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財政審がキックオフ 団塊世代が後期高齢者入りで社会保障の「給付と負担」議論避けられず

公開日時 2021/04/08 04:51
財務省の財政制度等審議会は4月7日、総会と財政制度分科会を開き、2022年度予算編成に向けた議論をキックオフした。榊原定征会長(東レ社友、元社長・会長)は終了後の記者会見で、「経済構造の転換による生産性の向上、社会保障の受益と負担のアンバランスの是正といったことがますます重要な論点となる」との見解を表明した。次期予算編成では、新型コロナで債務残高が増大していることに加え、2022年から団塊世代が後期高齢者に入り始める構造的課題に直面する。今夏にも策定する経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)に向け、まずは春の建議の取りまとめに向けた議論を本格化させる。榊原会長は、「日本経済、財政が偏る構造的課題に切り込んで、あるべき姿、道標を示す」と述べた。

◎コロナで先行き見通せず 例年にも増して歳出改革の重要性増す

新型コロナの感染拡大の先行きが見通せない中で、借換債を含む国債の発行額は2020年度、21年度ともに200兆円を超えるなど、債務残高が増加している。政府は、2025年度に「国・地方をあわせたプライマリーバランス(PB)の黒字化」を財政健全化の目標に据えており、例年にも増して歳出改革の重要性は増している。

◎現役世代の負担重く 世代間格差を埋める改革の道筋は?


こうしたなかで、2022年以降は、少子高齢化による構造的課題に直面する。特に、団塊世代が75歳以上の後期高齢者に入り始める2022年以から24年にかけて、高齢者人口の伸び率がピークに達する。75歳以上の高齢者を支える「0~74歳」の人口比は2018年の6人から25年には5人、54年には3人と支え手の減少も重くのしかかる。後期高齢者では1人当たりの医療費が増加傾向で、2009年から18年にかけて6.7万円増加した。一方で、1人当たりの保険料は0.8万円の増にとどまる。また、「15~64歳」の医療費は2.1万円増だが、保険料は8.1万円増となり、現役世代への負担が重くのしかかってくる。こうした世代間の格差が指摘されるなかで、医療を含む社会保障の給付と負担の議論は避けられないとの見通しだ。

◎高齢化の増加分以上に「社会保障費を抑える目標設定」求める意見も


この日の財政審では、新型コロナに重点的な予算配分を求める声が委員からあがり、「コロナ以外の恒常的な赤字は、社会保障の受益と負担の在り方について考えていくべき」との意見もみられた。また、「高齢化による増加分以上に社会保障費を抑えるという目標を立てるべき」との発言もあったという。

増田寛也分科会長代理(東京大学公共政策大学院客員教授)は記者会見で、「団塊世代も後期高齢者に入り始める、2022年問題が出てくる。議論は、給付と負担をどう整理するかが中心になる。コロナ以前の頃からこの問題はずっと議論してきたが、議論を十分踏まえながら、大きな社会保障の問題が立ちはだかっている前提で、できるだけ早い段階から分科会で議論する」と述べた。

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