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中外製薬 次世代抗体エンジニアリング技術を用いた5つの自社抗体プロジェクトが相次いで臨床試験入り

公開日時 2023/07/28 04:52
中外製薬の奥田修社長CEOは7月27日の23年第2四半期決算説明会で、次世代抗体エンジニアリング技術を用いた5つの抗体プロジェクトが直近1年間で相次ぎ臨床試験入りしたと報告した。いずれも自社創製品で、6月には2番目の“スイッチ抗体”となるROSE12 が固形がんを適応に日米で臨床第1相試験を開始したと明かした。奥田社長CEOは、「革新的な自社創製品の連続的な臨床試験入りによって、TOPi2030に掲げるR&Dアウトプットの倍増と、自社グローバル品の毎年上市の達成に向けて邁進したい」と強調した。

◎中外独自の創薬イノベーションを“連続創出” 新たな創薬モデルの確立に自信

会見で奥田社長CEOは、同社の推し進める「革新的な自社創生プロジェクト」の全体像に触れた。中外製薬独自の創薬イノベーションを“連続創出”するというもの。「業界でいち早くバイオ技術に挑戦したベンチャーマインドが、後のアクテムラの創生そして抗体エンジニアリング技術の確立や中分子技術への挑戦につながっている」と奥田社長CEO は胸を張った。さらに、ロシュとの戦略アライアンスを通じ、「ロシュ、ジェネンテックという世界的企業をベンチマークすることで、人材が成長し、創薬力が強化され、さらに優秀な人材が集まるサイクルが生まれた」と強調。「ロシュ品の国内開発・販売を通じた安定的な収益基盤をもとに、研究者の自由な発想による研究活動を許容し、支援してきたことが、質にこだわったマインドの醸成と中外製薬独自の創薬技術の確立をもたらした」と振り返った。

◎直近1年間で5プロジェクトが臨床試験入り 米国でのDCT試験も含まれる

次世代抗体エンジニアリング技術を用いた5つの抗体プロジェクトは以下の通り。①DONQ52(セリアック病:マルチスペシフィック抗体、22年10月P1開始)、②RAY121(自己免疫疾患:リサイクリング抗体、22年10月P1開始)、③ALPS12(固形がん:次世代T細胞リダイレクティング抗体、23年1月P1開始)、④SAIL66(固形がん:CLDN6陽性の固形がん対象、23年4月P1開始)、⑤ROSE12(固形がん:スイッチ抗体)-。このうちROSE12は、STA551に次ぐスイッチ抗体で、腫瘍抗原以外を標的とし、抗腫瘍効果の発揮を目指す。6月に日米で開始した臨床第1相試験は、局所進行または転移性固形がん患者を対象としている。また、DONQ52については、米国で通常の臨床試験に訪問看護やオンライン診療を取り入れたDCT試験(分散型臨床試験)を実施している。

◎生産設備への積極投資 自社供給基盤の強化も

奥田社長CEOはまた、「このように創出された画期的新薬をいち早く患者に届けるため、生産設備に積極的に投資を行い、自社の供給基盤の強化を図っている」と説明。23年上期は、バイオ医薬品の原薬/製剤設備に総額500億円を超える新規投資を決定したと明かした。

このほか自社創製品のR&Dの進捗状況にも触れた。臨床第3相試験のリードアウトについては、「クロバリマブ、ネモリズマブがそれぞれ発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、アトピー性皮膚炎を対象としたグローバルP3試験でいずれも主要評価項目を達成した」と報告。年内にアレセンサ、チラゴルマブの第3相試験結果が判明する予定とも明かした。承認申請については、クロバリバムが、この6月にPNHで日米欧に承認申請を行ったほか、ミチーガが第2四半期に国内導出先のマルホから結節性痒疹および小児のアトピー性皮膚炎を予定適応症として適応追加の申請が実施されたと述べた。さらにハーセプチンとパージェッタを配合した皮下注製剤・RG6264 の年内承認に期待感を示した。

◎23年第2四半期業績 15.0%増収、15.2%増益

なお、中外製薬の23年第2四半期業績は、売上収益が5797億円(対前同15.0%増)、営業利益2320億円(同15.2%増)の増収増益。奥田社長CEOは、「国内の新製品や主力品、自社総製品のロシュ向け輸出が順調」と強調。通期見通しについては、「第1四半期からトレンドは変わらず、国内外の基盤ビジネスは着実に成長しておりCOVID-19関連治療薬の影響を除くと通期は予想通り、増収増益を見込んでいる」と見通した。

製品別にみると、国内売上げは新製品のポライビー、バビースモ、主力品のヘムライブラ、エンスプリング、テセントリクなどが順調に浸透したことで、数量が増加。薬価改正等のマイナス影響を吸収して売り上げが増加した。

海外は為替の影響、数量増加が輸出単価の低下の影響を上回り、アレセンサ、ヘムライブラの輸出売上が大きく増加。その他の売上収益は、ヘムライブラの初期出荷ロイヤリティが終了したものの、マイルストーン収入の大幅な増加により全体で増収となった。「結果、(政府買上げの)ロナプリーブを除いても、基盤ビジネスは順調に成長しており、上期は想定通り増収となった」と奥田社長CEOは総括した。



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