医薬品の安定供給で各社コメント 先発企業「供給リスク⾼まる事態」在庫積み増し・⽣産計画変更で対応
公開日時 2022/03/09 04:51
ミクス編集部が行った22年度薬価改定影響度アンケートから「医薬品の安定供給」に対する製薬各社の意見をみると、先発・後発に限らず、「製薬企業の使命であり、最⼤限の努⼒を行うことが求められる」との認識を得た。医療現場を揺るがすGMP違反事案が続発する中で、先発品企業からは、「突然、⾃社製品の供給リスクの⾼まる事態が発⽣している。製品在庫の積み増しや分散保管などに加え、⽣産計画の変更など柔軟に対応する態勢をとっている」(先発品企業・内資)などのコメントが寄せられた。一方、後発品企業からは、「海外原薬のサプライチェーンや、供給不安発⽣時の市場流通品の調整など、メーカー努⼒では対応しきれない問題については国の⽅でも動いて頂きたい」(後発品企業)との意見が見られた。
◎先発品企業 安定供給体制の強化で製品在庫を積み増し
安定供給をめぐる意見のうち先発品企業からは、「新型コロナウイルスの感染再拡⼤によるサプライチェーンへの影響に備え、安定供給体制をさらに強化するため、製品在庫を積み増す取り組みを継続している」(内資)や、「全世界9か所の医薬品製造サイトすべてにおいて、主⼒品の原薬および原材料の在庫を⼗分に確保しながら、安定操業、安定⽣産、安定供給を継続している」(内資)などの意見があった。
◎調整幅 「今後も医薬品の安定供給の為に必要不可⽋なもの」
一方で課題としては、「原薬調達等のサプライチェーンの不具合など、製販企業では如何ともしがたい事情で供給不安が生ずるケースもある」(内資)との指摘も。また、「毎年改定の影響で安定供給が困難になっている医薬品も多いため、基礎的医薬品の箱をもっと大きくすることも一つの策だと思う」(内資)という意見もあった。ほかにも「調整幅」の問題に絡めながら、「今後も医薬品の安定供給の為に必要不可⽋なものである。むしろ(調整幅の)拡⼤の必要性について議論すべき」(内資)や、「後発品への置き換え率による先発品の追加引き下げに関しては、製品ごとの背景を加味するなど柔軟な対応も視野に⼊れるべき」(外資)との見解も見られた。
◎後発品企業 「効率化による⽣産量増加や設備投資等できる限りの努⼒している」
後発品企業から寄せられたコメントでは、「安定供給は我々の最重要使命ととらえ、効率化による⽣産量増加や設備投資等できる限りの努⼒はしている」や、「安定供給については、品質⾯および事業継続性(経済性)も含めた安定⽣産と供給について、医薬品メーカーとして責務を果たす必要がある」との認識が示された。
課題としては、「サプライチェーンの⾯においては製造メーカーだけでは解決しきれない課題があり、業界をあげて取り組む必要があると考える」や、「海外原薬のサプライチェーンや、供給不安発⽣時の市場流通品の調整など、メーカー努⼒では対応しきれない問題について国の⽅でも動いて頂きたい」などの意見もあった。