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厚労省・林経済課長「後発医薬品の安心を取り戻すことが振興策」 今夏にも流通改善GL見直しに着手

公開日時 2021/04/05 04:53
厚生労働省医政局経済課の林俊宏課長は本誌インタビューに応じ、中医協などの場で公言している“ジェネリック業界の再編”について、「安定確保や品質確保ができるところ(企業)のみ残っていくことが大前提だ」との考えを強調した。そのためには、ジェネリック業界が自浄作用を働かせるほか、行政としてもGQP・GMPの見直しなど、規制強化が必要との認識を示し、「後発医薬品の安心を取り戻せる方向に向かわせることこそが産業振興策だと思っている」と述べた。また、価値に見合った価格設定の必要性から、流通上の課題もあるとし、近くまとめる医薬品産業ビジョンに盛り込むほか、今夏にも流通改善ガイドラインの見直しに着手する考えも明らかにした。

◎「実態は価格面の競争だった」 当然転換を図るべき

「後発品も8割を占めるという時代を迎え、我々もこれは完全に量から質の問題へ転換が必要だと考えている。業界再編についても真剣に考えるべき時期にきたと捉えている」―。相次ぐ後発品企業の不祥事が議論となった3月24日の中医協で、林課長はこう述べた。小林化工、日医工とジェネリックメーカーが相次ぎ業務停止命令を受けるなかで、診療・支払各側からは、厳しい指摘がとんだ。患者からのジェネリック不信とも言うべき事態に陥っているとの声も相次いだ。折しも、後発医薬品が80%目標達成に迫った時期でもある。

林課長は、「ジェネリック業界はこれまで、数量シェア8割達成に向けて受け皿になろうと、後発医薬品の種類や量を拡充することで、数量的に伸ばしてきた。特許切れ後には多くの企業が同時に参入し、競争してきた」と述べながらも、「実態は価格面でシェアを争う競争だったのではないか」との厳しい見方を下した。後発医薬品80%時代を迎え、後発医薬品の浸透が進むなかで、今後は新たなブロックバスターの特許切れ以外は、「量的には大きく伸びはない」と指摘し、「量的拡充を前提に価格面での競争を含めてやってきて伸ばしてきたビジネスモデルだが、当然転換を図るべきだ。それが量のビジネスモデルからの転換ということだ」と述べた。

◎量から質への転換 「できないのであれば最終的に退出していただかないといけない」

一方で、転換する“質”の意味するものとして、安定供給と品質の重要性を林課長は強調する。
安定供給をめぐっては、2019年の初頭から、抗菌薬・セファゾリンの安定供給に支障が出て、一部医療機関では手術の延期を余儀なくされるなどの影響が出た。林課長は、「色々な背景があり、後発医薬品だけの問題ではない」としたうえで、「効率性を追求していくと、ダブルソースなどの冗長性が失われる面がある。安定供給に不安が生じないような投資をするよう、見直しが必要だ」との見解を示した。

もう一つが品質についてだ。小林化工や日医工の不祥事では、いずれも承認書と齟齬のある製造実態が10年以上にわたり、常態化していたことが明らかになった。林課長は、「品質確保のための投資が当然、必要だ。設備投資だけでなく、教育面を含めた人的投資も必要になる。経営陣も量的拡大への対応に気を取られてしまい、当然に行うべき安定供給や品質の確保が疎かになっていたのではないか」と断じた。

後発品80%目標に近づいたタイミングで国民から不信感を抱かれる事態となったとして、「品質と安定供給は本来クリアしなければ、製造販売できない。十分にできていないのであれば、それは率直に認めて改善する必要がある。足下を見つめ直し、十分な体制や対応ができる企業のみが引き続き製造販売する。できないのであれば、最終的には退出していただかないといけない。これが医薬品製造販売業、医薬品製造業のルールだ」と述べた。

