あすか製薬HD・山口社長 中計を3年前倒しで達成 レルゴリクス配合剤に期待も
公開日時 2023/05/19 04:51
あすか製薬ホールディングスの山口隆代表取締役社長は5月18日、決算説明会で、現中期経営計画(21~25年度)の最終25年度目標とした産婦人科製品売上高200億円超を3年前倒しで達成したと発表した。
子宮筋腫・子宮内膜症治療薬レルミナ(レルゴリクス)の伸長や22年6月に月経困難症治療薬ヤーズ初の後発品として1社単独発売したドロエチなどが寄与した。また、投与期間が原則6か月までに制限されているレルゴリクスに対して、長期間での使用が可能となることを期待している、第1/2相試験準備中のレルゴリクス配合剤については、「26年度から始まる次期中計前半での上市を目指して開発を進めていきたい」との考えを示した。
◎22年度 医療用医薬品は5.5%増の535億7900万円 レルミナが20.5%増
同社の2022年度(23年3月期)連結業績は、売上高が前期比6.8%増の604億6100万円となった。医療用医薬品事業の売上高は5.5%増の535億7900万円で、このうち産婦人科製品は約53億円増の220億円となった。19年1月に子宮筋腫に係る適応で発売し、21年12月に子宮内膜症に基づく疼痛改善に適応拡大したレルミナの売上は20.5%増の88億3900万円に拡大。22年6月に発売したドロエチは36億7100万円と大きく寄与した。また、黄体ホルモン製剤ルテウムが89.4%増の12億5100万円となるなど、不妊治療の保険適用化も売上伸長の大きな要因になったとした。
◎23年3月期下期に産婦人科領域での売上ナンバー1を達成
同社は産婦人科領域のリーディングカンパニーを標榜しており、23年3月期下期に同領域での売上ナンバー1を達成したという。中計最終25年度目標とした産婦人科製品売上高200億円超の達成を受けた、新たな目標について、山口惣大代表取締役専務取締役(あすか製薬代表取締役社長)は「売上自体は産婦人科領域でリーディングカンパニーの地位になったが、これからは中身の質も踏まえて産婦人科をリードするような会社になっていく取り組みを強化していきたい。現中計の中での定量的な目標はまだ公表は控えている」と語った。
産婦人科領域以外では、16年11月発売の肝性脳症における高アンモニア血症の改善を適応とする難吸収性リファマイシン系抗菌薬リフキシマが11.2%増の53億9700万円と2桁伸長した。小児の適応追加を申請準備中という。甲状腺ホルモン剤チラーヂンは3.1%増の77億3300万円と堅調だった。
23年度は売上高が2.5%増の620億円、営業利益が5.7%増の54億円と、引き続き増収・増益を見込む。レルミナは14.6%増の101億2800万円、ドロエチは13.5%増の41億6500万円、リフキシマは3.4%増の55億7800万円、チラーヂンは1.3%増の78億3300万円を見込んでいる。今後の開発パイプラインの拡充戦略について山口惣大専務取締役は「他社からのライセンスインあるいは承継、海外からの有望な案件の獲得を、自社創製品の研究開発を進めるのと並行してやっていく予定だ」と述べた。
【連結業績(前期比)23年度予想(前期比)】
売上高 604億6100万円(6.8%増)620億円(2.5%増)
営業利益 51億800(6.5%増)54億円(5.7%増)
経常利益 52億3200万円(7.2%増)55億円(5.1%増)
親会社株主帰属当期純利益 42億3800万円(1.2%減)44億円(3.8%増)
【国内主要製品売上(前期実績)23年度予想、億円】
カンデサルタン類 107.23(123.94)92.68
レルミナ 88.39(73.34)101.28
チラーヂン 77.33(74.99)78.33
リフキシマ 53.97(48.54)55.78
リュープロレリン 49.99(51.83)48.28
ドロエチ 36.71(―)41.65
フリウェル 34.89(34.63)34.07
メルカゾール 14.86(14.58)15.13
ルテウム 12.51(6.61)13.63
アムロジピン 9.01(10.73)8.44
アンジュ 7.84(8.54)7.99
マグセント 6.26(8.50)7.50