アストラゼネカ 抗RSウイルス薬・シナジス 肺低形成など5疾患の乳幼児追加で一変申請
公開日時 2023/07/04 04:48
アストラゼネカは7月3日、抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体製剤・シナジス(一般名:パリビズマブ(遺伝子組換え))について、RSウイルス感染症の重症化リスクの高い肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患を有する乳幼児を新たに投与対象とする一変申請を行ったと発表した。
今回の申請は、聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生涯免疫難病学講座の森雅亮教授が実施した医師主導治験の結果に基づくもの。同治験はAMEDの「臨床研究・治験推進研究事業」に採択されている。
森教授は、「これまで薬事承認のなかった肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患は、RSウイルス感染症が重症化するリスクが高く、その重症化による換気能力低下または喀痰排出困難を伴うリスクを有していることが知られている」と指摘。その上で、「これらの5疾患群を原疾患に持つ24カ月齢以下の新生児、乳児、および幼児に対して、パリビズマブを30日おきに4回以上連続して投与することにより、RSウイルス感染症の重症化による重篤な呼吸器症状の発現と、それに続く入院を回避できることが示唆された。今後そのような患者さんに対しても、パリビズマブが臨床の場で広く使用されることを願っている」とコメントしている。
RSウイルスは、乳幼児の気管支炎や肺炎を含む下気道感染の原因となる一般的な病原体。2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれ、早産児や生まれつき肺や心臓などに疾患を抱える乳幼児に感染すると重症化しやすいとされている。シナジスは、これらの重症化リスクを有する乳幼児に対し、発症抑制の適応として既に承認されている。