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財務省主計局  薬剤費増加の原因に「新規医薬品の保険収載」 後発品上市後の類Ⅱ算定を問題視

公開日時 2021/04/16 04:52
財務省主計局は4月15日の財政制度等審議会財政制度分科会に、「既存医薬品の薬価下落に伴う薬価改定にかかわらず、薬剤費が大きく増加する背景として新規医薬品の保険収載がある」と問題提起した。そのうえで、類似薬効比較方式Ⅱで算定された医薬品について、「類似薬に後発品が上市されている場合は、その価格を勘案して定めることとすべき」などと提案した。また、2021年度から導入された毎年薬価改定については、改定品目が7割にとどまることから、全品目を対象とした「完全実施を早期に実現すべき」と主張した。

◎保険収載に財政影響勘案されず 予算統制のあり方を抜本的に見直すべき

2000年に比べ、既存薬価の改定率(薬剤費ベース)は平均3.1%下がっている一方で、薬剤費総額(国民医療費ベース)は平均2.6%伸びている-。主計局はこの日の財政制度分科会に資料提示した。この伸びの背景として、年に4回、薬事承認が行われたものは事実上すべて収載されるため、「保険収載により生ずる財政影響は勘案されておらず、予算統制の埒外となっているため、財政の予見可能性が失われている」と主計局は指摘する。

そのうえで、医薬品の価格が高額になっている状況も踏まえ、「財政影響を勘案して新規医薬品の保険収載の可否を判断することや、新規医薬品を保険収載する場合には保険収載と既存医薬品の保険給付範囲の見直しとを財政中立で行うことを含め、保険適用された医薬品に対する予算統制のあり方を抜本的に見直し、正常化を図るべき」と主張した。

◎類Ⅱ算定 後発品の価格を勘案して類似薬の設定を

具体的には、類似薬効比較方式Ⅱについて、後発品が上市されていても類似薬に先発品を据えて薬価が算定されていることを問題視した。その代表格として、財務省主計局は、「プロトンポンプ阻害薬の主な医薬品」を名指し。PPIではタケキャブやネキシウム、ARBではアジルバなどがこれに該当し、それまで築いた市場を引き継ぐような形で、いずれもブロックバスターに成長している。実際、PPIでは、後発品があるにもかかわらず、医療現場で先発品が選択され、処方される実態があることも指摘されている。こうしたなかで、「類似薬に後発品が上市されている場合は、その価格を勘案して定めることとすべき」と提案した。

また、原価計算方式においては、「新規性が認められる要件を充足しない場合は減算するなどの仕組みを導入すべき」と提案した。原価計算方式については、平均的な営業利益が積み重ねられるが、製造業平均の4%に比べ、14.8%と高い水準を上乗せされていることなどから、「薬価に反映する営業利益の水準について適正化すべき」と提案した。

◎OTC類似薬はオンライン診療・電話診療で処方割合高く 置換え効果2300億円


主計局はまた、既存医薬品の保険給付範囲を見直す必要性を指摘した。特に、OTC類似薬がオンライン診療・電話診療で処方されるケースが多いと指摘した。実際、カロナールやムコダイン、アスピリン、トランサミンなどの投与が多い。OTCの置き換えによる医療費適正化効果が2300億円との推計も提示し、「セルフメディケーションを進める観点からも、保険給付範囲からの除外や縮小などの適正化を検討すべき」と提案した。

◎毎年薬価改定は「完全実施を早期に実現すべき」


2021年度から導入された毎年薬価改定については、「市場実勢価格を適時に薬価に反映することが国民負担の抑制の観点から極めて重要」として、この観点から導入されたと説明した。一方で、改定対象品目が乖離率5%超の品目が対象とされ、全品目の約7割にとどまったことや、新薬創出等加算の累積額の控除などについては適用されなかったことなどから、「毎年薬価改定が完全実施されたとまでは言えないことから、これらの点を見直し、完全実施を早期に実現すべき」と提案した。調整幅については、「一律に2%とされたまま、約20年間見直しがされておらず、その合理的な根拠(エビデンス)を含め、あり方を見直すべき」とした。

◎後発品「新目標を早急に策定すべき」 バイオシミラーの新たな数値目標設定も


後発品については、品質確保や信頼獲得に努めることを前提としたうえで、「後発医薬品の使用促進は揺らぐことなく進め、新目標を早急に策定すべき」と提案した。バイオシミラーについて新たな数値目標を設定することや、国でフォーミュラリガイドラインの策定に取り組むなかで後発品の選定基準を設けることを検討すべきとした。また、後発医薬品体制加算については、財政効果も踏まえ、「メリハリがついた減算中心の体系に組み替えるべき」とした。

また、大学病院での後発医薬品の使用割合が72.7%と80%目標に達成していないことなどから、後発品の使用割合の公表を医療機関別まで拡大し、見える化を進める必要性を指摘した。大学病院では奨学寄附金と医薬品の適正使用の関係が注目されているとして、「奨学寄附金については廃止を含めあり方を見直すとともに、製薬会社から学会・医療機関・医師等への資金提供について一層透明性を高めることが必要」とした。

このほか、長期処方を是正する観点からリフィル処方箋の導入を図るべきとした。また、向精神薬の処方について問題視。諸外国ではベンゾジアゼピン系については処方制限がついていることなどを引き合いに、「海外では投与期間が制限されている依存性の強い薬剤を含め、取組を強化すべきではないか」と提案し、多剤処方や長期処方を是正する必要性を指摘した。

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