◎GQPの見直しもセットで


小林化工の業務停止処分では、製造販売業者の責務を明確にする必要性も新たに浮かび上がった。小林化工は製造業として製品を製造しており、Meiji Seikaファルマなど製造販売業者が、医薬品の品質などを担保する責務を果たしきれていなかった。林課長は、「製造販売業者としての責任を持つということについて、見つめ直す必要がある。製造販売業に対する規制として、例えばGQPの見直しもセットでや検討していく必要がある」と強調する。

現行制度では、製造販売業や製造業の認可を取得すれば、製造品目が基準を満たせば、品目を増やすことができる。特にジェネリックメーカーでは、品目数や製造量も増加する傾向が強いなかで、「クオリティコントロールできるだけの体制が製造販売業者にあるのか。体制面からきちんと管理できていないのではないかという話も聞いている。規制の側もセットで見直すことで、クリアできる事業者が残る形での再編の姿を描いている」と述べた。

◎企業数は「自ずと改善されていく」 CMOとして製造販売業者の傘下入りも

こうした規制強化などを受け、ジェネリックメーカーの数の多さも指摘されるが、林課長は「自ずと改善されていく」と見通す。具体的には、規模が小さく十分な体制が構築できない企業は、製造に特化するCMO(医薬品製造受託機関)として製造業となり、一定の規模を有する製造販売業者の傘下に入るとの姿を描いた。そのうえで、「数を減らすことを目的にするのは少し違うと思っている」との見解を表明。「1製品、2製品しか有していなくても、安定供給と品質が担保できる企業であればよいのではないか」とも述べた。

◎「不安を取り除くことが産業振興策であり、促進策」 GE薬協は自浄作用発揮を

2020年3月までに定める予定とされた後発品の目標設定も現状では、議論が難しい状況にある。林課長は、「目標は単に目標であり、今まで進めてきた流れに沿って設定するだけだと思っている」との見解を表明。患者や国民が後発品の品質に不信感を抱くなかで、「その不安を取り除くことが産業振興策であり、促進策だ。業界も行政もしっかり対策を行い、それを後押しするように規制も強化する。これらをセットにして、後発医薬品に対する安心を取り戻せる方向に向けることこそが振興策だと思っている」と述べた。

業界団体である日本ジェネリック製薬協会に対しては自浄作用を働かせるよう、自ら考え、行動するよう求めた。「GMPやGQPは、その遵守状況を逐一行政がチェックすることが前提ではなく、まずは自社が徹底的に見直すことが大事。そのうえで、各社共通の課題を洗い出し、協会で独自のチェックポイントを示すなどができないか。団体自らが、各社の知恵を出し合って、どうしていくべきか考えなければ、自浄作用は機能しない」と述べた。また、「この難局は、業界全体が一枚岩となって同じ方向を見なければ乗り切れない」とも述べた。

◎医薬品の安定供給に必要なコスト配慮した価格設定が実現できる流通を 流通改善GL見直しへ

後発品をめぐっては、採算などの観点から薬価も議論の俎上にのぼる。2020年度第一次補正予算及び第3次補正予算では「医薬品安定供給支援事業」で合計60億円を確保し、抗菌薬などの海外依存度の高い原薬・原料を国内製造する製薬企業を支援するなど、原薬の国産化へのチャレンジも始めている。国産化への回帰で、現状の薬価ではコストを賄えないことも見込まれるなかで、「”安定確保医薬品”については、安定供給と流通に最低限必要なコストが確保できるだけの薬価は必要ではないか考えている」と述べた。

ただ、薬価改定は市場実勢価に基づいており、流通を含めたマーケットの実態の影響するところも大きい。例えば不採算品再算定が適用された品目が、次の改定で二桁下がるケースなどもある。林課長は、「価格競争を制限することは独禁法上できないが、取引上、医薬品の安定供給に必要となるコストを配慮した形での価格設定が実現できる流通となるよう、流通改善ガイドラインの見直しも必要だ」との見解を表明した。6月を目途に策定を目指す「医薬品産業ビジョン」でも、「いま一度、流通事業者の機能や存在意義を整理したい。それを受けて流通改善ガイドラインで具体的なことを定めていく」考えを示した。早ければ、今夏にも流通改善ガイドラインの議論をキックオフすることに意欲を示した。

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