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23年7~9月の国内医療用薬市場 ラゲブリオ、ゾコーバ急伸 今夏の新型コロナ“第9波”で IQVIA

公開日時 2023/11/20 04:50
IQVIAは11月17日、2023年第3四半期(7~9月)の国内医療用医薬品市場データを発表した。経口新型コロナ治療薬のラゲブリオとゾコーバが大きく伸長。ラゲブリオの売上(薬価ベース)は758億6400万円で、製品売上ランキングで一気に首位に立った。ゾコーバは345億7800万円で5位にランクインした。新型コロナの注射薬・ベクルリーは前年同期比10.6%減だったが、それでも353億5400万円を売り上げて4位に入った。新型コロナは今夏に感染拡大の“第9波”に入り、重症化する患者は減少したものの新規患者は急増した。これが今回の市場データに表れたとみられる。

同社の国内医療用医薬品市場データには新型コロナワクチン・治療薬の政府購入分は含まれておらず、一般流通品のみ反映されている。

文末の「関連ファイル」に、国内市場の22年第1四半期以降の四半期ごとの売上推移及び伸び率と、売上上位10製品の売上推移及び伸び率の資料を掲載しました。有料会員のみダウンロードできます。無料トライアルはこちら)。

◎国内市場4.9%増 堅調に市場回復

23年第3四半期の国内市場は前年同期比4.9%増の2兆8934億円(1億円未満切捨)となった。23年の四半期ごとの市場の伸び率は、第1四半期(1~3月)が1.3%、第2四半期(4~6月)が4.3%と推移しており、堅調に市場が回復していることが見て取れる。

23年第3四半期の国内市場を詳細に見ると、100床以上の病院市場は5.1%増の1兆3516億円、100床未満の開業医市場は3.1%増の5541億円、主に調剤薬局を指す「薬局その他」市場は5.2%増の9876億円――だった。IQVIAは、病院市場は「抗腫瘍薬、免疫抑制剤、糖尿病治療薬など幅広い薬効で成長加速がみられる」と分析。薬局その他市場は新型コロナ治療薬などが含まれる全身性抗ウイルス薬の急伸が影響したとしている。

◎製品売上ランク 1位ラゲブリオ 2位オプジーボ 3位キイトルーダ

製品売上上位10製品をみると、1位はラゲブリオ(売上758億6400万円、前年同期比999.9%以上増)、2位はがん免疫療法薬・オプジーボ(415億7100万円、2.7%増)、3位はがん免疫療法薬・キイトルーダ(405億5400万円、24.7%増)、4位はベクルリー(353億5400万円、10.6%減)、5位はゾコーバ(345億7800万円、-)、6位は抗凝固薬・リクシアナ(333億1100万円、11.2%増)、7位はがん免疫療法薬・イミフィンジ(312億6400万円、136.1%増)、8位は抗潰瘍薬・タケキャブ(283億9300万円、4.5%増)、9位は抗がん剤・タグリッソ(259億6000万円、5.5%減)、10位は加齢黄斑変性症治療薬・アイリーア(222億800万円、2.7%増)――だった。

がん免疫療法薬では、消化器系のがんを中心に処方を伸ばしていたオプジーボは成長が鈍化。一方、キイトルーダは非小細胞肺がんで処方を伸ばしつつ、22年9月に取得した▽進行又は再発の子宮頸がん、▽ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法――の適応追加もあって大きく成長した。5.5%減収のタグリッソは、6月1日に特例拡大再算定により薬価が10.5%引き下げられた影響とみられる。

◎上位10薬効 全身性抗ウイルス薬が129%の大幅増 新型コロナやインフルエンザ流行で

売上上位10薬効を見ると、1位は抗腫瘍薬(4867億6700万円、9.9%増)、2位は全身性抗ウイルス薬(2030億4300万円、129.0%増)、3位は糖尿病治療薬(1774億4300万円、6.5%増)、4位は免疫抑制剤(1538億4900万円、7.4%増)、5位は抗血栓症薬(1072億8000万円、0.1%減)、6位は診断用検査試薬(975億5400万円、33.1%減)、7位は眼科用剤(825億6700万円、1.8%増)、8位はワクチン類(トキソイドを含む)(813億5600万円、6.7%増)、9位はその他の治療を目的とする薬剤(678億3100万円、0.1%減)、10位は制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬(676億9200万円、15.3%減)――だった。

上位10薬効のうち最も成長率の高かった2位の全身性抗ウイルス薬市場は、新型コロナ治療薬の伸長に加え、▽C型肝炎治療薬・エプクルーサが前年同期比244.4%増を記録、▽季節外れのインフルエンザの流行でイナビル、ゾフルーザ、タミフルが処方された――といったことも市場拡大につながった。一方、大幅な縮小となった6位の診断用検査試薬市場についてIQVIAは、「(新型コロナが)5月に5類感染症に移行し、検査試薬の使用に自己負担が発生するようになったことも一部影響したとみられる」と分析している。

2ケタの市場縮小となった10位の制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬市場は、22年12月に特許切れしたネキシウムが前年同期比79%の大幅減となったことが影響した。

◎23年1~9月売上 オプジーボ1234億円 キイトルーダ1157億円

ミクス編集部は、IQVIAの公表資料から23年1~9月の製品売上を集計してみた。この9カ月間で1000億円以上売り上げたのはオプジーボ(1234億円)とキイトルーダ(1157億円)の2製品となった。両剤とも四半期ごとに400億円前後売り上げていることから、23年通期売上は1600億円前後になるとみられる。

◎リクシアナ、タケキャブ、タグリッソ、イミフィンジ 23年売上1000億円超見込み

両剤のほかに年間売上1000億円の大台にのる可能性が高いのはリクシアナ、タケキャブ、タグリッソ、イミフィンジとなる。9カ月間の売上は、リクシアナ955億円、タケキャブ843億円、タグリッソ809億円――。四半期ごとの売上はリクシアナが300億円強、タケキャブ及びタグリッソは250億円以上となっており、年間売上1000億円を超えるとみられる。

イミフィンジは、情報開示のあった第2四半期と第3四半期の売上データ(IQVIAは製品売上トップ10製品のみ売上げを開示している)の合計で585億円となった。同剤は「年間販売額が1000億円超1500億円以下、かつ基準年間販売額の1.5倍以上」に該当するとして特例拡大再算定が適用され、24年2月1日付で薬価が25.0%引き下げられる予定になっている。
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