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【速報】財政審・建議 21年度実施の毎年薬価改定は「全品目」で 乖離率、品目数、”額“に着目を

公開日時 2020/11/25 14:10
財務省の財政制度等審議会(榊原定征会長)は11月25日午前、「令和3年度予算の編成等に関する建議」を取りまとめ、麻生太郎財務相に手渡した。2021年度から導入する毎年薬価改定(薬価中間年改定)について、国民負担の軽減の必要性を強調し、「全品改定を実施することとし、初年度にふさわしい改定を実現すべき」とした。焦点となる対象範囲については、“価格乖離の大きな品目”があがっているが、建議では、「形式的な乖離率や品目数のみではなく、額に着目すべき」、「先発医薬品も幅広く対象品目に含めるべき」と指摘した。同時刻に開催された中医協薬価専門部会の意見陳述で製薬業界側は、「乖離率が著しく大きい品目について薬価の補正を行うものであると認識している」と主張。21年度改定の実施に「特に慎重な検討」を求め、反発を強めている。

薬価について建議では、「適正な公定価格の設定が必要」と指摘。市場実勢価格が下落しているにもかかわらず、高止まりを続ける薬価制度について、「市場実勢価格を適時に薬価に反映することが国民負担の抑制の観点から極めて重要」と指摘した。

◎調整幅2%「あり方を見直すべき」

特に、先発品については、品目ベースでは10.7%にもかかわらず、金額ベースでは48.0%にのぼるとのデータを提示。「薬価の水準が高いため乖離率としては相対的に小さくなりがちな先発医薬品も幅広く対象品目に含めるべき」とした。調整幅も約20年間、2%から見直されていないことに触れ、「その合理的な根拠(エビデンス)を含め、 あり方を見直すべき」と指摘した。

◎長期収載品に依存する製薬産業の構造転換 「薬価の段階的引き下げを加速」

長期収載品の課題にもふれ、長期収載品に依存する製薬産業の構造転換を早期に進めるために、「毎年薬価改定の開始を踏まえ、薬価の段階引き下げを加速化するなど、薬価の引下げルールの更なる見直しを行うべき」とした。

◎医薬品価格をめぐる公定統計の改善 市場実勢価格の“見える化”図る

市場価格が下落しているにもかかわらず、薬価改定まではその値が据え置かれるなど、医薬品価格をめぐり、「統計の歪み」があることも指摘。医薬品価格をめぐる公的統計の改善を図り、「薬価調査を待たずとも市場実勢価格の大まかな動向が“見える化”されるようにすべき」と提言した。

◎行革レビューの指摘事項 原価計算方式「不断の見直し」を

行政事業レビューで議題にあがった原価計算方式についても、「開示が不十分なうえ、高い営業利益率が上乗せされている」と指摘。国民負担の増大を防ぐためにも、「不断の見直し」の必要性を指摘した。また、薬価算定組織の委員名簿や審議経過などについての公開も求め、薬価算定プロセスの透明化をうながすことも盛り込んだ。

また、薬剤費伸びが名目GDP成長率を大きく上回っていることも指摘し、薬剤費の適正化を図る必要性も指摘した。高額医薬品の薬価収載に際し、「財政影響は勘案されていない」と指摘。新規医薬品の保険収載する場合には、「保険収載と既存医薬品の保険給付範囲の見直しと財政中立で行うことを含め、医薬品に対する予算統制の在り方を抜本的に見直すべき」とした。

◎後発品「さらに促進する新たな目標設定を」

後発品については80%目標を過ぎ、「さらに促進するための新たな目標を設定すべき」とした。地域や保険者により普及率に差が大きいなかで、保険者だけでなく、医療機関別まで後発品の使用割合を公表するなど、“見える化”する必要性を指摘した。また、国がフォーミュラリのガイドライン策定に取り組むなかで、後発品の「選定基準を設けることなどを検討すべき」とした。バイオシミラーについても、新たな数量目標の設定などを求めた。



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