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【速報】20年9月薬価本調査 平均乖離率約8.0% 18年、19年と同水準で改定範囲の議論加速

公開日時 2020/12/02 10:10
厚労省は12月2日午前の中医協薬価専門部会に、平均乖離率が約8.0%(薬価と市場実勢価格との差)との薬価本調査(2020年9月取引分)の速報値を示した。中間年改定である18年(7.2%)よりも乖離率は開いたが、19年も8.0%で蓋をあければ同程度の結果となった。妥結率は95.0%と例年並みで、回収率は86.8%(4259客体)と例年と同水準だった。単品単価の割合も例年とそん色のない結果で、新型コロナ禍の特殊要因はあるものの、改定の材料はこれで揃ったことになる。毎年薬価改定(薬価中間年改定)の初年度となる改定範囲やルールの議論が中医協の場でも本格化する。

製薬業界などは、新型コロナウイルス感染症の影響で、平時とは異なる流通実態だったと指摘してきた。薬価調査の価格交渉が遅れたほか、医療機関の経営悪化で過度な値引きの要請などがあった。そのため、薬価調査の結果についても医薬品の価値を適切に反映した取引価格と乖離している可能性があるとして、改定の根拠として疑問を投げかけ、これを21年度改定の“見送り”を含めた慎重な検討を要望する根拠としてきた。ただ、こうした主張に反し、例年同様の結果が示されたことで、改定の実施は避けられない格好となった。

薬価中間年改定について経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2018)で、「2019年度、20年度の薬価調査を踏まえ、「この間の市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等を把握した上で、2020年中にこれらを総合的に勘案して、決定する」とされており、平均乖離率の結果が注目されていた。結果的には平均乖離率だけでなく、品目数の分布も例年並みであることが示された。

対象品目は、「価格乖離の大きな品目」とされており、製薬業界は、「乖離率が著しく大きい品目」を対象とすることを主張する。ただ、これに対し、支払側委員から後発品が狙い撃ちになることも指摘される。不公平感のない偏りのない改定を主張する意見もあるなかで、新薬や長期収載品、後発品などカテゴリー別での改定なども議論の俎上にのぼることになりそうだ。

20年調査による投与形態別の乖離率は、内用薬9.2%(19年調査=9.2%、18年調査=8.2%)、注射薬5.9%(同6.0%、5.2%)、外用薬7.9%(同7.7%、6.6%)。

主要薬効群別の乖離率は以下のとおり(カッコ内は19年調査、18年調査)。

内用薬:▽その他の腫瘍用薬5.1%(同5.1%、5.1%)▽糖尿病用剤9.5%(同9.9%、8.6%)▽他に分類されない代謝性医薬品9.1%(同9.0%、8.0%)▽血圧降下剤12.1%(同13.4%、11.7%)▽消化性潰瘍用剤11.7%(同12.3%、10.8%)▽精神神経用剤9.7%(同10.0%、同8.1%)▽その他の中枢神経系用薬10.4%(同8.6%、7.9%)▽血液凝固阻止剤5.3%(同5.6%、5.1%)▽高脂血症用剤13.8%(同13.9%、12.2%)▽その他のアレルギー用薬13.6%(同13.6%、11.8%)――。

注射薬:▽その他の腫瘍用薬5.3%(同5.0%、4.3%)▽他に分類されない代謝性医薬品6.7%(同6.3%、6.0%)▽血液製剤類3.0%(同3.3%、2.3%)▽その他のホルモン剤(抗ホルモン剤含む)7.9%(同7.8%、6.5%)▽その他の生物学的製剤3.3%(同3.8%、3.8%)――。

外用薬:▽眼科用剤8.4%(同8.0%、6.8%)▽鎮痛・鎮痒、収斂、消炎剤8.6%(同8.9%、7.6%)▽その他の呼吸器官用薬7.6%(同6.8%、6.0%)――。

文末の「関連ファイル」に、09年以降の医薬品価格調査の速報結果の推移の図表を掲載しました。12月2日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります。

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