バイエル薬品社員“パワハラ”訴訟 元MRの男性の請求棄却 東京地裁
公開日時 2022/02/16 04:49
バイエル薬品の男性社員が業務命令を拒否したところ、パワハラを受けて休暇を余儀なくされたとして、同社に対し、総額約8800万円の損害賠償の支払いを求めた訴訟の判決が2月14日、東京地裁であった。成田晋司裁判長は「原告の供述の信用性は慎重に検討する必要がある」などとし、男性の訴えを退けた。
判決によると当時MRだった男性は、抗凝固薬・イグザレルトを処方された患者のカルテについて、業務命令として閲覧を強要されたと主張していた。
判決で成田裁判長は、「患者の個人情報は医師が記入することが想定されていることから、カルテの閲覧が会社の指示によるものだと認めることはできない」と指摘。上司によるパワハラ行為についても、「原告が打ち合わせ中に関係のない作業をしていることを注意するのは相応の理由があり、2人の間にも一定の距離があったことから体への危害を想起させるものではない」とした。そのうえで原告が発症したと主張する狭心症について、「元々その原因となりうる脂質異常症の既往があった」と指摘。退職勧奨についても「MRに復帰するという上司の提案を一貫して拒否したため、復職は困難であると考えて代替案を示したにすぎない」として、男性の請求を棄却した。