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JCRファーマ・芦田会長兼社長 グローバル開発を積極的に推進 前臨床や基礎研究への投資にも意欲

公開日時 2022/05/17 04:50
JCRファーマの芦田信代表取締役会長兼社長は5月12日に公開した21年度(22年3月期)決算説明会動画の中で「わが社にとって、やはり今後、研究が非常に重要な課題だ。研究開発費は躊躇なく投入したい」との考えを強調した。複数のグローバル試験が進行中であり、21年度研究開発費は前期比33.9%増の71億7500万円、22年度は25.4%増の90億円とする計画だ。芦田会長兼社長をはじめ各担当役員が出席して行われた16日の質疑応答(カンファレンスコール)では、グローバル開発を積極的に進めていくだけではなく、前臨床段階の品目や、基礎研究にも積極的に投資をしていく方針を示した。

◎パートナーとの協業によるグローバルでの臨床開発、販売を基本方針に

同社は、ライソゾーム病(先天代謝異常症の一種)治療薬を中心とした希少疾病領域におけるグローバルスペシャリティファーマを目指しており、その実現に向けてパートナーとの協業によるグローバルでの臨床開発、販売を基本方針に据える。武田薬品とは、21年9月に独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo」を適用したムコ多糖症Ⅱ型(ハンター症候群)治療酵素製剤JR-141(日本で発売済み、販売名:イズカーゴ)のグローバルでの開発、販売に関する契約を締結。22年3月には複数のライソゾーム病についてJ-Brain Cargo技術を用いた遺伝子治療に関する共同研究開発契約を締結した。

◎JR-141 22年2月にグローバル第3相試験で最初の被験者への投薬開始

JR-141については、22年2月にグローバル第3相試験において最初の被験者への投薬開始を発表。20年12月に承認申請済みのブラジルでの審査状況については、16日のカンファレンスコールで「当局による検討は最終段階に入っていると承知している。ただ、いつ承認の可否が決定され、弊社に通知されるのかは、当局判断であり、分かり得ない」とした。

◎JR-171 日本・ブラジル・米国での1/2相試験、22年3月までに全例登録を完了

JR-141に続き開発が進捗しているのが、血液脳関門通過型ムコ多糖症I型(ハーラー、ハーラー・シャイエ、シャイエ症候群)治療酵素製剤JR-171。日本・ブラジル・米国において実施している第1/2相試験は、22年3月までに計画した全例の登録を完了したといい、決算説明動画では「全ての被験者で脳脊髄液中のヘパラン硫酸の濃度が減少している。これは、JR-141の治験で見られたものと同じ傾向であり、JR-171においても非常に有望だと捉えている」とした。

21年度の契約金収入は、JR-141のグローバル導出や遺伝子治療共同研究等を要因に65.0%増の105億7100万円に伸長。22年度も34.2%増の154億円と大幅な伸びを見込んでいる。カンファレンスコールでは、契約金の内訳は非開示とされ、予想にJR-171が含まれているかどうかは明確にされなかった。

◎ヒト成長ホルモン製剤グロウジェクトは数量ベース4.7%増 薬価改定影響で2.3%減収

21年度業績は、売上高が69.8%増の510億8200万円。主力製品合計は11.9%増の260億3200万円となった。最主力品のヒト成長ホルモン製剤グロウジェクトは、数量ベースでは 4.7%増加したが、薬価改定の影響で2.3%の減収となった。21年5月発売のイズカーゴは30億300万円を売り上げ、21年11月公表予想を2億円余り上回って着地。芦田透専務取締役営業本部長はカンファレンスコールで「非常に順調に市場浸透しており、時間がたつほど有用性が徐々に浸透していったものと考えている」と述べた。製品売上以外では、新型コロナワクチン「バキスゼブリア筋注(AZD1222)」原液出荷事業で35.6倍の143億7500万円を売り上げた。

22年度業績予想は売上高が11.9%減、営業利益が27.9%減の減収減益を予想。これはAZD1222 原液製造事業の終了によるもの。主力製品合計売上は、14 億9700万円増を予想。グロウジェクトは1億5400万円増の131億円を見込む。成長ホルモン製剤市場では、ファイザーのエヌジェンラなど週1回投与の長時間作用型の新製品が参入したが、大きな影響は見込んでいないという。イズカーゴについては、22億600万円増の52億1000万円を予想。芦田透専務取締役営業本部長は「ムコ多糖症Ⅱ型の酵素補充療法(サノフィのエラプレース、クリニジェンのヒュンタラーゼ、イズカーゴ)において今期中にシェアトップを取れるのではないかという目標を立てて取り組んでいるところ」と述べた。

【21年度連結業績 (前期比)22年度予想(前期比)】
売上高510億8200万円(69.8%増)450億円(11.9%減)
営業利益  199億3300万円(141.1%増)145億円(27.3%減)
親会社帰属純利益145億700万円(110.5%増)103億円(29.0%減)

【21年度国内主要製品売上高(前期実績)22年度予想、億円】
グロウジェクト 129.45(132.56)131
イズカーゴ 30.03(―)52.10
腎性貧血治療薬 58.75(70.87)49.30
エポエチンアルファBS注 28.76(32.78)26.30
ダルベポエチンアルファBS注29.98(38.09)23
テムセル 34.97(24.41)35.30
アガルシダーゼベータBS点滴静注 7.11(4.70)7.60
契約金収入 105.71(64.06)154
AZD1222原液 143.75(4.04)19.30
 
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