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武田薬品・中村GISBUヘッド 再生医療等製品「アロフィセル注」などグローバル3製品軸に日本市場展開

公開日時 2021/11/26 04:52
武田薬品の再生医療等製品「アロフィセル注」が11月25日、薬価収載された。同社GIスペシャルティBU(GISBU)の中村浩己ヘッドは同日、本誌インタビューに応じ、潰瘍性大腸炎治療薬エンタイビオ、短腸症候群治療薬レベスティブに次いで発売する「アロフィセル注」の3製品を軸に、「患者のアンメッドニーズの高いところで、イノベーションを起こしていきたい」と意気込んだ。3製品はいずれもグローバル戦略品の位置づけ。中村ヘッドは、「海外で先行発売していることもあり、そこで得られた知見やナレッジ、成功・失敗も含めて日本の戦略に活かしたい」と強調した。

◎完全受注生産のアロフィセル注 大阪工場で生産完了後72時間以内に直送


アロフィセル注(ダルバドストロセル)は、同社として国内初の再生医療等製品で、医療機関から発注を受けた後に大阪工場で受注生産する。生産完了後72時間以内に医療機関に直送し、患者に投与する。中村ヘッドは、最初の1例目について、「12月終わりか1月初旬に行われる手術」に向けて準備したいと明かしてくれた。3製品の情報提供には、BU所属の200人を下回る規模のMRと、医師・患者双方に向けたWebメディアを活用する。中村ヘッドは、「効率的かつ必要な時に必要な情報が届く仕組み」を構築するとした。

アロフィセル注は、クローン病に伴う複雑痔瘻の患者を対象とし、炎症部位において、リンパ球の増殖阻害や制御性T細胞の増殖誘導で炎症反応を抑制し、瘻孔周囲の組織を治癒させる。適応患者数は日本で1600例~1700例程度。診療科は消化器外科、肛門外科、消化器内科などに跨っているほか、肛門病変合併症の頻度が高率であることも分かっている。

中村ヘッドは、「クローン病に伴う肛門病変は、日本や東アジアで多い。クローン病の患者の中で肛門病変が非常に大きな問題になっている」と指摘。加えて、「この肛門病変が初発で見つかるケースも多い。かつ再発を繰り返す」と病態の特徴を述べ、患者のQOLを著しく低下させるなど、負担が大きいことを強調した。その上で、アロフィセル注については、「炎症部位に注入する。これにより局所で火が燃え盛っているような炎症を鎮め、瘻管が閉じるのをサポートする」と述べ、患者のQOL改善に大きく寄与すると期待感を込めた。

◎全国配送や温度管理などのテストランを終了 医師向け講習会約30人が修了

一方でアロフィセル注は、製品としての有効期間が72時間と短いため、手術を行う医療機関からの完全受注生産が求められる。中村ヘッドは、「スペイン・マドリッドで生産したセミファイナル・プロダクトを大阪工場で最終調整して医療機関に出荷する」と説明。すでに全国配送や温度管理などのテストランを終えていることも明らかにした。また受発注システムも用意しており、武田本社、大阪工場、医薬品卸、医療機関の全員が「どのステージにあるかを確認できるようにした」と述べ、医療機関からの受注準備に万全を期す考えを強調した。

アロフィセル注を使用できる医師は、同社講習会を受講・修了した医師に限定されるとし、「すでに2回の講習会を実施し、約30人の医師が参加した。年度内にもう2回の講習会を予定している」と述べ、初期段階で全国40施設程度の実施を見込み、「少しづつ増えていくことになると思う」と述べた。

◎MRが東アジア地域(中国、韓国、台湾)との会議やワークショップに参加

GISBUが注力する3製品の情報提供について中村ヘッドは、「グローバルと密な連携を通じ、常に情報をアップデートし、MRの情報提供活動に展開する」と強調した。BUが扱う3製品はいずれも海外先行のグローバル戦略品に位置づけられる。中村ヘッドはグローバル感覚を養う試みとして、東アジア地域(中国、韓国、台湾)との会議やワークショップにMRを参加させ、各国のMRとのディスカッションを経験させていることを明らかにした。

会議は英語で行われ、日本から1会議あたり3~5人のMRが参加しているという。日本から参加するMRは手上げ制で公募し、国内予選を勝ち抜いた選抜MRには、プレゼンやディスカッションに関する英語研修が事前に行われる。すでに、東アジア各国との会議やワークショップは5回程度開催されており、その度ごとに、各国のMR同士が行うディスカッションに日本から参加するMRも積極的に発言していると中村ヘッドは明かしてくれた。

このほかグローバルとの連携では、本部主催で各国のKOLが参加するWeb会議やラウンドテーブルなども行われており、日本の医師と海外の専門医とのディスカッションなどのサポートも行っており、中村ヘッドは「国際的な連携も引き続き行っていきたい」と強調した。
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