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諮問会議で鈴木財務相 22年度改定は「“医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし”の姿勢で臨む」

公開日時 2021/11/26 04:51
鈴木俊一財務相は11月25日の経済財政諮問会議(議長:岸田文雄首相)で、2022年度診療報酬改定について、「新型コロナ感染拡大後、初の診療報酬である以上、この経験を踏まえて、“医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし”の姿勢で臨む」と述べた。この日の諮問会議で、岸田首相は、「メリハリのある診療報酬改定」の実現で、社会保障の質向上と国民負担軽減の実現を明言。岸田政権が“成長と分配”の好循環を掲げるなかで、現役世代の可処分所得拡大が重視される。このためには、保険料率の増額を抑制することは不可欠との声が諮問会議では相次いだ。

「来年から団塊の世代が75歳以上となる中、メリハリのある診療報酬改定や効率的な医療提供体制の整備など、着実に改革を進め、社会保障の質の向上と国民負担の軽減を目指してまいります。また、成長と分配の好循環を実現するためにも、持続可能な全世代型社会保障の構築を通じて、将来の安心の確保と消費の拡大につなげる」-。岸田首相は、この日の諮問会議でこう述べた。この日の諮問会議でも、団塊世代が後期高齢者世代に入り始める2022年度を見据え、社会保障制度改革の必要性や、デジタル活用による新たな市場創出など成長力強化が議論の俎上にのぼった。

◎後藤厚労相 一般病院(医療法人)の損益率は他のサービス業や中小企業より低率


後藤厚労相は諮問会議に、医療経済実態調査の結果を報告。一般病院(医療法人)の損益率は0.1%の黒字(コロナ補助金を含むと2.3%の黒字)。ただ、「一般病院(医療法人)の損益率は他のサービス業や中小企業よりも低くコロナ補助金を含めても4割超は赤字」と説明した。また、一般病院全体では、6.9%の赤字で、コロナ補助金を含むと0.4%の黒字となった。診療報酬上の特例もあり、足元の医療費は、新型コロナ前の水準に回復しつつあるが、受診患者数は回復していないとした。医療業の賃金は、2020年度にはほぼ横ばい、21年度は上昇傾向。ただ、20年度に低下していた物価動向は、21年度にはエネルギー価格や円安などで、上昇が見込まれるとした。

鈴木財務相は、「成長と分配の好循環を実現し、現役世代の可処分所得を拡大させるためには、保険料負担の増額を抑制することが重要だ。このため、薬価改定において薬剤費の適正化を進め、診療報酬本体の改定について入院・外来の機能分化を含め、メリハリのある見直しを行うことが適切だ」と主張した。諮問会議の民間議員も、「いまの診療報酬の仕組みは、分配が一部の病院、クリニックに偏り、現役世代の負担は大きい」と指摘した。

年末の予算編成に向けて、2022年度診療報酬改定の議論が本格化するなかで、分配のあり方も焦点の一つとなりそうだ。

◎民間議員 かかりつけ医機能の制度化を提案 オンライン診療など包括的に提供

諮問会議の民間議員は、2022年度診療報酬改定を通じた医療提供体制強化の必要性を強調し、「保険料率の伸びを抑制することで、可処分所得をより拡大していくためにも、診療報酬本体のメリハリのある見直しを行い、国民負担を軽減すべき」と主張した。

具体的には、かかりつけ医機能について国民の理解を深めつつ制度化し、診療報酬上のかかりつけ医への加算評価を新設することを提案した。かかりつけ医がコロナ対応やオンライン診療などを包括的に提供するとした。診療報酬上のオンライン診療料を見直し、対面診療の点数である特定疾患管理料などとの格差是正を行い、オンライン診療の対象機関を拡大することも提言した。

◎「一入院当たりの包括払い」導入で包括払いの対象範囲を拡大 在院日数短縮へ 

また、新型コロナ対応で、病院や病床数が多く医師や看護師が薄く分散している課題も見えた。民間議員は、現行の急性期病床の強化・集約化が必要とし、「病床の効率的な活用や医療従事者の適正な配置が不可欠」とした。また、「一入院当たりの包括払い」の導入とともに、包括払いの対象範囲を拡大し、平均在院日数の短縮を促すべきとした。また、残薬抑制の観点から、「かかりつけ薬剤師による適切な服薬指導の下、リフィル処方を導入すべき」と主張。国民の約8割がリフィル処方に肯定的とのデータも示した。

◎薬価改定 「調剤幅」について検証を  費用対効果も踏まえた算定基準の見直しの検討も

薬価改定については、「新薬創出を後押しする一方、長期収載品等の医薬品についての評価適正化、後発品の更なる使用促進を行う観点から、費用対効果も踏まえた算定基準の見直しを検討すべき」と主張した。「市場実勢価格に上乗せされる調整幅についての検証する」ことや、「市場実勢価格にあわせた薬価改定分は国民に還元すべき」ともしている。

◎「予防・重症化予防・健康づくりサービスの産業化」の必要性も言及

一方で、医療・介護を将来性のある市場にも位置づけ、「予防・重症化予防・健康づくりサービスの産業化」の必要性も言及。保険者による包括的な民間委託の活用や新たな血液検査などの新技術の活用などについてアウトカムを掲げて推進すべき」とした。岸田首相も、「今後も需要増が見込まれる医療や介護分野については、ロボットや見守りセンサーを始め、デジタル技術を積極的に活用することで、人手不足の解消と供給力の向上を同時に実現する。そうすれば、働く方々の収入も上がり、需要と供給が共に増加する成長産業にもなっていく」と述べた。


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