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中医協総会 相次ぐGEメーカーの不祥事で厚労省・林経済課長「業界再編を真剣に考えるべき時期に来た」

公開日時 2021/03/25 05:00
中医協総会は3月24日開かれ、相次ぐジェネリックメーカーの不祥事を受け、診療・支払各側から後発品への信頼を問題視する声が相次いだ。小林化工と日医工が相次いで業務停止を受けたが、医薬品の根幹を支える品質問題だけに、患者から“後発品を使いたくない”という声があるなど、国民からも厳しい声があがっていることも指摘された。後発品80%目標を掲げ、推進してきた政府の責任を問う声もあがった。厚生労働省医政局経済課の林俊宏課長は、「後発品も8割を占めるという時代を迎え、我々もこれは完全に量から質の問題へ転換が必要だと考えている。業界再編についても真剣に考えるべき時期にきたと捉えている」との見解を示した。

◎医療従事者、患者から「効果や副作用に不安」の声消えないなかで起きた不祥事

今年に入り、抗菌薬・イトラコナゾールに睡眠薬が混入した問題などを受けて小林化工は福井県から最長となる116日間の業務停止処分と業務改善命令を受けた。3月3日は、ジェネリック最大手の日医工が、富山県から富山第一工場の32日間の業務停止命令と、医薬品製造販売業として24日間の業務停止処分を受けている。

この日の中医協総会では、2020年度診療報酬改定の影響についての特別調査の結果が報告された。後発品の使用割合は薬局で80.2%、診療所では59.7%でいずれも2ポイント程度増加していた。一方、病院での後発品の使用割合は、外来で60.0%と0.3ポイント減少、入院では75.2%で0.3ポイント増加する結果となった。

後発品を積極的に使用しない理由は、薬剤師、医師ともに患者の意向がトップとなった。薬局を対象にした調査では、「患者が先発医薬品を希望するから」(68.0%)が最多。医師側も先発品を指定する場合は、「患者からの希望があるから」(診療所医師71.9%、病院医師76.0%)との回答がトップだが、「後発品の品質や医学的な理由(効果や副作用)に疑問があるから」(診療所医師41.3%、病院医師43.3%)が次ぐ結果となった。患者調査でも、「いくら安くなっても使用したくない」と回答した人に対してその理由を尋ねたところ、「ジェネリック医薬品の効き目(効果)や副作用に不安があるから」が75.0%で最多となっている。

このほか、後発医品の採用基準について、薬局調査では「供給停止や自主回収等による不 安がないメーカーであること」が53.9%と最多となっている。

なお、2020年12月に調査票を配布。有効回答数は、保険薬局調査が712件(有効回答率:47.4%)、診療所調査が535件(35.7%)、病院調査が246件(24.6%)、医師調査の有効回答数は318人。患者調査の有効回答数は、郵送調査966人、WEB調査1000人だった。

◎診療側・有澤委員 信頼問題と流通問題の2面を指摘 患者から不安の声も

診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「後発品を使用されている患者さんへの信頼を損ねるだけでなく、これまで薬局の現場において、患者さんへの後発品の変更を積極的に進めてきた薬剤師の信頼も失墜しかねない」と述べた。実際、「薬局薬剤師から後発品の使用に不安を抱いた患者さんから、“後発品を使っても大丈夫なのか?”もう後発品は使いたくない“という声があるとの報告を受けており、私も現場に立つ薬剤師として非常に残念であり、やるせない気持ちでいっぱいだ。薬剤師としてこうした状況にどう対応していくか。一度失った信頼を取り返すことは非常に大変なことであり、現場は大変困っている」と続けた。

さらに、医薬品の流通上の問題もあると指摘。「現場が安心して患者さんに積極的に後発品への変更調剤を行うためにはメーカーや卸による安定供給体制が大前提だ」と強調した。今回の不祥事を受けて、日医工や小林化工以外の製品に注文が集中し、「行政処分が決まる前からすでに現場では後発品の入手困難という流通上の問題が生じている」と指摘した。特に口座のない場合には納入を断られるケースも多いと続けた。「薬局が必要な医薬品を購入できないということは患者さんに迷惑をかけるということだけではなく、医療提供体制を維持できないということも起こしてしまう」と懸念を示した。また、「薬局の備蓄等に影響が生じてくる可能性もある。薬局経営に大きな影響があるものであり、これに対する検討も必要だ」とも指摘した。

◎診療側・松本委員「“安かろう、悪かろう”というイメージを業界自らが招いている」


診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)も、両者の起こしたGMP違反について、「国際基準を満たしていない、世界に対しても恥ずべき事態だ」と指摘。「すでにGE薬協の同席の下で、両者の経営陣に猛省をうながし、業務改善を申し入れている次第だ」と厳しい姿勢を示した。そのうえで、「問題は2社にとどまらず、政府によるやや強引なジェネリック促進の弊害として、他の企業や原薬メーカーにおいても国際標準からの逸脱が懸念される点だ。“安かろう、悪かろう”というイメージを業界自らが招いており、後発品企業への信頼が揺らいでいるいま、新型コロナウイルス以外の要因によって今回の調査結果で後発品の使用割合が減ると言ったことは想定内であるとあらかじめ指摘させていただく」と続けた。

