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武田薬品・ウェバー社長 「パートナーシップの社内カルチャー醸成」に自信 コロナワクチン提携で

公開日時 2021/06/30 04:51
武田薬品は6月29日、大阪市内で株主総会を開いた。クリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは、新型コロナワクチンへの取り組みについて、「自社での開発が難しいと判断し、素早く戦略的パートナーシップを結んだ。技術移転を完璧に行い、まず日本に導入し、他の国にも展開したい」と意欲をみせた。同社は米モデルナ社、ノババックス社と提携を結び、国内への新型コロナワクチン供給に向けた体制整備を進める。米モデルナ社とは追加供給の協議に入っており、ノババックス社のワクチンについては「22年の早い段階」での供給を見据えている。

ウェバー社長は新型コロナワクチンの開発の難しさを指摘した。世界で売上高上位15社に入るメガファーマでも自社開発できたのは1社のみで、バイオベンチャーやアカデミアからの技術導入が大半を占めていると説明した。ファイザーが独・ビオンテックと共同開発で新型コロナワクチンの早期実用化にこぎつけたことに対する株主からの問いに対しても、「長い時間のパートナーシップがあった」ことが寄与したとの考えも示した。

一方で、多くの企業がパートナーシップを模索するなかで、2社との協業に至った理由についてウェバー社長は株主総会後の会見で、「我々武田薬品ではスタートアップ、アカデミアと築き上げたウインウインのパートナーシップが社内のカルチャーとして醸成されてきた」との考えを表明。さらに、武田薬品がこれまでワクチン事業で培ってきた専門知識があったことから、「ノババックスのワクチンを非常にエキサイティングな内容だと思った」とも話した。

血漿分画製剤については臨床試験で評価項目を達成することができなかったが、新たな視点が得られたことも強調。「経験から得られるものは、将来的にパンデミックが起きたときにはうまく使えると思っている」とも述べた。

株主からの研究開発力を喪失したとの指摘もあったが、これには真っ向から反論した。ウェバー社長自らが取り組んだ研究開発部門の改革に加え、シャイアー社の買収などで、「これほど豊富なパイプラインを保持したことはこれまでにない。研究開発力を取り戻した証拠だ」と強調した。実際、2021年度は米FDAをはじめ、主要な規制当局に対して、5~6の新規候補物質の申請を予定していることなども紹介し、「2021年度は、転換点になる」と述べ、成長軌道を描くことに改めて自信を見せた。

このほか、光工場(山口県光市)に対するFDAから品質管理体制をめぐり警告をうけたことに対し、「重く受け止めている」と述べた。人材軽視が理由ではないかとの指摘に対しては、「人事の問題とは全く関係ない」との見解も示した。FDAは7月に再査察を行う予定となっている。

◎株主総会は完全オンライン実施可能に 

この日の株主総会では、完全オンラインでの総会の開催を可能とする定款の一部変更も議案にあげ、可決された。これまで日本では法律上、株式総会は株主が来場する場所が必要とされており、完全オンラインでの総会の実施はできなかったが、コロナ禍で産業競争力強化法を改正され、場所を定めない株主総会として実施できるようになった。ウェバー社長は、現地での実施を優先する考えを示し、「完全にバーチャルに切り替えるのが意図ではない」と説明した。この日の株主総会は、報道関係者向けにも完全公開された










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