とのつながりを持つMRも多くおり、「アポイントの取得が早くなった」などの声もあがっているという。
◎MR以外にMSLや安全性専門スタッフも活用
中外製薬MRのLINE WORKSのアカウントと、医療従事者のLINEがつながることで、医療関係者との双方向コミュニケーションを実現する。医療関係者が個人のLINEを活用したくない場合には、LINE WORKSの無料版を活用することで、仕事とプライベートのコミュニケーションを切り離すことも可能だ。活用するのは、同社の全MR1300人のほか、メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)や安全性専門のスタッフであるセイフティエキスパートら、顧客との接点業務の担当者だ。
新型コロナの影響で医療従事者との接点もメールをはじめとしたリモートが増加している。メール数が一気に増加するなかで、メッセージが埋もれてしまうリスクもはらむ。こうしたなかで、サービスの導入により、担当MRの顔の見えるようなリレーション強化につながることも期待できる。同社は、LINE WORKSの導入について、LINEを活用する医療従事者が多く、セキュアな環境を担保できることを理由にあげ、ステークホルダーのニーズに応えるため、導入を決定したとしている。
◎志済デジタル・IT統括部門長「医師とMRの円滑な情報共有や迅速な問い合わせに対応」
同社は、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」で、「デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターとなる」ことを掲げる。同社の志済聡子執行役員デジタル・IT統轄部門長は、「新型コロナウイルス拡大により、医療関係者とMRのコミュニケーションの方法は大きく変化し、オンラインツールの活用が日常的となった。今回のLINE WORKSの導入は、医療関係者とMRの対面コミュニケーションが制限されるなかであっても、両者間の円滑な情報共有や迅速な問い合わせ対応を可能にする」とコメント。「中外製薬は、withコロナ時代の新たなコミュニケーション手段となるLINE WORKSを活用し、医療関係者のニーズを速やかに把握し、それに応じた最適なソリューションをいち早く提供するとともに、MRの生産性向上に取り組む」としている。
「LINE WORKS」は、コミュニケーションアプリLINEと連携する唯一のビジネスチャット。チャットやスタンプなどLINEと同様の機能のほか、掲示板、カレンダー、アドレス帳、アンケートなど、仕事で活用できるグループウェア機能を備えている。