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財務省主計局 医療法人の経営透明化で「職種ごと一人当たり給与額が確実に把握できる制度設計」を提案

公開日時 2022/11/08 04:51
財務省主計局は11月7日の財政制度等審議会財政制度分科会に、医療法人の経営実態の透明化に向けてデータベースの構築が検討されていることについて、「職種ごとの一人当たりの給与額が確実に把握できるような制度設計を行うべき」と主張した。増田寛也分科会長代理(日本郵政取締役兼代表執行役社長)は財政審後の会見で、複数の委員から賛同する声があがったと報告。「見える化により、分配の適正化に資するものだ」との見解を表明し、「(自身が座長を務める政府の)公的価格評価検討委員会でもこの問題について議論していきたい」と述べた。このほか、コロナ禍での補助金や特例をめぐり、財務省主計局は「医療機関の経営は堅調」としたうえで、「特例は早急に縮小、廃止すべきではないか」と主張した。

医療法人の経営実態の透明化をめぐっては、政府が6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に、「医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備するとともに、処遇改善を進めるに際して費用の見える化などの促進策を講ずる」ことが明記されている。

医療法人では事業報告書の都道府県ホームページなどでの閲覧が23年度からスタートする予定だが、事業報告書では法人の事業収益や費用は把握できるが、一人当たりの給与額などは把握できない。現在、厚労省でデータベースのあり方が進められている状況にあるが、「職種別の給料及び賞与並びにその人数」について、任意とするか、義務とするか、などの扱いが決まっていない状況にある。財務省主計局は、「公的価格評価検討委員会における議論を踏まえ、現場で働く医療従事者の処遇の把握を行い、費用の使途の見える化を通じた透明性の向上を図る観点から、職種ごとの一人当たりの給与額が確実に把握できるような制度設計を行うべき」と主張した。

出席議員からは、「人件費の正確なデータが必要だ。確実に各医療法人のデータが収集できる仕組みを構築していかなければならない」、「処遇改善の効果がわかるようにするために、職種別の人件費の詳細を報告するデータベースを公表すべき」などの声があがった。

◎コロナ禍での特例的な補助金や診療報酬 「早急な縮小、廃止を」 医療機関経営は「堅調」


コロナ禍での補助金については、コロナ特例についての早急な縮小、廃止を求めた。新型コロナの医療提供体制のために17兆円程度の国費による支援が賄われてきたと指摘。病床確保料や発熱外来に対する診療報酬上の特例措置、新型コロナワクチンの接種体制確保補助金をあげた。

財務省主計局は、「一定の仮定を置いて大胆に試算すれば、22年度については、足元の実績から推計した医療費の見込みに、21年度の実績から推計した補助金収入見込みを足した計数は49兆円程度と見込まれ、医療機関の経営は近年になく好調となることが窺える」と指摘。オミクロン株がこれまでと比べて弱毒化しているとしたうえで、「すでにコロナ前の報酬水準を回復している医療機関に対し、22年度に補助金と診療報酬の特例で年間4兆円程度を支援することとなる見込み」とした。そのうえで、「特例的な補助金や診療報酬は、国民負担によって賄われることを踏まえれば 、特例は早急に縮小 、廃止すべきではないか」と主張した。

出席委員からは、「収入が回復しても、いまだに補助金が続いているのが問題だ」、「発熱外来への診療報酬は時限を区切って臨時的な措置にしていくべき」、「病床確保料、ワクチン接種体制補助金、コロナ特例診療報酬も配られて4兆円近い金額が支援される見込みだ。第8波も予想されるが、補助金の整理を含めた例外的な対応の見直しをして、ウィズコロナへの対応を見直していくべき」などの意見が出た。

◎かかりつけ医機能の「法制化」求める 「外来機能の分担も不可避」

かかりつけ医をめぐっては、改めて「“かかりつけ医機能”を有する医療機関の機能を明確化、法制化し、機能発揮を促す必要がある」と主張した。かかりつけ医をめぐっては、政府が6月に閣議決定した骨太方針で、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」ことが盛り込まれていた。財務省主計局は、診療所などの機能分化を法制化することで、目指すべき医療機関、地域医療の姿実現を後押しする必要性を指摘した。

日本では民間病院が中心となって医療提供体制が整備されてきたことから、「人口当たり病院数・病床数が多く、病院・病床当たりの医療従事者数が手薄となるなど、医療資源が散在 する一因となっている」と指摘した。高齢化が進展するなかで、「効果的 ・効率的な医療提供を行う体制を実現することは、医療制度改革の最重要課題」とした。

地域医療構想や地域包括ケアシステムを各地域で機能させるには、「診療所等の外来の機能分担も不可避」との考えを表明した。法制化により、かかりつけ医の具体的な姿を示し、描いた医療提供体制実現を急ぎたい考えだ。具体的には、急性期病院を入院医療に集中させるためには、「患者に身近な地域で、ある程度の診療を行い、必要に応じて、急性期病院に紹介を行う診療所等が必要。また、患者に身近な地域で、回復期病床の延長線上で、患者を継続的に観察できる中小病院・診療所が必要」と説明。地域包括ケアを機能させるために、「患者に身近な地域で、介護関係者と連携して、継続的・横断的に診療を行う診療所等が必要」とした。

また、国民自身がかかりつけ医を選ぶことの必要性が指摘されるなかで、その情報となる医療機能情報提供制度においては、「医療機関の一方的な報告のみに基づくものであり、医療機関を選ぶ基準として十分に機能しているとはいいがたい」と指摘した。

診療報酬上の評価についても、「算定要件が相次いで緩和され、かかりつけ医機能の強化という果たすべき政策目的と診療報酬上の評価がますますかけ離れることなった」と指摘。機能強化加算については、「本来は初診患者の中でもより継続的な管理が必要な疾患を有する患者への算定が期待されながらも、算定の実態がまったく異なっており、外来機能の分化につながっていないことが指摘されている」とした。


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