【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

23年度改定の論点 後発品の安定供給に加えて「イノベーション評価」が急浮上 自民党医療委が提言へ

公開日時 2022/12/13 04:53
2023年度薬価改定をめぐる議論が佳境を迎えている。後発品を中心とした安定供給問題への対応に加え、イノベーションの評価が論点の一つとして浮上してきた。12月12日の自民党・社会保障制度調査会医療委員会(田村憲久委員長)では、出席議員から毎年薬価改定による薬価下落が引き鉄となって、日本市場への上市を回避するドラッグ・ロスへの懸念を指摘する声があがった。終了後に記者ブリーフに応じた田村委員長は、特に新薬創出等加算についての課題認識を表明。これら課題を提言として取りまとめ、近く加藤勝信厚労相に手渡す考えを明らかにした。提言はイノベーションの評価と後発品を中心とした不採算品への一定の対応が柱となる見通し。

◎田村委員長「少なくとも新薬をしっかりと評価をしてもらいたいということ」

田村委員長は記者ブリーフで、毎年薬価改定の導入により、製薬企業、医薬品卸、医療機関が疲弊しているとの見解を表明。「今回の改定に向かい、少なくとも新薬をしっかりと評価をしてもらいたいということ、それからもう一つは、やはり採算割れしているような医薬品に関して回避できるようなことを考えてほしいという意見が圧倒的に多かった」と述べた。

イノベーションの評価について田村委員長は、「新薬自体の評価というものをどうするんだということ」と説明。21年度改定では新薬を含む医薬品の薬価が引下がったことを踏まえ、「今回も普通でいけば下がる。そういうものをどうするか考えないと、この国に新しい薬が上市されてこなくなってしまう。実際そうなっている。その危機感を我々は持っている」と強調。年末の予算編成に向けて、後発品を中心とした不採算品の薬価上の下支えに加え、新薬の評価が重要な論点になるとの考えを示した。

◎新薬創出等加算が“十分に機能している”との認識に「驚愕」 国民不利益回避へ 田村委員長

特に、新薬創出等加算のあり方に課題認識を表明。「新薬創出等加算で十分に機能しているだとか、そういう認識を持っておられる方々がおられるというのは、それはもう我々は驚愕だ。いまの日本はドラッグ・ロスやジャパン・パッシングのような状況が起きてきている。新しい薬が国民の皆様に届かなくなっていること自体、国民の皆様にとっては不利益だ。そういうことも踏まえたうえで、今後どうあるべきか考える必要がある」と述べた。

一方で、不採算品をめぐっては、「本来はあり得ない話で、薬の商慣行自体に問題がある」との考えを示した。単品単価が推進されるなかで現実的には、単品総価が横行していることから、薬価の引下げが続くと指摘。「一定程度薬価差を取らないと医療機関が経営できない。構造的な問題が起きている」との認識を示した。

◎医薬品供給不安 医療機関や薬局の労力拡大 財政上の手当て求める声も

出席議員からは、医薬品の供給不安が起きるなかで医療機関や薬局への労力が大きいことからそれに対する財政上の手当てを求める声も複数あがった。後発品の薬価上の下支えを求める声もあった。

このほか、衛藤晟一参院議員は、「前回は官邸で決まったため、我々は議論もできず、何も言えなかった。今回はそれを絶対許さない。2年に1回は特例であることを守るべきだ。改定するのであれば、特例なのだから1割を対象とすべきだ」など、改定自体を容認しないと強く主張した。一方で、不採算品目については、不採算品再算定などの薬価上の下支えは改定を行わなければ適用されないことになる。会議では、「不採算品目をあげるためには財源を取らないといけない」と指摘する声もあり、これまでの改定議論の延長ではないとの指摘もあった。



プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(48)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー