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9割超の医師・薬剤師がMR面談「価値ある」 MRの2割超が「価値ない」とギャップ MR実態調査

公開日時 2023/04/24 12:00
医師や薬剤師の9割以上がMRとの面会は「価値がある」と評価する一方で、MRは面会全体の2割超に「価値がない」と感じ、ギャップが生じている――。MR認定センターが4月24日に発表した「MR実態調査2022報告書」から浮かび上がった。調査を行った2022年はコロナ禍の真っただ中で、医療機関の訪問自粛要請でMRと医師や薬剤師がリアルに面談する機会は大きく減少していた。また、医薬品の品質問題に伴う供給停止が社会問題化していた時期とも重なる。コロナが一定程度終息する中で、今後のMR活動は医療者のニーズに応じた対話型コミュニケーションと時々刻々変化する情報をいかにタイムリーに提供できるかが課題となりそうだ。

◎MR面会に「価値ない」 医師は8%、薬剤師は5%にとどまる

「MR実態調査」は22年2月21日~28日に実施した。有効回答数は医師2084人(勤務医(100床以上):1326人、開業医(100床未満):758人)、薬剤師624人(病院薬局:88人、保険調剤薬局:536人)――。医師、薬剤師ともインテージヘルスケアグループの調査パネルを用いた。MR調査は、MR認定センターに登録された企業に所属するMRで、かつ現在医薬情報提供活動を行っている者を対象とした。有効回答数は1292人。調査期間は22年8月8日~23日。調査方法はすべてインターネット調査。

なお、同様の調査を2012年の「MR誕生100周年記念事業」に際して実施した。MR認定センターは、この10年間に医療従事者にとってのMRの存在価値がどのように変化したかを把握し、MRが医療従事者から期待される存在であることを検証する目的で行ったとしている。

医師・薬剤師それぞれに、MRとの面会価値を聞いたところ、「価値がない」との医師の回答は8%にとどまり、残りの9割以上は「価値がある」(非常に価値がある、価値がある、やや価値がある、の合算)と評価した。薬剤師も同様の傾向で、「価値がない」は5%だった。

一方、MR調査では、自身の担当医師または薬剤師をそれぞれ100として、「医師・薬剤師が考えるMRへの価値」について回答を求めた。その結果、MRは、医師の25%、薬剤師の21%が「MR面会に価値はないと思っている」と考えており、医師・薬剤師の高評価とは裏腹に、MRとの間で意識のギャップがあることが確認された。調査実施時期がコロナ禍と重なることや、「販売情報提供活動GL」の施行に伴い、医師や薬剤師がMRに求める情報ニーズに十分応えられないと考えるMR側の認識がギャップを生んでいる要因の一つではないかと考えられる。

◎面会価値「ある」MRとは 適切、正確、簡潔な情報提供を心掛けている

今回、医師・薬剤師それぞれに対し、「面会に価値のあるMRの態度」と「面会に価値のないMRの態度」も聞いている。医師、薬剤師ともに「価値のあるMR」の上位3つは全て情報提供に関するもので、「適切な情報を提供してくれた」、「正確に情報を伝えてくれた」、「簡潔に情報を伝えてくれた」――となった。

◎面会価値「ない」MRとは 期待外れ、あいまい、一方的な話し方

「価値のないMR」の上位3つも全て情報提供に関するもので、医師、薬剤師ともに上位2つは「情報内容が期待外れ」、「情報があいまい」だった。3番目は、医師は「双方向コミュニケーションがなかった/一方的な話し方だった」で、MRが一方的に伝えたいことだけ話して帰ってしまうケースが指摘された。薬剤師は「レスポンスが遅かった」がランクされた。

◎MRを最も頼りにしている情報 医師・薬剤師とも上位に「他施設の薬剤処方状況」

処方未経験薬剤に関して、「医師/薬剤師が必要と考える情報」、「MRから欲しい情報」、「MRを最も頼りにしている情報」について回答を求めた。医師調査では、「必要な情報」と「MRから欲しい情報」はほぼ一致し、製品の基本情報が上位を占めた。ネットでも調べられる情報ではあるが、処方未経験ということで、医師が感じたちょっとした疑問や疑念をMRに確認したいという医師側のニーズが垣間見える。

「MRを最も頼りにしている情報」は、上位から、▽原料や製品の製造国等の製造関連情報、▽他施設の薬剤処方状況、▽講演会、研究会の案内、▽出荷調整、欠品などの流通関連情報――となった。このうち製造国や流通関連情報は、調査時期が医薬品の品質問題や海外に依存する原薬の空輸遅れによる出荷調整が相次いだ時期と重なったことから上位にランクされたとみられる。その点でいうと、医師側もMRから時々刻々と変化する情報をタイムリーに得たいとのニーズが垣間見える。他施設の薬剤処方状況は、販売情報提供活動GLで科学的根拠に基づく情報提供が求められており、慎重な対応が求めれるが、医師の情報ニーズが高いことは今回確認できた。

薬剤師調査でも医師調査と同じく、「必要な情報」と「MRから欲しい情報」はほぼ一致し、製品の基本情報のニーズが高かった。「MRを最も頼りにしている情報」は、トップが「他施設の薬剤処方状況」だった。

◎「最も頼りになる情報源」 30代以上の全年代で「MR」が1位

今回の医師調査では、処方未経験薬剤について、年代別に「最も頼りにしている情報源」も聞いている。その結果、「MR」との回答が30代以上の全ての年代で1位となったこともわかった。なお、20代の医師の1位は「医学書・専門書」で、次いで「指導医・同僚医師」。

12年調査における同様の設問では、40代以上の医師の1位が「MR」だった。ただ、当時、インターネットを用いた情報収集が急速に増え、10年後のMRの存在価値に疑問符が付く向きもあったが、今回調査では変わらず「MR」が最も頼りとなる情報源であることが確認されたことになる。

この点についてMR認定センターは、「必要とする情報だけでなく、MRが最も頼りとなる流動的な情報も含めて提供することで、ICTとの差別化が図れる可能性が考えられた」と考察。調査全体を通じ、「時代が変わっても医療従事者がMRとの面会に価値があると評価し、適切な情報を正確に、簡潔に伝えてくれることを期待している」と強調。「このことにMRは改めて誇りを持ち、自己研鑽に努めるとともに、個々の医療関係者のニーズをより一層的確に把握することで医薬品の適正使用に資する活動を目指していただきたい」とコメントしている。

◎MR認定センターの小日向企画部長 「より価値ある存在になってほしい」

MR認定センターの小日向強・企画部長は、医師・薬剤師とMRとの間に意識のギャップがあることについて、「先生方はMRを信頼し、期待されている。MRは自信を持って活動してもらいたい」と強調した。そして、「医師に役立てていただける情報は何か。(販売情報提供活動GLがある中で)情報をどのように届けるか。届けられない場合は何か工夫できないか。所属企業とも対話しながら、より価値のある存在になってほしい」とエールを送った。
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