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愛媛県・HITO病院 スマートグラス活用で“未来型看護”の実証実験を開始 効率化と質向上目指す

公開日時 2023/08/17 04:50
医療現場におけるDXの取り組みに力を入れている愛媛県四国中央市の社会医療法人石川記念会 HITO病院。2023年7月から、NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社スマートゲートと協働で、「スマートグラスを活用した未来型看護の実証実験」を実際の病棟にて開始している。スマートグラスによる病棟にいる患者の遠隔看視、ハンズフリーのため介助の手を止めないコミュニケーションなどにより医療従事者の働き方改革を進めるとしており、「医療の新しいスタンダードになる取り組み」と位置付けている。

◎石川理事長「看護領域の今ある課題を解決できないか、考えた」 

スマートグラスとは、カメラやオーディオ、Bluetoothなどを搭載したメガネ型のウェアラブル端末で、ハンズフリーで情報を確認したり、操作できたりするのが最大の特徴だ。社会医療法人石川記念会では訪問看護などで試験的に導入していたが、今回の実証実験では病棟看護にも拡大していくことになる。

7月14日に開催されたセミナーで最初に登壇した同法人の石川賀代理事長は、人材不足、過重労働、疾病構造の変化、IT活用の遅れといった医療業界の今日的な課題をあげ、「これらの解決するために少子高齢化、人口減少に直面している都市でICT技術の活用により、業務の効率化と患者サービスの向上を進めてきた」とこれまでの取り組みを振り返った。

HITO病院では2017年からほぼ全ての職員にiPhoneを貸し出し、業務用のSNSを活用するなどにより、職員間のコミュニケーションの形を大きく変えてきた。これにより、チーム医療が強化されるとともに看護師等の時間外労働時間を大幅に削減することができたという。また、SCU(脳卒中集中治療室)における院外からのカルテ閲覧やチャット活用により医師の週休3日制を実現できたほか、コロナ禍で新人看護師へのタブレット端末の貸与によるe-ラーニングを推進したところ、この2年間で離職率ゼロを達成するなど、数々の取り組みを行い、また成果を上げてきた。

こうした中で、これまでも訪問看護や介護施設で活用してきたスマートグラスによる遠隔支援に加え、看護師間の情報連携等でさらなるコミュニケーション変革を目指す。スマートグラスの試験的な活用から医療職が働く上でハンズフリーが重要であると認識したという石川理事長は、「これを病棟で日勤・夜勤を問わず活用しながら実際の看護領域の今ある課題を解決できないかということを考えた」と今回の実証実験の狙いを話した。

◎看護師の抱える4つの課題 身体的、心理的負担解決に向け

その病棟看護の課題としては次の4つを挙げている。一つは、気の抜けない見守りによる心理的負担である。実際、高齢化に伴い増加している認知症患者の徘徊による転倒防止や、自らナースコールを押せない重篤患者の昼夜を問わない定期的な看護などが増えている。

2つ目は加齢性難聴による音声コミュニケーションが困難な患者への対応だ。現地への駆け付けが必須となるだけに身体的な負担は少なくない。

3つ目はナースコールが複数鳴動した際の対応や優先順位付け。こちらも状況確認のために現地に赴く必要があり、心理的・身体的な負担増となる。

最後の課題は、ケア中は手が塞がり、スマートフォンを使えなくなることだ。「ハンズフリーが重要という話をしたが、現状ではケアしながらの情報連絡・共有が難しい」と石川氏は述べ、スマートグラスを活用した新たなコミュニケーションの確立に期待を寄せた。

◎NTTコミュニケーションズ・大西担当課長「コミュニケーション高度化でサービスの質向上も」

具体的な実証実験の内容についてはNTTコミュニケーションズの5G&IoTサービス部 の大西智之担当課長が説明した。実証実験の目的としては、病室における効率的な見守り、および患者と看護師の新たなコミュニケーションの実現を挙げている。

「本件はまさに未来型看護だと考えている。ハンズフリーの実現により、新たな見守りやコミュニケーションの方法を確立するとともに、コミュニケーションの高度化による看護サービスの質向上が期待できる」(大西氏)。

見守りの方法については病室にネットワークカメラを設置し(写真左)、看護師が装着するスマートグラスの映像により昼夜を問わないリアルタイムかつ的確な見守りが遠隔から行えることから、看護師の身体的・心理的負担を図れるという。例えば、スマートグラスで他室の患者を見守りながら、目の前の患者の処置やケアを行うといったことも可能だ。

また、患者と看護師のコミュニケーションについてはナースコールの代わりにIoTボタンを採用。ナースコールが看護師を呼び出すだけの機能にとどまるのに対し、IoTボタンは呼び出し機能に加え、対応したか否かのステータスを確認できるため、漏れや遅延のない看護やケアを提供できる。「今はボタンだが、さまざまなセンサーを活用することにより、呼び出しの幅を広げていくことを今後、検討していく」と大西氏は補足。その上で「今回の実証の実現はスマートゲート社が提供するオンライン診療サービスのスマートキュアを活用したからこそ実現したもの。今後は院内のみならず、施設や在宅の患者さんの映像をシームレスに共有することで、地域での人材リソースの有効化、看護の質向上を図れるのではないかと考えている」と述べた。

◎スマートゲート社・花谷代表取締役「四国発の取り組みを全国へ」

最後に登壇したスマートゲート社の花谷行雄代表取締役は、スマートグラス活用の今後の展望について言及。「この実証実験で23年度内にサービス化を見据えて検証。それを踏まえて四国発の取り組みを全国に展開し、最終的には従来の見守りとコミュニケーションのパラダイムシフト、そして地域間での情報連携による新たな地域包括ケアの実現を目指す」と話した。

その過程でAI・画像認識などの先端技術を活用したサービスの磨き込みや、エッジコンピューティングの活用によるセキュアな環境実現、在宅医療・Tele看護などのユースケースの拡大を図っていくとしている。


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