また、先発品を指定するケースは、「それなりの理由がある」と指摘。日医工や小林化工製品が調剤された結果、「患者さんから処方医に対して「先生はどうしてこの薬を処方したのか」と大変大きな苦情を受ける事態となっている」と指摘。「薬局における調剤変更は大きな問題であり、処方する際に処方医と信頼関係のある薬剤師のいる薬局に対してのみ行われるよう、今後診療報酬上の仕組みの見直しも必要だと考えている」と述べた。

◎診療側・今村委員 後発品の在り方「抜本的な見直しを」 同じこと繰り返されるリスク高い

診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、過去に大洋薬品高山工場が行政処分を受けたことに触れ、「今回改めて反省して取り組んでほしいと言っても、私は同じことが繰り返されるリスクが高いと思っている」との見解を示した。後発品80%目標達成に向けて製薬企業が無理をして生産体制を構築したことや、ジェネリックを製造販売する企業が200社近くあるなかで、GE薬協に加盟する正会員が39社にとどまっていることなどにも問題意識を示した。そのうえで、「抜本的な取り組みをしないと数値目標を達成することは困難だ。根本的な後発品の在り方について、もう一度ご検討をお願いしたい」と述べた。

◎診療側・城守委員「薬剤は品質担保が絶対条件」 承認体制の見直しや再評価なども


診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「薬剤は品質の担保が絶対条件で、それを信じて処方している」として、今回の不祥事を「極めて由々しき問題だ」と断じた。厚労省は無通告立ち入り検査の増加など監視体制の強化を進めるが、「改善しないということであれば医薬品の承認の最初の体制も含めて変更ないしは再評価する制度を取り入れるなど、品質管理の強化体制を要望したい」と述べた。

◎支払側・幸野委員 早急な信頼回復へ「国として対処を」 


支払側からも厳しい意見が相次いだ。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「これまで築き上げて8割まで達成した国民の信頼感が一気に崩れ去るのではないかと懸念が出ている」と述べた。実際に組合員からも後発品への不信感を聞くとして、「早急に対処して信頼を回復していかないといけない。国としてどう対処してくのか、これから検討していかないといけない」と述べた。

支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、後発品使用促進を進めてきた立場として、「我々運営員会や患者さんからも、保険者としてどうするのか。こういう事態をどう考えているのかと責められている」と述べた。そのうえで、後発品使用促進が医療費適正化に寄与しているとして、「患者が安全性・有効性を考えれば、高くても新薬が欲しいとなってジェネリック自体の戦略がとん挫することになっては、間違いなく日本国としては大きな損失だ。政府を挙げて今回の事象に対応していただき、患者の信頼を取り戻してほしい」と述べた。

間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「患者にとっては先発品も後発品も同じように役に立つという感覚になってきたところが、今回の不祥事で、後発品は怖いのかとか、後発メーカーは先発メーカーよりも適当に作っているのではないかという声が聞こえてくる。タガをはめ直さないと、大きな薬害が起きてしまう可能性がある」と述べた。そのうえで、人材育成を含め、「先発も後発も一緒になって安全性を担保できる体制を一緒になって作っていただきたい」と要望した。

◎厚労省・林課長 品質と安定供給を確実にできる企業が製造販売業 新医薬品産業ビジョンでも議論

厚労省の林経済課長は、今回の不祥事について、「大変残念であり、関係者の皆様からご理解、ご協力を得て、後発品の使用促進に水を差す行為だと懸念をしている」と述べた。後発品の使用促進の旗を振ってきた政府として、信頼回復に向けてさらなる取り組みを行う必要との認識も示した。「職員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上を含めて、業界を指導して参りたい。業界としても更なる取り組みの状況を公表するなど、取り組みを見える化することも重要だと考えている」と続けた。

後発品をめぐっては、企業数や品目数の多さ、共同開発などの問題がこれまでも中医協の場などで指摘されてきた。林課長は、「発品も8割を占めるという時代を迎え、我々もこれは完全に量から質の問題へ転換が必要だと考えている。業界再編についても真剣に考えるべき時期にきたと捉えている」と述べ、これら課題に取り組む姿勢も示した。

そのうえで、「品質と安定供給を確実に実施できる企業のみが製造販売事業者として医療用医薬品を提供すべき。当然のことだが、しっかりと実施できるような業界にすることが必要だと考えている。新たな医薬品産業ビジョンの策定に向けて議論を開始しているが、こういう点も含めて議論していきたい」と述べた。

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